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もし、あのとき違う道を選んでいたら…。元アパレル副店長がキャッシュフロー計算書に挑むまで

経理・財務の挑戦メディア『デンタツ』!
第17回目を迎えました。

女性のライフステージにおける課題を解決する製品やサービス・Femtechフェムテック
不妊・少子化という課題解決に挑み、新しい家族をのぞむ誰もが笑顔になれる社会をつくることを目指しているVarinosバリノス株式会社で、経理リーダーとして活躍中の村永織江さん。

村永さんとの出会いは2021年。当社JAPANFASが村永さんの前職へ業務支援にうかがった縁で、転職をお手伝いさせていただくことに。


アパレルから経理という変化に富んだキャリア、約10ヶ月経験されたスタートアップのリアルなどを語っていただきます。

担当はJAPANFASの俵家と大沢です。


キャリアの先輩をご紹介

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Varinos株式会社
経営管理本部
経理リーダー

村永 織江 氏


2009年 アパレル会社 入社
2017年 大手上場企業のシェアドサービスセンター会社へ派遣社員として入社
2019年 株式会社エイショウ光学 入社
2020年 上記グループ会社・株式会社ANWへ転籍
2020年    グループ親会社・株式会社BSMOへ転籍
2021年 Varinos株式会社 入社

※所属・役職は取材当時のもの
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アパレル歴7年


――村永さんのファーストキャリアはアパレル販売員だそうですね。なぜ就職という進路を選ばれたのでしょうか。


中学2年生のころに友だちと渋谷109に行って、店員さんがキレイだったことから、とあるお店に憧れをもち、私も働きたいなと。それがきっかけでした。
通っていた学校に掲示されていた求人募集にそのお店がたまたま載っていて、受けてみたらご縁があったので就職しました。

「ショップ店員になりたい」という気持ちが強かったんです。ショップ店員は若いうちからできるし、働きながらでも学べると思ったのでとくに進学は考えずに。

もし何かを学びたくなったら、そのときに学べばいいかなと考えていました。


入社後はショップ販売員として、店頭接客や売上管理、後輩への接客指導などをおこないました。

売上管理として月の予算をたてて、目標金額を達成するための戦略を考えることが自分は得意だなと気づいたころ、
「会社ではどのようにお金が流れているのかな」
と疑問に思うようになりました。利益やコストが気になってくるといいますか……まわってくるお金の流れが気になって。


そんなとき、「簿記を学べばお金の流れがわかる」ということを知り、会計知識を学べる日商簿記という資格に興味をもちました。

とはいえこのとき25歳。7年間携わってきたアパレル業界から離れて違う職種にいくことは、とても不安でした。

でも、簿記の知識と自信をつけたい気持ちのほうが強く、退職。

自分を信じて3ヵ月勉強をして、日商簿記2級を取ることができました。


不安いっぱいの事務デビュー


――資格取得後、経理職のはじまりについて聞かせていただきたいです。


「勉強したからには資格を活かしたい」という想いがあったのですが、事務も経理も未経験ではなかなか雇ってくれるところがありませんでした。
それに、事務職で新しい環境になじめるかどうか不安な気持ちが強かったんです。
 
なので、都度契約更新ができる派遣社員という道を選び、大手企業の派遣社員として事務デビューしました。

売掛金チームに所属し、入金消込や手形の処理、売掛金差異の精査などを担当していました。大企業ゆえにマニュアルやルールがしっかりと守られており決められた業務をする日々で、とくに苦になることもなく。まわりの人にも恵まれていました。

ただ業務に慣れてくると、せっかく簿記の勉強をしたのに活かせているのが売掛金でしかないことに物足りなさは感じていましたね。

そうして就業から2年が経つころ、就業先の経理業務の約8割が他社へ委託されることになり、所属していたチームが解散することになりました。

なので、2度目の転職活動はいきなり始まり...…(笑)。

次は簿記の資格をまんべんなく活かしたい気持ちがあり、中小企業の経理職を志しました。もっと業務の幅を広げられるような仕事を、と思って入社したのが、3社目のエイショウ光学です。


なんでもやってみたい


――3社目では正社員として入社されたんですよね。どんな業務を担当されたのですか?


売り上げと仕入れを担当しました。ここでもルールがしっかりと決まっていたので、そのとおりにやっていきました。

――翌年にはANW社に移られていますね。これはどのような経緯で?


