30歳過ぎたらベンチャーに挑戦すると決めていた。重ねた努力と思考チェンジで成し遂げてきたキャリアと、これから
経理・財務の挑戦メディア『デンタツ』!
第15回目を迎えました。
代表2人の学生起業から始まったITサービスベンチャー、株式会社Branding Engineer(以下、BE)。2020年7月に東京証券取引所マザーズ市場へ上場。
その勢いは衰えることなく、今日も急成長を続けています。
インタビュイーは、上場を支えたキーパーソンである加藤真さん。
描いていたキャリア、成し遂げたかったミッション、そしてBEという会社について。
飾らないことばで語っていただきました。
担当はJAPAN FASの俵家と大沢です。
キャリアの先輩をご紹介
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加藤 真 氏
株式会社Branding Engineer
上級執行役員
経営戦略本部長 兼 経営企画室長
2019年9月 株式会社Branding Engineer 入社
2020年5月 株式会社Branding Engineer 執行役員就任
※所属・役職は取材当時のもの
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キャリアを描き始めた高校3年生
――キャリアを計画的に築いている印象の加藤さんですが、いつごろからイメージしていたのでしょうか?
おそらく、高校3年生くらいですね。当時は今ほどしっかりとしたビジョンではなく、「働くんだったら意味のある働き方・コアな仕事をしたいな」とイメージしていました。
自分にできるコアな仕事ってなんだろうと考え、
「世の中はお金でまわっている、じゃあ経済だ。経済とはひとつひとつの会社の集合体。つまり会社を動かす側になり意思決定をすることが、演繹的に経済・社会につながっていることになるんじゃないか」
と、なんとなくそういう発想になり、大学では経営を学びたいと思って経営学科に進みました。
数年後の就職活動時、
「なんでこの大学に入ったんだっけ? あぁ、経営をやりたいんだった。
じゃあ数字を語れるようにならないと、経営に携われない」
と、初心に立ち返ってみて、財務経理になりたいと考えました。
上場企業と非上場企業とあるなかで上場企業には開示というものがあり、より専門的な知識を付けられるのはたぶん上場企業だろうなと。
そして上場企業にもいろいろあるけど、将来の選択肢を広げるためには原価計算に携われるメーカー。
かつ、規模が大きすぎる会社だと「固定資産だけ」「税務だけ」と担当範囲が狭くなってしまうので、全部にチャレンジできる可能性がある会社に入りたいという考えで方向性を決めました。
縁あって望んだとおりの会社に入った、というのがキャリアのはじまりです。
――当時まだ学生だったとは思えないキャリア観ですね!
結構悩んで‥‥悩み抜きましたね。
親にも友人にもこの悩みを理解してもらえず(苦笑)、結局相談できずにひとりで考えた結果「これしかないだろう」と答えを出しました。
みんなと同じことしてたら、同じようにはなれるけど、同じようにしかなれませんから。レールに乗って動くよりも、自分でなんとかできる環境のほうが、がんばれそうだなと思いました。
ベンチャーに憧れがあった、というのがあるかもしれないですね。年功序列ってどうなの? と。
がんばったらがんばったぶんだけ還ってくるような環境がまぶしく見えた、というのが当時あったように思います。
じゃあ何ですぐベンチャー入らなかったの? と思う人もいるかもしれませんが、経理などの数字を見る職種というのは、会社の中でもとくに常識的な思考を持っていないといけないと思ったんです。
いきなりルールがないような環境に入ったら、はたしてそれは通用する能力になるのか? しっかり整っている企業で汎用性のある能力を身につけて、そのちからをいずれベンチャーで発揮するかたちが一番いいんじゃないかなって。
経理のイロハを知った1社目
――新卒入社した上場企業では、どんな経験を得ましたか?
