スマホゲーム会社のゲーミフィケーションへの挑戦 ~株式会社f4samurai~
こんにちは。「リアル世界を神ゲー」にする ゲーミフィケーション・デザイナーのきっしーです。
秋葉原にある、株式会社f4samuraiのディレクター中村昭宏さんを訪問しました。注目した事例は、THE TOKYO MATRIXでのダンジョン研修 です。
株式会社f4samurai
https://www.f4samurai.jp/
Q1. ダンジョン研修とそのゲーミフィケーションについて教えて下さい。 併せて、ゲーミフィケーション要素に対する利用者の感想も。
中村さん 回答:
⇒ まずはTHE TOKYO MATRIX(略称TTM)について軽くご説明させてください。TTMはソニーミュージック・ソリューションズ様が東急歌舞伎町タワー4階に開業したアトラクション施設です。 駅前リアルダンジョンと銘打ちまして、頭脳・フィジカル・チームワークを駆使した超高難易度アトラクションになっております。
新宿ダンジョン攻略体験施設 THE TOKYO MATRIX
https://thetokyomatrix.com/
スマートフォンと連動し、施設予約の他、アイテムを使った攻略やランキングイベントなどの要素がありまして、その開発をf4samuraiが担当させていただきました。
もちろんアトラクションの設計や調整にも深く関わらせていただきまして、バランス調整や報酬獲得、アトラクション中に発動するスキル等は、まさに弊社の本業であるスマートフォンゲームのノウハウを生かすことが出来たと思っております。
厳密な意味でのゲーミフィケーションとは異なるかもしれませんが、こういったスマホゲーム屋ならではのノウハウを非ゲーム分野で転用することを「スマホゲーム屋流のゲーミフィケーション」と自称しておりまして、CEDEC2024でもお話しさせていただきました。
https://cedec.cesa.or.jp/2024/session/detail/s65e5610478956/
その講演の中でも紹介させていただいたのですが、TTMを企業研修の場として提供するサービスも行っております。他社様でも謎解きやリアル脱出ゲームを企業研修に活用する事例は多くあるのですが、TTMはチームプレイを基本に設計されており、チームビルディングに最適なアトラクションです。
また、施設内は極度にプレッシャーを感じる演出にしている為、率直なコミュニケーションが生まれやすく、一歩踏み込んだ関係性の構築には最適かもしれません。しかもダンジョンという非日常的な空間の中での出来事なので、何が起きても笑い話で済ませることができるというのも研修として適しているのではないかなと思っています。
既にいくつかの会社様に提供はさせていただいておりまして、今後こういった研修サービスも本格的に展開していく予定です。
きっしー: THE TOKYO MATRIXは私も実際プレイしたことがありますが、各人で作業を分担してチームで挑まないとクリアできないのです。社員研修と組み合わせるのは面白いし、効果がありそうと思いました。
Q2. 他にも面白そうなゲーミフィケーションサービスはありますか? 併せて、利用者の感想も。
中村さん 回答:
⇒ Jリーグのモンテディオ山形様に提供させていただいた「BINGOだモン!」というサービスがございます。ちょっとだけ面白い挑戦をしておりまして、そのご紹介もさせてください。
BINGOだモン!
https://www.montedioyamagata.jp/match/bingo/
サッカーの試合中には「15m以上ダッシュした」「ペナルティエリア内でボールに触れた」等のデータがリアルタイムに検出されます。これは「スタッツデータ」と呼ばれ、各クラブチームが戦術検討のために使用するのですが、このデータを使ってビンゴをしてみよう!という試みです。
このビンゴカードには数字の代わりに「15mダッシュを5回した」「枠内シュートを2回した」等のスタッツが記載されています。試合中にこのスタッツを達成するとカードの穴が開く仕組みです。ハーフタイム等にビンゴカードを確認するとたくさん穴が開いて楽しい!という感想をいただくことも多いです。
ただ試合を見るだけではなく、その試合データを使って新しい遊びを提供する試みですが、おかげさまで少しずつ提供クラブも増えてきています。特に地方のJリーグクラブはファンの高齢化も問題になっており、若い世代の取り込みのためにもスタジアムとデジタルを交えた取り組みに可能性を感じてくださっているようです。
きっしー: 試合観戦に付加価値をつける訳ですね。それも地域振興・スポーツ振興につながるゲーミフィケーションだと思います。
Q3. スマホゲーム会社が、なぜゲーミフィケーションサービスをやろうとしているのか?
