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『パドレ・プロジェクト / 父の影を追って』を観て

ドキュメンタリー映画『パドレ・プロジェクト / 父の影を追って』

日本人とアフリカ人の間で生まれ、日本で育った武内剛(たけうち ごう)さんによる自らのルーツを巡るドキュメンタリー映画『パドレ・プロジェクト / 父の影を追って』を観てきました。

感想

「2歳の時に一度会ったきりの父親を探したい」と始まったこのプロジェクト。彼にとって、直接会った時の記憶はあまり残っていない父親は、写真で見たことはあるだけの存在でした。そんな彼の父親をめぐるドキュメンタリー映画は私たちに様々なことを考えさせるものでした。

まず、親を探す子どもたちにとって「子どもたちの最大の願いは何なのだろうか?」ということです。実際に会うことなのだろうか?それとも、認知(法的な親子関係を認めてもらうこと)をしてもらうことなのだろうか?もちろん、人それぞれ様々な思いがあるため、一概にいうことはできないと思います。ネタバレになってしまうので詳しい映画の内容は控えますが、全てのケースが今回の彼のような結果になるとは限らないのではないかと思いました。

JFCネットワークもフィリピンと日本にルーツを持つ子どもたちに対してのサポートを行っています。その中で、今回の映画のように父親を探したい、会いたいといったケースを扱うこともあります。

「会いたい!」「会いたくない。」「認知したい!」「認知はするが会いたくない。」様々な返答があると思います。そのとき、子どもたちにどのようにその事実を伝えるか、そしてそれと向き合っていくのかということに関してはサポートする側にも丁寧な対応が求められてきます。両者がこれまでどのような思いで過ごしてきたかということにも聞くことができたらより思いも伝わるのではないかと思いました。さらに、探すだけで終わりではなくその後どのような関係を築いていくかということも重要になってきます。今度も交流を続けていきたいのか、それとも一度会えればそれで良いのか。これからも生き続けていく子どもたちがどうしていきたいのかにできる限り寄り添っていくということを心がけていく必要があると感じました。

JFCネットワークで扱ったケースを紹介しています⇩


 また、この映画では、「人と人のつながりの持つ力」ということも感じさせられました。クラウドファンディングに参加してくれた多くの方々、通訳として参加してくれた女性、現地で父親探しに協力してくれた方々。彼の努力はもちろんのこと、たくさんの人の支えによってこのプロジェクトは進められていきました。初めてあった人たちなのにも関わらず、「探してみるよ」などと協力してくれ、そのような一言はこのプロジェクトにおいて大きな支えになっていたのではないかと感じます。そんな人と人のつながり、そしてたくさんの人の輪が広がっていくことによって日本から遠く離れたイタリアの地で彼と父親の物語もまた進んでいったのだと思いました。そんな人の温かみもこの映画では感じることができました。JFCネットワークにおいても、助けを求めている多くのJFCの子どもたちにもっと手を差し伸べられるように邁進して行けたら良いなと思います。

そして、今回の彼のプロジェクトにはCOVID-19の蔓延も大きな影響をもたらしたのではないかと思います。COVID-19は多くの人に制約を課すとともに、命の大切さについても改めて考えさせるきっかけになりました。彼もそのひとりであっただろうと思います。父親とこの先会えるかわからない状況の中で、大きな決断を下し、このプロジェクトは行われました。「人生は一度きりなんだから、やりたいと思ったら行動に移す方が良い。」と終演後の舞台挨拶で語った武内さんの言葉は印象に残っています。私も何かやっておきたいと思うようなことがあれば、まずやってみるということを意識していきたいです。

映画もとても良かったのですが、その後の武内さんの舞台挨拶でのトークもとても面白かったです。私が見させていただいたときのゲストは芸人の与座よしあきさんでした。かつらで登場というおちゃめな演出から始まり、興味深いお話もたくさんしていただきました。与座さんの地元である沖縄のお話にもあり新たな発見もありました。そして、どんな思いで作品を制作したかについて武内さん自身からお話を聞くことができてとても良かったです。とても楽しいひと時を過ごすことができました。


主人公の武内剛さんとかつらの与座さん

多くの人にこの映画を見ていただきたいと思います。ぜひ、劇場へ足を運んでみてください!


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