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教員研修を創る!(4)-なぜ、「グラデーションポリシー」(「ディプロマポリシー」)を議論し、全体共有することが必要なのか-

なぜ、「グラデーションポリシー」(「ディプロマポリシー」)を議論し、全体共有することが必要なのか

おはようございます!
毎週ご高覧いただきありがとうございます!

「海外大学に一番近い府立高校」としての大阪府立高校を牽引する実績があり、他校の海外大学進学指導にも貢献している
地域の進学校として、国公立大学、関関同立への進学も大阪府立高校の上位を誇る

府立高校としての実績、それらを創りあげた生徒たち、導きあげた教員集団
全く申し分ありません

でも、私が教員生活のなかで、教育の本質として一番大切に考えてきたし、実践してきたことが欠落しているように思えてなりませんでした

・「めざす学校像」の共有が必ずしもできているとは言えない
・各教科における三年間の教科教育活動で、卒業時にどんなCompetencies(資質・能力)を身に付けて欲しいのかが必ずしも議論できているとは言えない
・卒業時に育成をめざす資質・能力に関する方針である「グラデーションポリシー」(大阪府教育委員会が3つのポリシー策定を掲げる以前、私は、高等教育における「学士課程答申」「高大接続改革実行プラン」により「3つのポリシー」の明確化・一体的な策定義務が求められた「ディプロマポリシー」という概念を用いていました)策定の議論がなされていない

学校の看板は綺麗に整っているが、入学許可した生徒たちに、卒業時、どんなCompetencies(資質・能力)を身に付けて巣立って欲しいか、学校全体で(教科においても)議論されたことはなく、それゆえに、共有も実践もできていない

但し、教科毎・学年毎で、一年間で、どのようなCompetencies(資質・能力)を身に付けさせるのか、はしっかり議論され、研究・開発・実践されている

グランドデザインの議論・共有・実践が欠落しているのです

さらに、そこ抜きで、一学年毎の目標に基づいた議論・共有、研究・開発・実践がなされていることに違和感があまりない(日常の超多用な校務でそこまで気付く余裕がない=だからこそ、私が問題提起している「教員の働き方改革と一体にした授業改善をめざすカリキュラムマネジメントについて」の深化が問われている)

なぜ、「グラデーションポリシー」(「ディプロマポリシー」)を議論し、全体共有することが必要なのでしょうか
重要な点は二点です

「グラデーションポリシー」(「ディプロマポリシー」)に基づき、教科教育活動・教科外教育活動の両輪で生徒たちの人間的成長・発達に働きかける、自身の教科・科目で学年の発達段階に応じて卒業時に身に付けて欲しい Competencies(資質・能力)のどの部分を育てていくのか、そこを学校全体で共有することにより、各単元、それを構成する一時間一時間の授業で単元終了後、授業後に育成をめざしたい生徒の姿をイメージしながら授業創りの研究・開発・実践に取組むこと

「グラデーションポリシー」(「ディプロマポリシー」)の共有と実践に基づき、観点別学習状況の評価の理念に相応した「授業改善・適正な学習評価」に取組むこと

「グラデーションポリシー」(「ディプロマポリシー」)は教育委員会の指導・助言を受けて策定されたものです

校長は、「我が校の「グラデーションポリシー」(「ディプロマポリシー」)の共有と実践に基づく適正な学習評価を実施しています」と自信と確信をもって公表する
このような校長・准校長のマネジメントを教育委員会は徹底的に支援する(課題がある際には、適切に指導・助言を働きかける)

「グラデーションポリシー」(「ディプロマポリシー」)を議論、全体共有し、「授業改善・適正な学習評価」の研究・開発・実践に学校を挙げて取組むことは、すべての後期中等教育諸学校に求められていることです


それでは、令和 2 年 12 月 23 日 実施の教員研修について具体的に紹介していきます

この研修のねらいは、今まで話題や議論にもならなかった箕高の「ディプロマポリシー」を議論、全体共有し、「授業改善・適正な学習評価」の研究・開発・実践に学校を挙げて取組むための第一歩となる重要な研修です