あたりまえのことでも、「なんでこうなっているんだろう?」と考えるクセがつきました。
「なんで稟議があるのか」「どうしてこの順番になっているのか」
それってなんで? と、事あるごとに考えました。
1社目は学びの場だったととらえています。組織とは何ぞや、というところの勉強。そこを意識して学んだがゆえに、のちにベンチャーに入ったときに展開できたので、とてもよかったと思います。
経理として採用されたんですが、まずは営業企画とか経営企画とかのいわゆるミドルオフィスを2年半。そのあと経理を2年ほど経験しました。
手作業でがむしゃらにやりながら経理のイロハというのを身をもって知った2年間でした。やらなきゃいけないありとあらゆることをやったという感じです。管理会計や財務会計、それから連結決算仕訳にも少し関わったり、幅広くやりました。
――最初の転職のきっかけは、なんだったのでしょうか。
あるとき、親会社の人事部へ異動する話がでたんです。
当時はまだ経理を掴み切れていないし、まだまだ自分の能力を高めたいと思っていたので、経理のキャリアを積める場を求めて転職することにしました。
自分のプレゼンスを高めるには、大きい組織のなかの歯車というよりはベンチャーにおいてやるほうが早く裁量がもらえるかなと考えて、
「30歳を過ぎたらベンチャーに出よう」
という想いを持ちながら、2社目の菓子メーカーに入社しました。
ただ、チャレンジしたくないと思った場合にはそのまま残りたいと思える会社を選びました。将来、家庭をもっていて、きっと子供もいるだろうから、そのときの状況でチャレンジしたいかしたくないかで決めようと思っていたんです。
そうして、2社目には経理メンバーとして入り、最終的には、専任がいた税務と固定資産をのぞくすべての業務を担当しました。
給与計算から連結決算まで、やりたいと言ったものはやらせてくれる環境がありました。
面接のときに「なんでもやらせてくれますか? それを重視しています」と言って、「いいですよ」と言ってもらったので、その言葉どおりにチャレンジさせてもらいました。
そうして31歳になったとき、「やっぱりベンチャーにチャレンジしよう」と思えたので、挑戦することにしたんです。
IPOを目指しているベンチャー企業で、できればマネージャーポジションになれるところ。当時の自分は能力的にリーダークラスだと認識していたので、いきなりマネージャーではなくて、目指せるところ。
そこを転職の軸にしました。
身をもって知ったベンチャー企業と上場企業の違い
――3社目で初のベンチャー企業に入ってみて、いかがでしたか?
想定していたよりもギャップを感じましたね。
これまでの環境は恵まれてたんだなと思いました。
「自分はできる」とこれまで思えていたのは、ただ環境があったからこそだったんだなって。
というのも、開示までちゃんとやっているような伝統ある企業というのは、現場から正しい情報がシステムなどにのってきて、経理はチェックしたり修正したりする、そういう仕事がメインです。
出てきたものをもとに数字をつくりあげるのがあたりまえ。それが一般的な上場企業。
かたやベンチャー企業は、そもそも営業から来る数字が固まっていない。請求書が、あがってこない。
何が正しいのか、わからないんです。
「そんな環境で正しいものができるわけない」と言ってしまうとそのとおりなんですけど、
じゃあ正しいものをどうやってつくるのかを考えるのが役割・仕事だよね、って。そこに思考チェンジができないと、つらいでしょうね。
「来たものをさばくことができる」ということを「仕事ができる」と思っている人は、ベンチャーだと多分ものすごいギャップが生まれるんですよね。
よく言われる、「やりかたを変えて時間を短縮しました」は、できあがったものを変えているだけであって、すでにできあがっている環境に有難みを感じていないと。
自分も身をもって感じ、戸惑いもありましたが、思考を変えた途端に仕事が増えていったんです。自分じゃなくても経理をまわせるようにあらゆる仕組みを変えていきました。
――現職のBE社とはどんな出会いだったのでしょうか。
いろいろあって前職を辞めることは決めていたものの、次に何をしようかと迷っていたとき、私の師匠のような人に「いいところある?」と聞いたら、「高原さん(BE代表)のところが人を探していたよ」と。
高原とは以前に2、3回飲んだことがあって、
「(BEは)ふつうのエンジニア企業と違うんです」
と仕事の話をすごく生き生きと語っていたことが印象に残っていました。
ビジョンや会社として持っているアセットがおもしろいというのが私の頭にずっとあったので、話を聞いてみたいと思いました。
「会いましょう」となって会ったのが、2019年5月のことです。
面接というよりは、「こういうことが困っているから手伝ってくれないか?」という話で、具体的には、「事業部門の稟議や予算などができていない・時間がかかっているから、そこをどうするか考えて実行してほしいし、好きにやっていい」とのことでした。
であれば、今までやってきたことがシンプルに活かせるし、イメージも湧く。
「いいよ。やろう」と返事をしました。
――ジョインの決め手にもなったという代表の2人の魅力は、どんなところにありますか?
ベンチャーの若い経営者っていろいろな人がいるんですけど(苦笑)、当社の代表は、吸収力‥‥柔軟性‥‥なんていうんだろう‥‥素直?
どんな人の話でも、ちゃんと話を聞いてくれるところ?
