
27. 都市や文明を滅ぼした歴史的な大噴火① ~JIBANNOTE~
火山の噴火は、私たちの生活に恵みをもたらす一方で、
時に都市や文明を一瞬で消し去る脅威となります。
歴史上、数多くの都市が火山の噴火によって壊滅し、人々の暮らしが失われました。
今回は、その代表的な事例を紹介します。
世界的に有名な火山災害のひとつが、イタリア・ヴェスヴィオ山の噴火によって滅びたポンペイです。
西暦79年、ヴェスヴィオ山が大噴火を起こし、火砕流がポンペイの街を一瞬で覆いました。
この噴火により、約2,000名の住民が犠牲になったと考えられています。
驚くべきことに、埋もれた人々の遺体は分解され、その空間が石膏で型取られ、当時の人々の姿がそのまま再現されました。
発掘された遺跡では、逃げ遅れた人々が最後の瞬間まで何をしていたのかが見て取れます。
現在、ポンペイの遺跡は「ポンペイ、ヘルクラネウム及びトッレ・アンヌンツィアータの遺跡地域」として、ユネスコ世界遺産に登録されています。
当時の街並みが驚くほど良い状態で残されており、火山の脅威とともに古代ローマの生活を知る貴重な遺跡となっています。

ポンペイの悲劇を超える、人類史上最大の火山噴火とされるのが、1815年にインドネシア・スンバワ島のタンボラ山で発生した大噴火です。
タンボラ山の噴火は5,000年ぶりの大規模噴火で、爆発的な噴火により、火山灰や軽石が高度43kmの成層圏にまで達したといわれています。
その影響で、地球規模の気候変動が引き起こされました。
スンバワ島の住民約12,000名のうち、生存者はわずか26名でした。
火山灰による日照不足で、世界的な異常気象が発生し、各地で作物の不作が続き、飢饉や疫病が発生しました。
総死者数は71,000~121,000名と推定されます。
この噴火の影響はすさまじく、1816年は「夏のない年」と呼ばれました。
火山灰が太陽光を遮ったことで気温が低下し、北半球では冷夏が続きました。
アメリカでは雪が降る夏となり、ヨーロッパでも農作物が壊滅的な被害を受けました。
この気候変動が、当時の世界にどれほどの影響を与えたかは計り知れません。
例えば、イギリスの詩人バイロンやシェリー夫妻がスイスで過ごしていた際、あまりの寒さから屋内にこもり、後に『フランケンシュタイン』が生まれるきっかけとなったとも言われています。

ポンペイやタンボラ山の噴火は過去の出来事ですが、火山の脅威は今も変わりません。
近年では、2010年のアイスランド・エイヤフィヤトラヨークトルの噴火が航空機の運航に甚大な影響を与えました。
また、日本にも多くの活火山が存在し、富士山や桜島、阿蘇山などは将来的な噴火のリスクを抱えています。
火山噴火による被害を最小限に抑えるためには、地質調査の重要性を理解し、適切な防災対策を講じることが不可欠です。
過去の災害から学び、未来のリスクに備えることが求められています。

このように、火山は文明の発展に影響を与え続けてきました。
次回の記事では、さらなる歴史的な大噴火について詳しく解説します。