2023年私的コンテンツベスト3

2023年で個人的によかったコンテンツベスト3。

毎年やってたりします。

2023年のベスト3は、
①あらいきりこさんのソフビ「おおかみくん」
②はこさんの「百葉箱 / 初音ミク」
③ニキさんと女子研究大学

①あらいきりこさんのソフビ「おおかみくん」

SNSでこの投稿を見かけて一目惚れしました。

気怠げだけどかわいいおおかみのデザインがとにかく好きすぎる…!っていうのと、それぞれのカラーバリエーションが素敵すぎました。

もともと「POPMARTなど中国で立体作品が流行ってるらしい」のと、「VRChatのアバター文化を通じて、"3D” × キャラクターに興味があった」ので、個人的にちょこちょこその辺はざっくり追っていたのですが、 

※"3D” × キャラクターでオリジナルな作品を作ってるクリエイター

おおかみくんをきっかけに、"3D” × キャラクターのイチジャンルとして、"ソフビ"自体にも興味を持つことができました。感謝!

で、ソフビを調べると、そもそもゴジラやウルトラマンが起源として存在しているので、ソフビにおける代表的なモチーフとして"怪獣"や""怪人"があるっぽい。

そう考えると、イラストレーターとして"絵本的な怪獣"を描いてきたあらいきりこさんが、ソフビでその世界観を広げているのは、その絵柄のかわいさも含めて、とてもポップだなと思うのです。
※"絵本的な怪獣"の例としては、絵本「かいじゅうたちのいるところ」


つまり、ソフビにおける王道のゴジラ的な怪獣のデザインに加えて、新しい怪獣のデザインを提示することにもなるので、作品としてソフビである必然性も高くてそこもよい…という話。
※なので、個人的には、ほかのいわゆる"怪獣"たちもソフビ化してほし…特にバニーテール…

あと、ソフビがおもしろいなと思うのは、そもそもソフビの製造方法・販売方法として、カラーバリエーションが主流であるっていうところ。

近年は二次創作などでミーム的にキャラクターが広がる時代ですが、ひとつのキャラクターデザインが異なるカラーバリエーションで増殖する構造はミーム的で、現代的です。

そして、BE@RBRICKが流行った理由とほぼ同じことができて、ひとつのキャラクターデザインをキャンバス・メディアとして活用することで、カラーバリエーションによる様々なコラボもしやすい。

※非公式なファンアートとして、ストリーマーのだるいまいずごっどさんとGhosTeeがカラーバリエーションでコラボしてるのとかとてもよい

で、さらにさらに調べると、POPMARTをはじめとしたアジアのデザイナーズトイとソフビのコミュニティがフラットに交わってるっぽかったりと、調べれば調べるほど新しい発見があってほんとおもしろいです。

調べたことをざっくりまとめた文章はこちら


海外で市場・コミュニティが生まれてて、日本の個人のクリエイターがフラットに勝負できてるジャンルって意外とあまりない気もしてて、とはいえ文化的な境界線がなくなってる現代だからこそのおもしろさです。

海外におけるデザイナーズトイとしては、例えば、世界最高峰のesports大会ともいえるゲーム『league of legends』の世界大会「worlds2023」が韓国で開催されましたが、その大会の象徴的なTeemoの巨大モニュメントは、韓国のデザイナーズトイを代表するHands In Factoryが手がけていたりします。

ちなみに、Hands In Factoryは去年POPMARTともコラボしてます。

個人的な趣味嗜好としてあらいきりこさんのおおかみくんがシンプルに好きなのと、文脈的にも"怪獣"というキーワードがあること、おおかみくんきっかけで、ソフビという文化に新しく興味を持てたので、2023年のマイベストのひとつです。

個人的には、近年は、
・美少女キャラやイケメンキャラともまた違う文脈の
・クリエイター発の
・フィクショナルな物語のない
キャラクター文化がおもしろいんじゃないかと思ってて、今後それらがどうなるか?が楽しみです。

VTuberやゲーム実況者など、最近はとにかくいろんな"キャラクター"が生まれていたりする時代です。

ゲーム実況者でソフビ好きでもあるレトルトさんがラバーマスコットを販売してたりとか、


アーティストのPEOPLE 1さんがファングッズとしてキャラクターフィギュアを出してたり。

(“フィギュア”と”デザイナーズトイ”で、そもそも違いが難しいことを前提として)デザイナーズトイという“立体”は、キャラクターを表現するための媒体です。

現代がキャラクターの時代であるならば、デザイナーズトイなどの“立体”にもより注目度が上がるかもしれない。

その中でソフビはクリエイターが手を出しやすい媒体のように思います。
※企業経由はハードル高いし、手作りはスキルが必要になるので


ただ、日本のキャラクター文化だと最近はどうやらぬいぐるみが熱いようなので、デザイナーズトイがどこまで流行るか未知数ですが…

その上で、個人的には、個人のクリエイターが活躍できるコミュニティ・市場があって、それはそもそも昭和から続く歴史があることも大きくて、しかも最近はPOPMARTやアメトイなどの海外との文脈が強くなることで、よりポップなデザインのキャラクターも生まれてるっていう、いろんなコミュニティがごちゃまぜになってカオスな雰囲気がめちゃくちゃ好きなので、ソフビやデザイナーズトイが流行ってほしいなあ…