関西学院大学 准教授(現、教授)の 時任 隼平 先生に指導・助言をご依頼し、研修当日、時任先生にはファシリテーターとして研修に入っていただきました

先生方には、先ず私から、国際教養科時代、そして現在のグローバル科の取組みの継承すべき財産と課題、教職員としてどんな生徒を育てたいのか、育ててきたのか、を先生方全員から聴き取り、気付いたこと、学んだことを踏まえて「めざす学校像」「ディプロマポリシー」を次のように捉え(討議資料)、卒業時、生徒たちにこのように育って欲しいという姿をイメージして Competency –based で考えてみませんか、と提起しました

時任先生に準備していただいたワークシートには、
・箕面高校の生徒が卒業時に身に付けているべき力(ディプロマポリシー)案が示され、ここで示した案に基づき詳細を議論し、教職員が3年間の学校教育で生徒に何を学んで欲しいのか、何ができるようになってほしいのかについて共通イメージを持てるようになること
・それぞれの考えたディプロマポリシーに、該当する在校生・卒業生、該当する力、力を示す具体的なエピソード、また、この力に関する補足説明をまとめること
が求められており、私が研修で期待すること、先生方に気付いてほしいことが要約されていました

冒頭、時任先生より、「研修の到達目標」として、

国際教養科時代、グローバル科改編以降、箕高はどんな生徒を育ててきたか、特に印象に残る生徒像を取り上げ全体で共有し、

個人.教師として、箕面高校を卒業するまでに生徒にどのような力を習得して欲しいのかを再確認・言語化すること

集団.箕面高校教職員は、箕面高校を卒業するまでに生徒にどのような力を習得して欲しいのかを再確認・言語化すること

が掲げられ、
「最近の教科指導で、先生自身がワクワクしたのはどのような場面でしたか?」「箕面高校では生徒に”グローバル”に関するどのような力を習得して欲しいのか?」とウォーミングアップの問いについて意見を交わしました

研修のオープニングは、国際教養科時代の取組みから学ぼう!と、英語科・地歴公民科の当時を知るベテランの先生方から、国際教養科時代の国際理解教育について発表していただきました
事前に発表者から、時任先生・私とで校長室で国際教養科時代の取組みを丁寧に聴き取りし、是非、その取組みを全体共有して欲しい!という内容を織り交ぜていただきながら、「こんな素敵な実践を箕高ではなされていたんだ!」という感動に包まれた発表内容でした

続いて、任意のグループに分かれて、私が用意した「討議資料」も参考にしてもらいながら、国際教養科時代、グローバル科改編以降、箕高はどんな生徒を育ててきたかを踏まえて「ディプロマポリシー」(箕面高校で3年間を通して育成したい力を考えてください。新規に考えるだけではなく、既にあるものに修正・加筆をしても構いません)について、グループ討議・内容の全体共有を約一時間かけて行いました

次に、時任先生より、教科教育と学校教育目標(4つの力)の繋げ方についてレクチャーをいただき、英語科・地歴公民科の先生方から事例報告をしていただきました

続いて、教科毎に分かれて、生徒に修得してほしい力をどのように日々の授業に落とし込むのか、自身の教科・科目で学年の発達段階に応じて卒業時に身に付けて欲しい Competencies(資質・能力)のどの部分を育てていくのか、ポストイットに「○○する力・○○する態度」で表現する、ワークに取組み、全体共有しました

あるベテラン教諭から「研修内容がとても良かった。38 年間の教師生活で、教科として卒業時にど
のような資質・能力を身に付けさせるかを議論したのは初めてです」と嬉しい言葉もいただきまし

令和 2 年 12 月 23 日 教員研修

今回の研修を受けて、最後に時任先生より「授業をデザインするという観点」のレクチャーをいただきました

この研修を契機に、箕高のさらなるChallengeが始まるのです

何かのきっかけで、現場の生徒たちや先生方が幸せになっていくような議論が拡がればと願います

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします

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