ブックスタマ 加藤勤

書店『ブックスタマ』を経営しています。読書が好きなので、自分が読んだ本の感想をこのブロ…

ブックスタマ 加藤勤

書店『ブックスタマ』を経営しています。読書が好きなので、自分が読んだ本の感想をこのブログに載せています。 料理レシピ本大賞の実行委員長もやっています。 自分で執筆した本『中国語が1週間でいとも簡単に話せるようになる本』は2万部以上売れています。

最近の記事

【読書感想】生きる世界は、あなたが決めていい

先祖代々霊能力者の家計に生まれ、働く女性から上場企業の経営者まで7万人のカウンセリングの経験を持つ著者が、しあわせな人生を生きるにはどうしたらよいか、ヒントをあたえてくれる本です。 スピリチュアルな本はたくさん出版されていますが、「育てられないなら子供も捨ててしまいなさい」とハッキリ断言していて、この方は本物だなと思いました。

    • 【読書感想】正欲

      感想を書くのが難しい小説です。 多様性を認めようといいながら、夫婦別姓を認めない人や、LGBTに嫌う人に対して、「頭が古い」「老害だ」と言ってその人のことを切り捨てるのは果たして多様性を認めることになるのか、というパラドックスがあります。 身震いするような性癖を持つ人に出会ったとき、本当にその人のことを受け入れられるのか。 そもそも人は、心の奥底にある本当の本性を、人に見せることはあるのだろうか。 家族や恋人にも、見せない部分は誰しもあるはず。 この小説に出てくる人

      • 【読書感想】サイゼリヤ おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ

        すでに10年以上前に書かれた本ですが、改めてサイゼリヤのすごさを感じさせられる本です。 近年、人件費や電気代、原材料費の高騰を受け、外食産業が軒並み値上げを行っています。安さの象徴的存在だった牛丼チェーンやマクドナルドも例外ではありません。 その中で、ひとりサイゼリヤは、従来の価格を守り抜いています。 ニトリ会長の似鳥昭雄氏はこの本のあとがきで、サイゼリヤは299円で売っているシェフサラダを150円で売る力がある、と書いていますが、まさにその力がいま発揮されているのだと

        • 【読書感想】自省録

          以前、不動前のフラヌール書店を訪れた時に衝動的に買ってしまった「自省録」。 言わずと知れたマルクス=アウレリウスの名作だがなかなか読み始められずにおりました。 ちょうど未読のストックがなくなったので手に取ってみましたが、もともと人に読ませることを目的としておらず、自分用に書いたメモのようなものなので、読んでいて、果たして自分は著者の意図を理解できているのか不安に苛まれ、NHK 100分de名著ブックスの、岸見一郎の注釈と、合わせて読むことにしました。 岸見氏は脳梗塞で入

        【読書感想】生きる世界は、あなたが決めていい

          【読書感想】二月二十六日のサクリファイス

          昭和初期に日本を震撼させた二・二六事件。 首相や大蔵大臣など政府首脳が襲撃された上に、永田町や霞が関は反乱軍によって制圧され、日本の統治機構は一時機能停止状態に陥りました。 事件後、首謀者は裁判にかけられ、処刑されましたが、この事件に黒幕がいたのではないか、という疑念は残っています。 そんな昭和最大のミステリーに大胆に切り込んだのが、本書「二月二十六日のサクリファイス」です。 読者は、事件の首謀者をつきとめる任を帯びた若き憲兵林逸平と共に、二・二六事件の謎に挑むことに

          【読書感想】二月二十六日のサクリファイス

          【読書感想】ライオンのおやつ

          若くしてガンにかかり、余命わずかと宣告された雫。 人生最後の時間を過ごすため、瀬戸内海の島にある ホスピス「ライオンの家」に向かいます。 そこで待っていた生活は期待していた以上のものでした。 海に囲まれた心地よい環境、思いやりにあふれた人々。 しかし病魔は容赦なく雫の体力を奪っていきます。 人生において本当に大切なものは何か、人それぞれ違うと思います。 雫の出した結論に納得がいかない人もいるかも知れません。 死ぬことのこわさが少し軽くなる小説です。 同じ題材

          【読書感想】ライオンのおやつ

          【読書感想】100年学習時代

          「人間=学習する存在」 日本人は大学を卒業してからは、勉強をする量が世界に比べて圧倒的に少ないと言われています。パーソル総合研究所の研究によれば、社会人になって自己研鑽していない日本人の比率は46.3%で、調査した14の国と地域の中でダントツで高いそうです。 これは日本人がナマケモノということではなく、学習するという行為に対する先入観、とらえ方に問題があるのだと思います。この本でも「学校教育十八の呪縛」とまとめてありますが、いちいち納得できるものばかりでした。 昔、NH

          【読書感想】100年学習時代

          【読書感想】「ここだけの話」を聞く技術

          いまやラーメンライターとして一線で活躍する著者の井手隊長さんですが、私が初めてお会いした時は出版社の販促担当でいらっしゃいました。 書店の社長をしていると大勢の出版社の方にお会いするのですが、井手さんは不思議と、一度会ったら忘れない顔をした方でした。 この本を読むと、その理由が分かったように思います。 相手との距離の縮め方が、絶妙にうまいのです。 つい最近も、タモリや吉永小百合も通った、早稲田の老舗ラーメン店が閉店すると聞くや、その閉店の理由を店主に直撃インタビューし