3社目のエイショウ光学と4社目のANWは、もともとグループ会社だったんです。それがイチ取引先になるという話を知り、離れる前のタイミングで上司に打診し、ANWに転籍させていただいたという経緯です。

――当時、どんなことを思っていましたか?


上司に打診してよかったな、と思いました。
ANWでは親会社の経理と子会社の財務などを担当できて幅広い業務をやらせていただき、嬉しかったです。

月次決算までの締め、支払い処理、資金繰りの管理などの業務に携わり、私も少しは一人前になれたのかな? と思えました。

日々発見や学べる楽しさがあり、「もうなんでもやってみたいーー!!」という気持ちが強くなったのがこの時期です。

――充実されていたようですが、会社の事情で再度転籍することになったそうで……。


5社目のBSMOへ転籍した理由は、会社が上場準備を始めたことで、グループ内の管理部をすべて親会社に集約する動きがあったためです。意図せず辞令が出て。

それまでは経理の一巡ができて「やったー!」という気持ちでいました。
そこから急に、「上場? なにそれ?」みたいな。

ですが、経理としていろいろな業務ができるんだろうなというワクワク感がありました。

BSMO転籍後は子会社が増えて、同じグループ内でも会社によって処理の仕方が違ったり、売上の立て方や何事にもフローがあったり。グループの事業に対して、より興味を持つことができました。

グループ全体の会計、経理業務と子会社の財務など、経験値といいますか、業務の幅が広がったように思います。


あたたかい人柄の経営陣


――そんなときに当社との出会いがあったわけですね。転職活動を経て、複数社から内定が出ていたなかで、Varinos入社の決め手はなんだったのでしょう?


本音を言いますと、最後の最後まで「安定した会社に行きたい気持ち」がどうしても強くて、できれば長く働きたいし、とても迷いました。

Varinos社のほかには従業員1000人規模の上場企業などの選択肢もあったのですが……

経営陣に魅力を感じたことが、なによりの決め手になりました。

最終面接で、経営陣の方々が「目標を持ってチーム一丸となってやっています」というあたたかい雰囲気で、この方たちといっしょに仕事をしたいなと思えました。

それから経理担当として、前職の延長戦として業務を進められることや、経理としての経験をもうワンステップ踏めること、さまざまな職種のスペシャリストがいるVarinosを盛り上げていきたい気持ちが強くなったことも、入社の理由です。

また、不妊治療に特化した事業で、同じ女性としてそのような事業ってすばらしいなと。私も携わっていきたいと思いました。


――Varinos代表・桜庭氏は、村永さんから見てどんな印象の方ですか?



物腰が柔らかく、話しやすい人です。代表という肩書ですけど、近い存在というか。そして理化学出身の方なので、遺伝子とか化学系にものすごく強いんです。

私の入社時、桜庭が直々に研修の時間を作って事業について教えてくれました。経理だからといって垣根がなく、仲間・チームとして受け入れてくださっている感があり嬉しくて、印象に残っています。


――現職で担当されている業務を教えてください。


日常仕訳から月次決算、年次決算。そして税理士対応、監査対応、開示書類の決算短信作成をしています。
会計ソフトが前職と同じものなので、入社後にそれほど苦戦することはなかったように思います。私が入るまではCFOの平川がやっていた業務なので、困ったときには聞ける環境です。

アパレル業界にいた経験をくみとっていただき、当社で販売しているサプリメントのECサイト運営やカスタマー対応、SNS企画運営も担当しています。

商品購入を検討している方からお電話をいただき購入につながったときや、愛飲してくださっているお客様より妊娠のご報告をいただいたときは、とてもうれしいです!

経理以外の業務は、仲間から助言をもらったり日々支えられながらチャレンジしています。


入社早々の試練


――現職でもっとも苦労されたのは、どんなことですか。


現職での年次決算中、税理士対応とはじめての監査対応が同時期に入っていたときが大変でした。昨年11月に入社して、12月決算で。

限られた時間のなかでの資料の準備や、内容を理解していただけるよう説明することは、とても大変でした。

事業の説明をするという経験がこれまでなかったので、とくに苦労しました。まだ理解できていない部分もあったなかで資料を用意したり……。

――大変そうです……どのように乗り越えられたのでしょう。


経験豊富な上司に支えてもらったこと、あとは負けず嫌いな性格のためかなと思います。
ただ、アパレル業界のときとは違い、“他人に対して”ではなく“自分に対して”負けたくないという気持ちが強いです。

大勢の先輩がいた前職と違い、今は少数精鋭なので、「自分ががんばらなくては!」と思えたからこそ乗り越えられたのだと思います。

――自信がついたのではないでしょうか?


