なぜネパールは後発開発途上国なのか
見えづらい貧困
ネパールの都市部にいると路上生活者を見かける機会はインドやフィリピンなどより少なく、後発開発途上国と言われる割には、あまりいないと感じることがあります。
最近では道も舗装されてきており、電気や水のインフラも割と安定し、治安も良い、外国料理も割と食べられるとなると何をもって開発途上と言われるのかと思ってしまいます。
ですが、数ヶ月過ごしてみてネパールが後発開発途上国と言われる所以は、物価の高さ(収入の低さ)、農村部の開発度合いの低さにあると最近は考えるようになりました。
物価の高さ(収入の低さ)
ネパールの物価は先進国の旅行者からしたら安いのですが、こちらの給与水準での生活を強いられるとなると結構厳しいものがあります。
国としては最低月給17,300NPR(約19,400円)ほどは払うよう決めているようですが、それが守られているとは思えません。(上記の最低月給であっても都市部で暮らすのはだいぶハードです)
最近では不動産バブルのようなことも起きており、元手がある人は土地転がしでどんどん資産を増やせますが、そうでない人は地価が上がることに対してデメリットしかありません。
また、一部の農産物やガソリンも海外への依存度が高いため、それらの物価をコントロールすることもできず、物価が高い状態が続いています。
農村部の開発度合いの低さ
ネパールが後発開発途上国と言われる原因として最も大きいのが農村部の開発度合いの低さです。
カースト制度や教育格差、災害への脆弱さなどが農村部の開発を阻害しています。
ネパール在住の方から聞いた話では低カーストのため戸籍がなく仕事に就けない人や債務奴隷となってしまっている人などがいるようです。
またネパールでは人身売買も大きな社会問題となっており、年間12,000人ほどが被害にあっています。
このような人身売買の被害者も農村部出身者が多く、海外で稼げるという話を聞かされて海外へ出て行ったり、駆け落ちを仕掛ける男性(ブローカー)と一緒に海外へ出て行ってしまったり、食い扶持を減らすため子供を売るなどということがあります。
※最近ではSNSを使った都市部の若者をターゲットとする犯行もあるようです。
都市部にいれば英語でもさほど困らずコミュニケーションが取れますが、辺境地に行くと母語であるネパール語の読み書きさえできなかったり、そもそもネパール語が話せないネパール人もいます。
ネパール語話者は世界で1600万人と言われており、この中にはインドやブータンの人も含まれています。多民族国家のネパールではネパール語が第二言語、もしくは話せない人もいるのです。
母国語が満足に使えないとなるとアクセスできる情報もかなり限られるため、この辺りも開発を阻害する要因と言えそうです。
経済発展と開発の両方が必要
ネパールという小国の中にも発展度合いにグラデーションがあります。
都市部はお金を持つ人も比較的いるため、そういった人たちがお金を落とす場所をもっと作る必要があります。
ネパールは送金などでお金が入ってきても国産製品が少ないため、そのお金が海外へ再び逃げてしまうということがあります。
この状況をどうなくしていくかが大切です。
一方で農村部は開発がまだまだ必要な地域があり、基本的人権を侵害されているような生活を強いられている人たちには都市部とはまた違ったアプローチが必要です。
都市部の整理されたインフラや外国料理は国際機関や国際NGO職員のために存在している部分もあり、そういった人たちの力が必要だと言えます。
今回は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。