          【読書感想】「ここだけの話」を聞く技術

          【読書感想】覚悟の論理

          7月7日に投票日を迎え、候補者も出そろい盛り上がりを見せる東京都知事選ですが、台風の目の一人、安芸高田市長の石丸伸二氏の本が出版されました。 市の公式YouTubeチャンネルで市議会の様子を中継し、一躍有名人となった勢いをかって混迷を増す都知事選に挑む石丸氏の考え、思想がよくわかります。 「覚悟の論理」 ちょっと不思議なタイトルですが、読み終わると、その意味に納得がいきます。

          【読書感想】覚悟の論理

          【読書感想】プラスティック

          今年の本屋大賞の超発掘本に選ばれた本。 30年前の作品ですが、本屋大賞の発表会で壇上に立たれた、ページ薬局の尼子さんの「30年前の作品という事を忘れるくらいに衝撃的な本」との声に押されて、購読しました。 全てがネタバレになりそうなので、読了した方にしか本当の感想を伝えられませんが、次の展開が気になって、ページをめくる手がどんどん進みました。 作者の綿密な構成に圧倒されます。

          【読書感想】プラスティック

          【読書感想】昆虫絶滅

          世界中で昆虫の数が激減しているというレポート。 自分の実感としても、ミノムシやモンシロチョウなど、昔はたくさんいた昆虫が姿を見せなくなっています。 害虫と言われたアメリカシロヒトリも大発生していましたが、まったく見なくなりました。 昆虫が激減した原因は、緑地の減少や農薬の使用など、様々な要因が重なっているようです。 しかし、特定の化学物質の使用を制限したり、一部の区画を昆虫が生存できるよう開発をやめるだけで、劇的に状況を改善できるとも書かれています。 まずは、昆虫が

          【読書感想】昆虫絶滅

          【読書感想】スピノザの診察室

          今年の本屋大賞で4位を受賞した作品で、水鈴社という小さな出版社が出版していたので、以前から気になっていたのですが、今週、読了しました。 京都の住宅街の病院に勤める、医師が主人公ですが、彼の務める病院は街の診療所といった雰囲気の病院で、患者も高齢者ばかり。 完治することはない病気を抱える患者たちを診察する主人公の生活を淡々と描写しながら、彼のこれまでのキャリア、そしてなぜその診療所に勤めているのか、彼の人生の背景が徐々にあきらかになっていきます。 美しい京都の街並みと、京

          【読書感想】スピノザの診察室

          【読書感想】「困った生徒」の物語

          NHKクローズアップ現代などで取り上げられた、都立秋留台高校の元校長、磯村元信さんの新刊です。 昨年出版された『さらば学力神話』の続編ですが、今回の本は、生徒一人ひとり、そして生徒に向き合う先生たちにスポットをあてています。 経済格差が学力格差につながる今の時代、フラスコの形のように、これまで「中流」と思っていた層は、下へ下へと大きく広がっていき、トップ層との差はますます拡大していきます。 家庭にも学校にも居場所がなく、追い詰められた生徒たち。 その生徒を救おうとする

          【読書感想】「困った生徒」の物語

          【読書感想】一度読んだら絶対に忘れない中国語の教科書

          中国語を著者独自の視点からとらえた画期的な中国語の教科書です! 冒頭に書かれている、 「じつは、日本人は中国語が上達しやすい!」 「じつは、中国語は英語よりも日本語と似ている!」 という意見には心から同意します。 入門書とうたってありますが、中国語の文法の要点は、ほぼ網羅されています。 カラーで図解が示されているのでわかりやすく初心者にも理解しやすい一方で、この本の例文の文章構造をおさえるだけで、HSK6級まで対応できる、内容の深さも兼ね備えています。 中国語を

          【読書感想】一度読んだら絶対に忘れない中国語の教科書

          【読書感想】I型(内向型)さんのための100のスキル

          MBTI性格診断がネットを通じて若い人たちに流行して内向型の人をⅠ型、外向型の人をE型という言い方が一般的になってきました。 「陰キャ」と呼ばれたり、内向型の人はマイナスにとらえられることが最近は特に多くなってきたように思います。 そんな内向型の人が、「内向型」であることを自分の強みに変えていくための100のスキルを紹介した本が、この本です。 内向型の人であっても、オバマ大統領のように優れたリーダーシップを発揮した人もいます。 100も書かれていますから、自分に合った

          【読書感想】I型(内向型)さんのための100のスキル

          【読書感想】デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか

          他国に比べて日本の生産性が低いという話は最近よく聞かれます。 それなら、生産性が高いデンマークの働き方に学ぼう、というのがこの本です。 著者は13年以上デンマークに暮らしている日本人。 日本人とデンマーク人の働き方の違い、仕事に対する考え方の違いを、分かりやすい言葉で説明しています。 よく誤解をされていると感じるのは、 「こんなに一生懸命働いているのに、なんで生産性が低いと言われるんだ!」という 悲鳴に近い意見がよく聞かれますが、 生産性は労働時間に対しての付加

          【読書感想】デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか