ハムフェア2024サテライトステージの舞台裏へようこそ
1.サテライトステージ誕生までの道のり
2024年のハムフェアでは、あらたな取り組みとして、従来のイベントコーナー(今年はメインステージと呼称)とは別にサテライトステージを設置し、個人や団体のアマチュア無線関連の取り組みを発表する場を設けました。今後のためその波乱万丈の経緯を記録しておきます。
2.降ってわいたサテライトステージ
2024年4月、「ハムフェアでLT(ライトニングトーク)をやらせてもらえませんか」とJARLの偉い人に直訴したのがそもそもの始まり。
そのときは、すでにイベントコーナーの予定が詰まっており「無理かも。できたとしても日曜日の昼30分くらいかも」という反応にあきらめ半分。
ところが、2024年6月1日のハムフェア実行委員会でなんとメインステージ以外にサテライトステージを設けることが決定した。
偉い人に「じゃ、あとはよろしく」と言われてこれも今年から始まったハムフェア公式サイトhamfair.jpの担当と、サテライトステージ担当数名で頭を抱えることになった。
3.公募
サテライトステージの登壇者はhamfair.jpで公募することになった(一部JARLとJARD等の枠あり)。秋葉原のサイゼリアに担当者で集まり、議論を重ねた。JARL会員に限定せず、アマチュア無線家に限定せず受け入れるというフルオープンの公募となった。しかし事前にまったく応募者のめどもたたないため、担当者の知り合いに声をかけまくったが、あまりいい反応がなく焦る日々。それでも公募期間の半ばには枠がすべて埋まったため喜んでいたが、なんと締め切り直前に4人くらい駆け込みで応募があった。8月24日(土)はもともと16:00終了だったが、30分伸ばす、休憩はすべてカットという無謀なスケジュールで何とか押し込んだ。休憩がないということはそれだけスタッフの負担が増すことを意味する。実際2日間で体重1.5キロ落ちた。
休憩無しの2日にわたる講演スケジュールはさすがの私も経験がなく、「とにかくスケジュール通りの進行を最優先し、各コマの遅延は実力で阻止する」という方針をスタッフで共有した。
4.ハムフェア当日
頭の中で何度もシミュレーションしたが、やはりどうしても「遅れが出るのでは」という不安に駆られながら当日を迎えた。
サテライトステージは聴衆用に48席用意したが、当然誰も座っていない。必死にサテライトステージのイベント開催をマイクで連呼し、ぽつぽつと聴衆が集まってくる。さすがにスカスカの観客数では登壇者に失礼だと気を揉んだ。
今回は講演者に各自のパソコンを持ち込んでもらいプロジェクターにHDMI接続してもらったが、うまくいかずヒヤヒヤするケースもあった。
盲点だったのは電源タップの数が足りず、「電源がないとパソコン使えない」という登壇者がいて窮地におちいったが、たまたま最前列の聴衆が「あ、僕タップもってますよ」と貸していただいたので助かった。地獄に仏とはこのことだ(なんでそんなもん持ち歩いてるんだよ)。
5.プロフェッショナルとは
サテライトステージはそもそも計画外だったのでとにかく金がない。プロジェクター、スクリーン、撮影機材は有志による貸し出し(無料)でまかない、司会や運営スタッフはもちろん手弁当である。「サテライトステージを成功させる」という目的のためだけに集まった技能と熱意を持ったプロフェッショナルによる協演。働いていて楽しかった。普段の仕事だとこうはいかない。プロフェッショナルとは、金のために働くことではない。自分の美学のために力を尽くすことである。
6.感想
「ステージというのにステージ(壇)がないではないか」という声が聞こえてくるが、結果としては無いほうが正解だった。メインステージと異なり登壇者と聴衆の距離が近く、講演後に登壇者に質問に行く聴衆がメインステージにくらべ明らかに多い。メインステージだと講演者は自分の出番がおわるとそそくさと退場してしまうので、味気ないものだ。
講演の内容はさまざま。講演の内容によって聴衆が入れ替わるというのも新しい発見だった。
個人的に心に残ったのは、いずれの登壇者もアマチュア無線を盛り上げるにはどうしたらいいか考え実行しているということだった。
私も自分でイベントやりたいと決意するにいたった。
今回のサテライトステージ、点数をつけるなら100点満点で1000点。
サテライトステージにかかわったすべての皆さんに感謝を。
そしてまた来年も会おう!