日本デジタルゲーム学会でのゲーミフィーケーションやシリアスゲーム発表を聴講
こんにちは。「リアル世界を神ゲーに」する、ゲーミフィケーションデザイナーのきっしーです。
我々も発表を行った、日本デジタルゲーム学会 第14回年次大会(2024年2月、大阪樟蔭女子大学で開催)では、ゲーミフィーケーションやシリアスゲームに関するさまざまな発表が行われました。私が聴講した中で、印象に残ったものをいくつか紹介します。
日本デジタルゲーム学会で「ゲーミフィケーションリテラシー」を発表
https://note.com/jgamifa/n/nd638ae61400c
DiGRA JAPAN 日本デジタルゲーム学会 第14回年次大会
https://digrajapan.org/?page_id=9637
●「日本 E C サイトにおけるゲーミフィーケーションが 顧客に及ぼす効果について:企業事例研究に基づく試論的考察」(王) 予稿集p130~
日本のEC市場で、アフォーダンス 相互行為儀礼の連鎖を取り入れたサイトがより良いパフォーマンスを発揮する傾向があると述べ、ケーススタディとして「Qoo10」「カウシェ」など成長著しいサイトを分析した。Qoo10ECサイトでは、ゲーミフィケーション要素が他社と異なり、顧客間のインタラクションを促進させる仕組みが導入されている。
※本研究にはゲーミフィーケーション専門家として協力しました。
●「小学生のゲーミフィケーションにおけるユーザータイプやゲーム要素の好みに関する探索的検討」(黒田、福井) p97~
小学校高学年児童にアンケート調査。Hexad Scaleでのユーザータイプは、
1位 Player(外発的な報酬によって動機づけられる)>Philanthropist、Socialiser、Free Spirit>Achiever>最下位 Disruptor(変化の引き金となることに動機づけられる)の順番。
ゲーム要素の好みに関する結果は、1位「課題をクリアすると時には特別なごほうびがもらえることがある」、最下位「課題に時間制限がある」
今後に個別最適な学習にゲーミフィケーションを活用するときの参考になる。
※前年発表では、大学生のゲーミフィケーションに関するユーザータイプと
ゲームデザイン要素の好みの関係性(黒田、福井)が発表されていた。
●「大学授業へのゲーミフィケーション導入における報酬のあり方」(伊藤、白井) p174~
情報学部生へのアンケート調査では、現状授業では称賛、フィードバック、進捗状況が不足。周囲からの称賛、提出物等への素早いフィードバック(1週間以内)、そして自らの進捗状況に関する情報 がもっと欲しい。成績評価ではない報酬が必要である。
●「ビデオゲームとウェルビーイングの因果関係におけるモデレーターの調査」(八巻)p269~
調和的情熱(ゲームと日常生活の釣り合いが取れている程良い情熱)の高い人はビデオゲームがウェルビーイング(肉体的、精神的、そして社会的に全てが満たされた状態)を高める効果が見られたのに対し、調和的情熱の値が低い人には、ビデオゲームがウェルビーイングを高める効果が見られなかった。
→つまり、ゲーム好きな人が適度にゲーム遊ぶことは、幸せ感情をより感じる。逆に過度はだめ。
●「ボードゲームのメカニクスを使用した創造性テスト開発の試み」(財津、藤本)p246~
創造性を測定する新たな方法としてボードゲームを用いた方法を提案された。予備的に行った実験の結果(具体的には、ボードゲーム『キャット&チョコレート』日常編から「宿題がぜんぜん終わらない」、非日常編から「巨大な岩が転がってきた!」という2つのピンチな状況を提示し、それぞれについて、「ねんど」「口紅」「ガムテープ」という3つのアイテムカードを使ってその状況を乗り切るアイデアを発想させる課題)を示しつつ、今後の展開が述べられた。
●「悪質商法対策の学習ツールとしてのスマートフォン対応ブラウザゲームに対する大学生の選好度と印象評価」(宮野)
悪質商法対策の学習ツールに関して大学生へのアンケートを行った。結果、悪質商法対策の学習ツールとしてのブラウザゲームは「楽しい・面白い」。
が、「ゲーム自体が好きではない」者や「学習のためのゲームはしない」と考えている者には、ブラウザゲームは学習ツールとして成立しない。
●「シリアスゲームの成果と今後の課題」(藤本)p128
日本独自のシリアスゲームのサブカテゴリーとして、地域の課題解決を目的に開発される「地方創生ゲーム」が挙げられた点が、面白かった。
※予稿集は現状参加者のみ閲覧可能。大会終了後2か月を目途にJ-STAGEで公開されるそうです。
私が実際に発表聞いて予稿集を読んでのコメントですが、理解不足や誤解がありましたらご指摘ください。
今回も学会に参加することにより、ゲーミフィーケーションやシリアスゲームに関するさまざまな発表を聞き議論することができて、とても有意義でした。
(おわり)
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