お迎えしたおおかみくんたち


②はこさんの「百葉箱 / 初音ミク」

これはもう文脈云々とか抜きにして、シンプルに「めっちゃいい〜〜〜〜」ってなりました。

音楽はちょっと専門的な話ができないのですが、とにかく音がたくさんあってごちゃっとした感じが好き、素朴でかわいい雰囲気がよい。
ボカロでこういうスタイルってなんか新鮮でした。

で、MVもよすぎる…!めっちゃ好き。
女の子たちがゆるくてかわいいです。

ボカロコミュニティのMVのトレンドは、キャラクターとモーショングラフィックをどう組み合わせて新しい映像を作るか?っていうところだと思いますが、こんな素敵な見せ方あるんや…という。

流行りのアニメーションMVのほか、個人的には3DCGをどうやってボカロ的な映像に組み込むか?っていうのが楽しみのひとつだったのですが、それらを全部ぶっ込んできて、かつ世界観としても統一されたビジュアル・クオリティで、「天才か…?」ってなる。

んでもって、曲も映像も、はこさんが作ってるっていう…!(天才か…!?)

こういう作品・クリエイターに出会えると、ほんとテンション上がります。感謝!

はこさんが映像を手伝ってるこっちも曲も含めて好き。


③ニキさんと女子研究大学

今年いちばんハマった。
とにかく動画がおもしろいです。

女子研究大学は、ニキさんを中心に、しろせんせーさん、りいちょさん、まちこりーたさん、18号さん、キャメロンさんによるTikTokerやVTuber、声真似主などのジャンルごちゃまぜの6人組グループ。

パッケージとしてはアンチモラルなスタイルながらも、クオリティの高い動画編集によるメンバー同士のテンポいい掛け合いがおもしろいし、それぞれのキャラクターもバランスよくてニコニコしてしまう。

卒アルの動画は解釈一致すぎたし、まちこりーたさんのポプテピ動画もおもしろすぎた…


2023年において、ショート動画からバズって、長尺動画もちゃんと観られて、(2023年の動画が)長尺動画の平均再生回数100万越えの動画クリエイターってなかなかいないので、シンプルにすごいです。
※そもそも動画投稿本数がほかと比べて少ないという事情もありつつ…

そういった点も含めて、YouTuber・ゲーム実況者による動画文化から、VTuber・FPS系ストリーマーのライブ配信文化を経て、ショート動画がイチジャンルになった現代において特筆すべきクリエイターのひとりだと思います。

特に、いまのライブ配信文化は、既存のコミュニティにどうやってフックアップされるか?という側面がありますが、その中で、自力でブレイクして、かつ、コンテンツとしても新しくておもしろいモノを提示しているのが痛快すぎる。

それは結局、ライブ配信文化における放課後の溜まり場的なコンテンツを、さらに"動画編集"というスキルでよりショート動画に近いテンポ感にして、切り抜きとも違うひとつのちゃんとした長尺動画に仕上げたことが大きい。

女子研究大学のメンバーがいろんなジャンルごちゃ混ぜで男女混合であることも含めて、現代における動画クリエイター・グループとしてむちゃくちゃおもしろいポジションだと思います。

とかとか、色々語れることはありますが、とにかく女研メンバーの掛け合いがおもしろくてめっちゃハマったので、2023年のマイベスト3のひとつです。

BL朗読動画とかもはや禁じ手にも近いけどおもしろすぎた…


で、ここからはただの自慢話ですが、
2021年の私的コンテンツベスト3のひとつとして、YouTuberのジュキヤさんを上げましたが、そのジュキヤさん的なスタイルを取り入れたニキさんを2022年3月に知って「おもしろい!」と思ってたら、ばちこりブレイクしたので、個人的な考察があたってニコニコしてます。

もっというと、現代は健全なモノ・お行儀のいいモノが人気を獲得しやすい雰囲気がある中で、それに対するカウンター的なコンテンツとして、2022年の私的コンテンツベスト3では“暴露”を上げました。

その中で、敵を作ってしまう“暴露”の難しさに触れましたが、ニキさんは“身内の暴露”を、放課後の溜まり場的なコミュニケーションとニキさんのスタイルを上手く掛け合わせた企画に落とし込んだのが絶妙な手法でした。
※もちろん“身内の暴露”自体は昔からある企画ではある


2018年ぐらいにYouTubeがマス化し始める中で、外企画の動画で炎上するYouTuberが出てき始めた頃に、身内にえぐいドッキリを仕掛けるがーどまんさんが出てくる的なYouTuberの変遷とも近しい構造なのもおもしろい。


既存コミュニティや健全なモノ・お行儀のいいモノに対するカウンターとして、えぺまつりでのあれやこれやも象徴的なムーブでした。


個人的な仮説としては、2020年のコロナ禍で、インターネットに“真面目さ”がインストールされて、真面目な立ち振る舞いが大事になりました(2021年に飲み会でYouTuberが炎上すると、HIKAKINさんの株があがる等)。インターネットにおける真面目な立ち振る舞いが求められると、それに対して、その裏側・実情を晒す“暴露”というコンテンツにより注目が集まった(2022年のガーシーch登場等)。

近年は“暴露の時代”でもあるように感じますが、YouTubeを中心としたポップカルチャーにおいて、“暴露”をひとつのコンテンツ・動画企画に落とし込んでブレイクしたニキさんは、そういう社会的な雰囲気も含めて、現代的でおもしろいクリエイターだと思います。


以上です。

今回ここで触れたモノ、あるいはこれまで触れてきたモノとはまた全然違う何かをおもしろがっているような2024年になればいいなあと思ってます。

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