スタートアップ、ベンチャーに入ったけど成功体験を積めなかった凡人へ
ネパールで農業関係のことをしたりしています。
ネパールへ行く前は1年半ほど日本のいわゆるスタートアップ、ベンチャーと呼ばれるような企業にいました。
(同企業には4年ほど在籍しましたが、そのうちテック系スタートアップの事業部署にいたのは1年半ほどでした)
スタートアップというと華々しいイメージや身を粉にして働くイメージ、スキルが高い人が活躍するイメージがあると思います。
ただ私はそういった類の人ではなく、凡人を自称しています。
そんな私がスタートアップ、ベンチャーに入りどうだったのか、その後のキャリアにどう活きたと感じているのか、今回はその辺について書きます。
私のように凡人と自覚しているけど社会人になってからビジネス領域で頑張ってみたいと思っている人や、何らかの理由でスタートアップ、ベンチャーへの入社を後悔している人の参考になれば幸いです。
まぁ大変
ドメイン知識で入れた
私はもともとスタートアップとかそういった会社の区分けには興味がなく、そういった言葉すらよく知りませんでした。(当時スタートアップ=高スキル人材みたいな認識があったら怖気付いてそういった会社には入らなかったかもしれません)
同社の別事業からテック系事業へ異動した際、正社員は私含めて5名しかおらず、もちろん社長も思いっきり現場に入って業務を行っていました。
私がいた会社はアグリテック系のスタートアップだったため、エンジニアではない営業などビジネスサイドの人には大きく分けて二つの事柄が求められました。
それは「ドメイン知識」と「ビジネススキル」です。
ドメイン知識とは、その業界の知識のことで私の場合はざっくりと農業界の知識になります。
そしてビジネススキルとは、営業やマーケティングなどビジネス全般に向けたスキルのことです。
このうち私が強かったのはドメイン知識(=農業界の知識)であり、反対にそれまでBtoBビジネスに関わったことがなかったため、同事業が必要とするビジネススキルはほぼ持ち合わせていませんでした。
農業×スタートアップは注目こそされていますが、両面で豊富な経験・スキルを持っている人材はそこまで多くなく、スピード命のスタートアップ、ベンチャー界隈の人が分野横断的で習得に時間がかかり、市場価値もつきにくい農業分野にあえて挑戦することは考えづらく、特に会社が小さいフェーズでは優秀な人が集まりにくい傾向にあるのかなと思います。
そんなこともあり、私はほぼドメイン知識一本でスタートアップ事業に飛び込むことに成功してしまいました。
飲み込み遅いので苦労
凡人と非凡な人の違いは「一定のレベルに達するまでに必要な経験回数」にあると考えています。
私がスタートアップという環境に飛び込めたのは、大学時代から農業関係の事柄に打ち込めたことにより農業分野においては人より多くの経験を積めたことを評価してもらえたからだと考えています。
逆に言うと、ゼロから始める事柄については修得までにそれなりに時間がかかってしまうということになります。
この辺りが難しいところで、私で言えばビジネススキルの部分はゼロから習得となったためスタートアップのスピード感についていくにはそれなりに頑張らないといけません。
スタートアップに入れた凡人がつまづいてしまうのはこの部分かなと思います。
裁量が大きいといえば聞こえがいいですが、やったこともない複数の業務を同時にこなしていかなければいけない。
これを楽しく感じることができなければ続けることは難しいです。
私の場合は、幸いにもメンバーが良い方ばかりでミスをしても激しく詰められるようなことはありませんでしたが、取り立てた成功もなく忙しなく過ぎる日々を過ごしていたので環境が環境だったら心が折れていたかもしれません。
会社の成長に貢献したとはあまり思えず、個人的な成功もなく、よく言われる圧倒的な個人の成長は実感できない
勢いがあるので会社は大きくなっていきます。
しかし、インターンの触れ込みにあるような個人としての圧倒的な成長実感はあまりなく、会社の成長に貢献できたともそこまで思えませんでした。