中村さん 回答
⇒ 弊社は創業以来スマートフォンゲームを主要事業としていまして、スマホゲーム市場の拡大と共に事業規模も大きくすることが出来ました。
現在も新作を制作しており、私自身もゲーミフィケーションと並行してスマートフォンゲームの新規開発に従事しております。ただ、皆様ご存じの通り、昨今は市場の拡大が鈍化し、海外勢の台頭等も含め競争は激化しています。
我々は誇りをもってその競争を戦い抜く決意ではおりますが、やはり将来的にあらゆる選択肢は必要だと思い、新規事業チーム数名でゲーミフィケーションへの挑戦を続けています。
スマートフォンゲームの実績とノウハウを非ゲーム分野で転用することがゲーミフィケーションをやる意味かなと思っておりまして、「僕らの技術は異世界でも戦える!」とCEDECでも宣言させていただきました笑
Q4. 開発者として、スマホゲームを作るのとゲーミフィケーションサービスを作る時の共通点は? 違いは?
中村さん 回答
⇒ もちろん多くあるのですが、プレイして得られるモノという面でとらえると、スマートフォンゲームは資産性・ゲーミフィケーションはLBEなのかもと最近考えています。
一般的にスマートフォンゲームはユーザー様がプレイした時間、かけたお金以上の価値をゲーム内で還元できるように、育成やストーリー、名誉などの体験を提供しています。そこに価値を見出してくださるよう数値なども意識して設計します。
一方、ゲーミフィケーションはLBE(ロケーション・ベース・エンターテイメント)を大切にしたいと考えています。その場でしか得られない体験、人に言いたくなる体験という意味なのですが、例えばTTMではある程度先まで進むと、待合ロビーのモニターでそのプレイヤーの状況が表示されます。プレイ待ちの間、皆がそのモニターを固唾を飲んで見守り、プレイヤーが帰ってくると拍手で迎えます。見知らぬ人同士でハイタッチする様はまさにその場でしか得られない経験ですね。
ゲームではリターンが重要と言われますが、スマートフォンゲームとゲーミフェケーションではリターンの部分に本質的な違いがあるのではと思っています。
きっしー: 私は昔のアーケードゲーム、コンシューマゲームの開発と、ゲーミフィケーションサービスの開発の両方をやっているから分かるのですが、外から見ると同じように見えますが、大きく違う部分もあって、それを間違えるとゲーミフィケーションがうまく機能しないんです。
Q5. 今後のゲーミフィケーションを使ったサービスの展開は?
中村さん 回答
⇒ TTMは2025年3月にリニューアルを予定しており、今回も企画部分でお手伝いをさせていただいています。より遊びやすくなっていますしチームビルディングの場としても本格展開していきたいと考えています。
スタッツBINGOは徐々に提供チームは増えておりまして、いずれはサッカー以外のスポーツにも提供していければと。また、スタジアムで特別な体験ができるようLBE方面でのテコ入れも検討しております。
その他、検討中のゲーミフェケーション企画は多くありまして、お話しできるタイミングになりましたら是非宜しくお願いします。
きっしー: f4samuraiさんの今後の、スマホゲームのノウハウを使った、面白くて新しいゲーミフィケーションサービスにワクワクして、目が離せませんね。これからも注目していきたいと思います。
(おわり)
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執筆:日本ゲーミフィケーション協会 代表賢者 きっしー(岸本 好弘)