そうですね。乗り切ったことでひとつ自信がつきました。

現在、四半期決算を迎えていますが、何を聞かれても動じないで答えられるようになったというか。そういう自信はついたかなと思います。


経理だけど会社のことをなんでも知っている、ちょっとすごい人


――今後挑戦してみたいことがありましたら、お聞かせください!


今、キャッシュフロー計算書の作成をするため勉強中なんです。作れるようになることを上司と約束したので。ゆくゆくは開示書類も作れるようになったらいいなと、なんとなく描いています。

経理業務って思ったよりも奥深いなと気づきました。経理は経理だけに特化していればいいっていうわけではないのかなって。

思っていた以上に他部署とのコミュニケーションが必須となってくるので、相談しやすい・話しかけやすい人でありたいなと思っています。

そのために、他部署の方が毎日どんなことを考えてどんな目標を持ち業務に励んでいるかを寄り添って考えていきたいですし、経理担当だけど会社のことをよく知っている、ちょっとすごい人になりたいです!

コミュニケーション能力ってすごく大事だなと気づいたので、過去に接客業をやっていてよかったなと思います。


――もしVarinos以外の会社に入ってたら……と、考えることはありますか?


考えます! 考えるんですけど、やっぱり、これほど多くの経験を積めるのは今のVarinosだったなと確信しています。

メンバーが多い経理チームの場合は業務の一部だけを担当することが多いので、それを1年2年続けていたら、ほかの担当業務もやってみたい気持ちがぜったい芽生えます。

なので、Varinosにきてよかったなぁーと! 後悔は無いです。

25歳のあのとき経理の道を選んで、ここまでくるとは思わなくて、Varinosにジョインさせていただき……。(感慨深そうなようす)
いや、ほんとにFASさんに感謝です。


可能性が無限大にある環境


――「ベンチャー・スタートアップ」に、どんなイメージを抱いていましたか?


大手企業とは違いルールやマニュアルがないなかで業務をおこなうので、考えることも多くて大変そうなイメージがありました。
一人ひとりのタスクが多いんじゃないかな?残業も多いんじゃないかな?って。

実際に入ってみて、大手企業と比べると多少ギャップは感じたものの、自分がいいと思ったものや効率の良いフローなどを相談して決められますし、自身のモチベーション次第で可能性が無限大にある環境だと感じました。
働き方次第で、きっと変わってくると思います。

大変なぶん、達成感があります。ベンチャーだから大変というよりは、そのぶん楽しさも味わえるような環境なのかなと思いますね。とらえかた次第かなと。

――スタートアップの魅力ってなんだと思いますか?


大手のときはフロア全体が経理だったので、経理以外の方と話す機会はあまりありませんでした。
ベンチャーに入って、隣に営業や法務、検査などさまざまな職種の方がいて、そこがいいなと感じています。

あとは、「こうしていったほうがいい」とか自分でものごとを決めたり、ルールを作ったりしていける楽しさっていうものを感じられているなと思います。タスクの進め方・予定の入れ方をだいたい自分で決められるのも良いなって感じます。

苦しいことは……ないですね。
困っていることも……(自分の)知識が足りていないからくやしいなと思うくらいでしょうか。


――最後に。キャリアに迷っている方にむけてメッセージをお願いします!


ベンチャー・スタートアップは、タスクが多かったり業務の幅が広かったりと大変なイメージがあると思うんですけど、自分のやり方次第で経験が積んでいけると思います。

やる気次第で可能性がどんどん広がっていきますし、経験が増えていくことで自分に自信が持てる最高の環境だと思います。

迷っているならまずは足を踏み入れてみて、視野を広げてみてください。

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村永さん、ありがとうございました!



Varinos株式会社|https://varinos.com/


ミッションは「ゲノム解析技術を通じて、家族の未来をつくる」。
JVA(Japan Venture Awards)2020で経済産業大臣賞を受賞。
ゲノムや遺伝子のエキスパートとして個人ごとに異なるゲノム検査結果を医師が理解し判断することをサポートする。子宮内の超微量な菌を検出する『子宮内フローラ検査』を独自開発し、臨床検査として実用化。自宅でできる検査キット『子宮内フローラCHECK KIT』やサプリメント『子宮内フローラのためのラクトフェリン』を展開。

※写真はすべてVarinosオフィスにて撮影
※写真撮影時のみマスクを外していただきました

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企画/JAPAN FAS株式会社
写真・文/Yui Osawa


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