自分が誰か他の人に置き換わっても会社は成長していくんだろうと思いますし、私が会社の初期フェーズを支えたとはお世辞にも言えません。
スタートアップというのはスキルのある人が活躍する傾向が顕著な世界です。
では凡人はそこでは弱肉強食の如く駆逐されてしまう、何も残らない存在なのかというとそんなことはありません。
仮に在職中にスタートアップに入ってよかったというポジティブな実感が湧いていないとしても、私の場合は退職後や次のキャリアを意識することでスタートアップを選んだことに対するポジティブな感情がジワジワと湧いてきました。
絶対成長してる
成功が成長実感の鍵を握っているが、成功は運要素もあるので成長は成功だけが重要なわけじゃない
結論から言うと、成功体験を積めなくても背伸びし続けなければいけない大変な環境に身を置けたことで成長自体は必ずしていると思うのです。
成長を実感するのに一番手っ取り早いのは成功体験でしょう。
ただ、よく言われるように成功というのは運要素もありますし、小さい成長の積み重ねが、ある時何かしらのタイミングと重なって起こる現象に過ぎないのだと思います。
成功体験がなかったり、昇進もない(組織が階層化されていない小規模なベンチャーでは役職があってないようなもの)と目にみえる成長を感じにくいですし、一難去ってまた三難くらいの調子の中で成長実感よりも疲弊の方が大きいこともあると思います。
でもそれは運要素が深く関わる目に見える成果がないだけで、絶対何かしらの成長はしているはずです。
最低限、ハード耐性という自信が持てる
仮に成長実感を持てず会社を辞めてしまったとしても、ベンチャーの経験があれば次のキャリアに対して「何とかなるでしょ」みたいなメンタルが身に付きやすいかなと思います。
何か目に見える成果がなくても、少なくともハードな環境でなんとかやっていく耐性は以前よりついているのではないかと思います。
大きくなっている会社を見て嬉しいし、それが次のモチベーションになる
私の場合は辞めた会社がその後、投資ラウンドも上がり社員数も増えて、私がいた頃とは別組織のようになっています。
この事実を受けて感じたことは主に二つで、一つは「会社の成長が嬉しい」ということと、もう一つは「あのフェーズで会社に入れてよかった」ということです。
「会社の成長が嬉しい」というのは書いたままの感情で、SOを持っているわけでもないので、シンプルに自分が所属していた会社が大きくなっていて嬉しいという気持ちです。
もう一つの「あのフェーズで会社に入れてよかった」というのは凡人ならではの考えですが、現在、同会社に所属している方のことを少し聞くと、私では到底肩を並べられないような人たちだなと思ってしまいます。
もうドメイン知識一辺倒で入れる規模ではなく、ちゃんとビジネスの経験がある人が入るフェーズなのです。
だからこそ、小さい頃のベンチャーに入って経験ができたのはありがたいことだなと思っています。
成功できなくても成長はしているはず
今回は凡人がスタートアップ、ベンチャーと呼ばれる企業に入った結果どう感じたのかについて書きました。
当たり前ですが業界を騒がせるような大きい成功を挙げられる人はほんの一握りで、大半は大変な思いをしながら毎日働いていると思います。
そして、もしかするとそういった環境の中では日々に忙殺され、小さい成功さえもほとんど掴めない人もいると思います。
それでもそういった経験をする前とした後で見える景色は必ず変わります。ですので、特に若いうちはとりあえずそういう業界に足を突っ込んでみるのもいいのではと思います。
とはいえ、私の場合は幸いにもメンバーがよかったので適度なストレスを抱えながらも身体を壊したりすることはなくやってこれましたが、もしこれを読んで何か踏み出したいと思った方であってもくれぐれも心と体の健康には気をつけて頂ければなと思います。
今日は以上です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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