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バイト・パートなのに社会保険に入らないといけない?~解説編~

近年、法律が改正され
バイトやパートの方でも
社会保険(俗に言う社保)の対象となる場合が増えてきています。

※ご自身が社会保険の加入対象か確認されたい場合は、
別で書いたこちらの記事の方が分かりやすいです。

今回の記事では、
社保って結局どういうものか?
ということから解説していきます。

■社会保険とは

まず社会保険とは何か?
についてまとめます。

実は、社会保険という保険はありません。
いくつかの保険を総称して社会保険という言い方をします。

社会保険 図1

よく言われる社会保険とは、
・厚生年金保険
・健康保険
・介護保険
の総称です。
※狭義の社会保険とも言います。

労働保険と言われる、
・雇用保険
・労災保険
も合わせて
社会保険というケースもあります。
※広義の社会保険とも言います。

通常の生活でよく聞かれる社会保険(社保)とは、
厚生年金保険と健康保険と介護保険
(年齢次第)
を指しています。

企業や雇用主は、
従業員の生活や健康を守るために、
各従業員を対象とした
社会保険へ加入しなければなりません。

■パートやアルバイトも加入が必要?

では、パートやアルバイトも
社会保険に入る必要があるのでしょうか?

パートやアルバイト等の短時間労働者でも、
各保険の加入要件を満たせば、
社会保険へ加入する必要があります。

■加入要件

では、5種類の社会保険について
具体的な加入要件をそれぞれ羅列し
確認していきます。

健康保険
対象:全ての正社員
①短時間労働者の場合
以下の要件を満たすと適用必須
🔲適用事務所であること
🔲正社員の4分の3以上の労働時間であること
※適用事務所とは、株式会社などの法人格であるorスタッフが常時5人以上いる個人事業主の事務所を
※株式会社等の法人格であれば、事業主が1人でも対象
②短時間労働者の場合Ⅱ
ここまでに該当しない短時間労働者でも、
以下の要件を満たすと適用必須
🔲事務所の規模:常時100人超
🔲労働時間:週の所定労働時間が20時間以上
🔲賃金:所定内賃金の月額が8万8000円以上
🔲勤務期間:2ヶ月を超える雇用の見込み
🔲その他:学生ではない
③短時間労働者の場合Ⅲ
ここまでの中で該当しなくても、
従業員の半数以上が厚生年金保険の適用事業所となることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受ければ適用可能

厚生年金保険
健康保険と同様

介護保険
健康保険と同様

40歳以上(〜64歳以下)であること
※65歳以上になると、年金からの天引き
または自治体へ直接納付となります。

雇用保険
対象:以下の要件を満たす従業員
🔲1週間の所定労働時間が20時間以上であること
🔲31日以上の雇用見込みがあること
🔲学生でないこと

労災保険
対象:以下の要件を満たす従業員
🔲1週間の所定労働時間が20時間以上であること
🔲31日以上の雇用見込みがあること

羅列してみると、
社会保険の大まかな加入要件は、
(狭義の)社会保険の3種類はほぼ同じ。
さらに上記を満たしていれば、
労働保険の加入要件も
自動的に満たしている
ということが分かります。

ここで注目したいのは、
(狭義の)社会保険は、
近年、適用要件が緩和され
加入対象者が増えている
ことです。

今までは社保の加入対象者でなくても、
現在または将来では加入対象者になる
ということは充分考えられます。

■社会保険のメリット・デメリット

それでは、
(狭義の)社会保険へ加入することは、
加入者にとって良いことなのでしょうか?

これは、
メリット・デメリットがあるため
受け取り方は人それぞれです。

以下に主なメリットとデメリットをまとめてみます。
 
[メリット]
将来貰える年金が増える(厚生年金保険)
出産手当金が出る(健康保険)
傷病手当金が出る(健康保険)
毎月の保険料は会社が半分負担してくれる

[デメリット]
給料の手取り額が減ってしまう
扶養から外れてしまう

■扶養から外れるデメリット

ここで、
【扶養から外れてしまう】
ことが何故デメリットなのか
以下に解説します。

まず前提の確認です。
全ての日本国民が健康保険に加入していますが、
この健康保険には種類があります。

大きく分けると、
国民健康保険
健康保険
の2つです。

国民健康保険は、
フリーランスなど主に自営業の方が加入します。
健康保険は、
企業に勤めている方が対象です。

健康保険には、
国民健康保険に比べて
以下のメリットがあります。
・保険料の半額が企業負担
・扶養家族分は保険料免除
・出産手当金が出る(扶養者は対象外)
・傷病手当金が出る(扶養者は対象外)

よって、
健康保険加入者の扶養になると、
自身の保険料は免除される上に、
国民健康保険と同等の保険サービスを受けられる
ということになります。

これが、
社会保険の健康保険において
扶養に入ることのメリットです。

社会保険の健康保険において、
扶養となれる条件は以下2点です。
・被保険者の親族である
・収入が130万円未満である

ちなみに厚生年金保険には、
配偶者に限り扶養に入るメリットがあります。

厚生年金保険に加入している被保険者の配偶者が、
以下の要件を満たす時、
(国民)年金の保険料支払いが免除されます。
・収入130万円未満
・厚生年金保険に加入していない

■まとめ

社会保険とは、
健康保険と厚生年金保険と介護保険のことを指します。

近年、この加入対象者の要件が緩和され
パートやアルバイトといった短時間労働者も
加入対象となる場合が出てきています。

加入対象となると扶養に入れないため
デメリットも多くなります。

ご自身の状況を確認して、
状況を整理してみることをオススメします。

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