【経営的視点で考える】サッカー・サウジアラビアリーグのオイルマネーと、代表チームに与える影響
みなさんこんにちは、久保佑輔です。
10月はサッカーのW杯アジア最終予選がありますね!
我らが日本代表は、10月10日にはサウジアラビア代表との試合があります。サウジアラビア代表はアジアでも強豪国で、2022年カタールW杯では優勝したアルゼンチンを、予選で2-1で破るという快挙を果たしたチームです。
近年では、サウジアラビアリーグが巨額の「オイルマネー」を使い、世界中から有名選手を獲得していて、現在クリスティアーノ・ロナウド選手もサウジアラビアリーグでプレーしています。これによりリーグの質は急上昇し、注目度や商業的な成功も得ていますが、一方で代表チームの弱体化が懸念されています。
なぜ代表チームの弱体化が懸念されるのか?
若手選手の育成不足
サウジアラビアは海外から有力選手を獲得することで、リーグ全体の競技レベルは上がっていますが、国内の若手選手の出場機会が減少しています。これにより、若手の成長や経験を積む機会が限られ、代表チームに選ばれる選手層が薄くなっています。多くのクラブが外国人選手に依存することで、サウジアラビア出身の若手がトップレベルでのプレーを経験することが難しくなっているのです。国内選手の競争力低下
外国人スター選手の流入により、国内の選手が十分に出場するチャンスを得られず、競争力が低下しています。例えば、ヨーロッパでは自国の若手選手がトップクラブで成長し、代表に選ばれるというサイクルがありますが、サウジアラビアではそのサイクルが途絶えつつあります。モチベーションの課題
国内リーグの強化は選手にとって良い環境を提供しますが、外国人選手が多いリーグでは、国内の若手選手が「どうせ出場機会がない」と感じ、モチベーションが下がる可能性があります。これもまた、代表チームにとっての不利益です。
経営的な観点
サウジアラビアリーグが「オイルマネー」を活用して他国のスター選手を獲得し、リーグの注目度や収益を一気に向上させている背景には、短期的な成功に焦点を当てた戦略が見えます。ビジネス的には、外国人選手による観客動員やスポンサー契約の増加は、クラブやリーグ全体の利益を引き上げ、投資を呼び込む効果があります。しかし、代表チームが弱くなるという現象は、長期的な成長において「内部資源の育成を怠った場合のリスク」を示しています。経営者的視点から見ると、ここには以下のような重要な教訓があります。
1. 短期利益と長期的成長のバランス
オイルマネーによる外国人選手の獲得は、短期的に収益を最大化する手段です。多くのビジネスでも「即時的な利益を追求する」ことはよくありますが、サウジアラビアのケースでは、国内選手の成長機会が犠牲となり、代表チームの競争力が低下しています。これは企業においても、「外部からの即効的なリソース導入」が、内部リソースの長期的な育成を阻害することに似ています。短期の成功だけでは、企業やスポーツチームが持続可能な成長を遂げることは難しいと考えられます。
2. 内部資源の育成
外国人選手を積極的に取り入れることは、企業で言えば外部から高額な専門家を雇うようなものです。一方で、内部の人材育成やキャリアパスがしっかりしていないと、優秀な人材が生まれにくくなり、長期的なビジョンが崩壊してしまいます。サウジアラビアリーグにおいても、国内の若手選手が成長できる仕組みを再構築しない限り、代表チームの復活は困難だと予想できます。
3. 地域とグローバルの調和
サウジアラビアは、グローバルなサッカー市場での存在感を増すために大金を投入していますが、その結果、国内市場のバランスが崩れつつあります。これは、グローバル化に伴う「ローカル市場の軽視」というビジネスの課題と同様です。企業も、国際的に拡大しつつも、地域の市場やリソースを大切にしないと、現地のニーズや文化に対応できなくなり、結果的に競争力を失うことがあります。
まとめ
最終的には、サウジアラビアリーグの取り組みは「即効的な利益」と「持続的成長」のバランスをどう取るかという経営的判断の問題です。ビジネスにおいても、急成長を狙う一方で、長期的な市場の安定や人材育成を同時に進めることが求められます。外部からの資源投入だけでなく、内部の若手や地域のリソースをどう活用して成長させるかが、成功のカギとなります。
経営の世界でも、こういった短期と中長期のバランスは、ケースバイケースの判断が求められる上に、状況は刻一刻と変わるので、相談できるメンターの存在が大きいと僕は考えます。
これからビジネスを取り組みたいと考えている人は、重要な経営判断を迫られる前に、メンターを決めるといいかもしれませんね。
終わり。