きっしーのゲーミフィケーション入門講座 第3回 ~ゲームを面白くする6つの手法
ゲームが面白いわけは? なぜワクワク夢中になるの?
皆さんはゲームは好きですか?一番好きなゲームはなんですか?
最近やらなければ昔やったゲームでもOKです。もしゲームを全くやらないのであれば、昔やった遊びを思い出してみてください。
私は、1982年にゲーム開発会社ナムコ(現在のバンダイナムコエンターテイメント)に入社して開発に配属されました。皆さんのほとんどがご存知のファミコンがまだ世の中になかった時代です。19年勤めて、ゲーム開発会社コーエー(現在のコーエーテクモゲームス)に転職、最後コーエーを辞めるまでの29年間ビデオゲーム開発に携わってきました。
携わったゲームは50タイトル以上。その中でゲームクリエイターとして、プレイヤーをワクワク夢中にさせる仕掛けをゲームの中に盛り込んできました。ゲーム開発会社にいた時は企業秘密だったこのノウハウを6つにまとめてご紹介します。
ゲームを面白くする6つの手法
6つの手法とは、<能動的な参加><称賛の演出><即時フィードバック><独自性の歓迎><成長の可視化><達成可能な目標設定>です。プレイヤーをワクワク夢中にさせる仕掛けで「ゲームデザイン」と呼ばれるものです。6つの要素を順番に紹介します。
<能動的な参加>
ゲームは自分がやりたいときに始められ、やめたいときに止められる。初級/中級/上級といった難易度が選択できるものも多い。「自分が最も楽しめるモード」で取り組めるということが、人間の活動には大きな意味を持ちます。また、ストーリーや世界観、キャラクターなどの魅力によりプレイヤーをゲームの世界に引き込むことで期待と興奮を感じさせ、やめられなくさせる。
<称賛の演出>
ゲームではステージをクリアすると「GREAT」という表示とともに効果音が鳴ったり花火が上がったりする。自分の成功がきちんと認められるということがやる気を生み出させる。
<即時フィードバック>
ボタンを押すと主人公がジャンプするなど、ゲームでは操作に対する反応が画面からすぐに返ってくる。こうした即時のフィードバックが快感と安心をプレイヤーにもたらす。
<独自性の歓迎>
主人公に自分好みの装備を施すことは分かりやすい独自性ですが、その他にも、友達の気づかない攻略法を見つけ出したり、自分なりの工夫をし試行錯誤の末に目標をクリアすることもゲームの大きな魅力である。厳然たるルールが存在するがゆえの快感・満足感だ。
<成長の可視化>
ゲームでは頑張った分だけレベルやスコアが上がり,自分の分身である主人公の見た目が変わるなどして成長が確かめられる。数字が増えるやバーが伸びるなど、誰でもが直感的に分かる様に見せます。
<達成可能な目標設定>
RPG(ロールプレイングゲーム)では、最初に出現する敵は弱い。主人公の成長に合わせて敵も強くなっていくが、工夫と頑張りで必ず倒せるよう設計されている。頑張れば破れる壁であることが重要だ。最終ゴールに導くための中目標、小目標を設けて、プレイヤーに分かり易くクリアできそうだと思わせる直近の目標を示すことが大事。
クエスト:好きなゲームの6つの手法を見つけよう
では、ここで皆さんに問題です。
先ほどあげた「皆さんの好きなゲーム(遊び)」に盛り込まれた、ゲームをワクワク夢中にデザイン6要素を、書き出してみよう。
例えば、大抵の皆さんが知っている「スーパーマリオブラザース」(ファミコン)ならこんな風なワクワクが見つけられます。
<能動的な参加>
マリオやクリボー、ノコノコなど可愛いキャラクター。ピーチ姫を助けるために、右端のゴールを目指すというストーリー性。次々と新しいステージが登場する。
©Nintendo
<称賛の演出>
ゴールすると、旗が上がる、得点が入る、効果音が鳴る。ときたま花火も上がる。コインを取った時の回転するコインの演出や気持ちの良い効果音。
<即時フィーバック>
コントローラ操作で主人公が左右に移動、ボタンでジャンプなど、プレイヤーの操作に対する反応が画面からすぐに返ってくる。主人公を自分の分身の様に操作できる。敵を倒した、やられたもすぐに結果が分かる。
<独自性の歓迎>
いろんな謎を自分で見つける。ハテナブロック、隠しブロックを叩く、土管のボーナスステージを見つける。友達の知らない謎を知っていると優越感
<成長の可視化>
操作がうまくなると、ミスしない、高得点を狙える。先のステージに進める。
<達成可能な目標設定>
1-1の前半はチュートリアル、後半はちょっと難しい。プレイヤーの操作がうまくなり、色々な謎を知っていると、先の面に進める。
では、みなさんの好きなゲームでやってみてください。そのゲームが面白い理由が分かりましたか。
<称賛の演出>
・・・
<即時フィーバック>
・・・
<独自性の歓迎>
・・・
<成長の可視化>
・・・
<達成可能な目標設定>
・・・
<能動的な参加>
・・・
すばらしい!とてもよく出来ました。
あなたの好きなゲーム(遊び)にも6要素が入ってましたね。
そして、私は29年間のゲームクリエイター生活から、大学でゲーム研究者になった時に考えました。
このゲームのワクワク夢中になる仕掛けを使えば、もしかしてゲーム以外のものも、ワクワク夢中にすることが出来るではないだろうかと。
この続きは次回に。(終わり)
※2021年7月追記 その後、6つの手法の並びは、<能動的な参加><称賛の演出><達成可能な目標設定><即時フィードバック><成長の可視化><独自性の歓迎>に変更。講座を通して、一度に6つ説明しても混乱することが分かったので、まずは前半の3つ<能動的な参加><称賛の演出><達成可能な目標設定>から説明しています。
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執筆:岸本 好弘(日本ゲーミフィケーション協会 賢者Lv98)
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