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「容疑者Xの献身」

久しぶりに容疑者Xの献身について友人と話したので書きます。

言わずもがなの名作です。私が見たのは映画で、堤真一の演技が絶賛された内容になります。

映画の内容は割愛するとして、友人と焦点となった話に触れますと、やはりこの映画の最大の見どころは最後に堤真一が”どうしてえ”と叫ぶシーンでしょうか。

あそこでどうして?と叫んだ中に、一体どれだけの気持ちや思いがこもっていたのか、推し量るだけで胸が苦しくなります。全てを背負ってしんでいく決意をして、そして完全犯罪に近い状態になったものを、その救った本人から壊されてしまう。まさにどうして?ですが、そこには全てが苦しみや理解不能といった気持ちだけではなく、自分が愛した人が心を向けてくれたその瞬間に、しぬことが怖くなった気持ち、あるいは希望を見てしまったが故の気持ちの混乱などが描かれていたかと思います。そして、それを表情と言葉だけで表現した堤真一はやはりただの俳優ではありません。

私は詳しくないのですが、堤さんはこの役をするにあたり、頭髪をかなりの量抜いたそうです。確かに、あれだけ素敵な堤さんが、この映画では完全に冴えない、生気を失った姿を晒します。演技とはいえすごいなと思っていました。

また、別のシーンで、湯川先生から問われたシーンで、”僕に友人はいないよ”と答えるシーン。。

これもかなり胸を打ちます。湯川からすれば、滅多に人を評価しない彼が、堤さんのことを”天才”だと表現し、自分の気持ちと通じ合った数少ない友人と思っていたのに、本人に友人はいないと言われてしまうシーン。もちろん、それは堤の自虐的な姿勢から生まれたものではあるのですが、それでもやはり応えた一言かなと思います。

また、ラストシーン。湯川が、女刑事と話すシーン。”彼はあんなにも深く人を愛することができたんだ”というシーン。
普通の映画であれば、ああ綺麗にまとめたなくらいに思ってしまうのですが、この映画に限っては、本当にそうだな、人を愛することができたんだなと深く納得できてしまいます。自分の命をかけてまで人を愛する。言葉では簡単ですが、なかなかできないことだと思っています。

ドラマシリーズから始まって、映画にいくケースでいえば、こんなに良作に仕上がった作品は稀で、普通は美男美女が出てきて、なんとなく仕上がった感じになるのですが、そこへ堤さんが加わり、素晴らしいシナリオが加わったことで邦画屈指の名作へと仕上がった感があります。

”愛情”の描き方は映画によりさまざまで山ほど見てきましたが、こんな形もあるのだと驚いた作品でした。そういう意味では、人を愛する深さを表現したコールドマウンテンも私にとってはかなり驚き感動した作品でした。

2022年沈黙のパレードがキャストも当時のままで上映されるそうです。これは楽しみです。ぜひ良作になっていることを願います。

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