適切に組み立てて話したら、「なるほど」と理解して受けとめてくれる人たちなので、仕事がしやすいです。聞いたうえで、飲みこむ飲みこまないは別として。
それから、エネルギッシュにビジョンを持っていて、彼らと働いていると飽きないだろうなぁと思った、というのはありますね。
事実それまでは、「この会社に来たら、これを成し遂げよう」と自分のミッションをクリアするための転職をやってきたなかで、BEでの2年半は、やらなきゃいけないこと・やりたいことが尽きません。
次から次へと新しいことがあるというのを感じています。
それをもたらしているのが、河端・高原という代表2人の、現状に満足しないで伸ばしていこうとする人間性。そんな人間性に惹かれたと言えますね。
――BEで成し遂げたかった「自分なりのミッション」とは?
上場したい。上場させたい。そこがまちがいなく当社に入ったミッションで、成し遂げたかったことです。
無事に上場したときの気持ちは「ほんとにできるんだ」(笑)。
安堵感ですね。ちゃんとできたなぁと思って。達成感も‥‥うん、感じましたね。一生に何回も経験できることではないので。
「(東証の)鐘を鳴らしたい」という思いがあったんです。コロナ禍ということもあり社内からは5人しか打ちにいけなかったのですが、もしあのとき選ばれていなかったら相当荒れたと思います。打ちたい、打たせてくれ!!って。
会社がより成長するために必要なことはなんだろう
――上場したことで起きた変化は、なにかありますか?
上場前は“上場”というマストなことを達成するための準備にみんながちからを割かないといけなくて、管理体制とか不慣れなことをつくっていくことが多かったんです。
そして上場達成後、つくったものをまわすようになると、現場の負荷は減りました。そのぶん、より成長する・伸ばすためにできることを考える時間と、これから何をどうしたい? という話が増えました。
上場を第二スタートとして、第二創業期だなと感じています。
管理部門としては、上場したがゆえにできること(M&Aとか)が増えてきたので、そこが対してアンテナをはって自分の仕事をしていくことが必要かなと思うし、そういうことできるようになったというのはポジティブな変化ですね。
私自身としては、自分軸は横に置いておいて、
「会社を、代表の目指すところまでもっていくにはどうしたらいいか」
が成し遂げたいことに変わりました。
自分が介在することで、この会社をどうやったら大きくできるだろう? と考えています。
あとは、強い管理部門をつくりたいですね。成長期にある当社が少数精鋭のギリギリな体制でまわすと、ちょっとイレギュラーなことが発生したり負荷がかかったときに、崩れると思います。余裕がないので。
であれば、それを見越してあらかじめそういったことができる体制にすべきでないかと思っています。考えることを入れても止まらない管理部門をつくっていきたいです。
今後M&Aや新規事業立ち上げ、子会社立ち上げなどドンドン攻めていく予定なので、しっかりしたメンバーをそろえてグループ企業に育てたメンバーを送り出したり、逆輸入して育てたりとかもしていきたいですね。
採用した人に対して、ホールディングスにおいて全体を管理する立場と、事業会社にいって経理を理解して事業側で数字をつくっていくところ、そのあたりをぐるぐるまわすことで、どこに行っても通用するような人たちを育成する組織にしていきたいんです。
BEの管理部門にいたらどこのベンチャーでもやっていける、というような。
ゆえに、そういうふうになりたい方はぜひ来てほしいです。
育てるとはいうものの自分でやっていただくことが圧倒的に多いので、自分で掴んでいきたい方に来ていただきたいですね。
必要なのは、あたりまえをつくっていくチカラ
――より具体的には、どんな人と一緒に働きたいですか?
チャレンジする・自分でとっていく人です。
受け身や待ちの姿勢の方は、そもそもベンチャーに向いていない。
それどころか、当社にはとくに向いていないと思います。
逆にアクティブな方だと、こんなになんでもできるの! と思えるのがうちの会社だと思っていて、ほんとに心の底からやりたい人がいたら、向いていると思います。
「上場企業で上が詰まっているから、ベンチャーならいけるんじゃないか」という方がいたら、そんなにベンチャー甘くないよ、とは言いたいです(笑)。
作業者でいる以上は、やることが少ないんです。でも思考を変えて、全部を直すとか、とにかく自分のちからでいいようにするって考えた瞬間に、仕事がすごく増えるんです。
「何が仕事か」っていう切り替えができないと、思ってたのと違うってなると思うので。あたりまえをつくっていくチカラが必要です。
現場のできていないことをより精緻に見るとか、ミスを起こさないようにするとか、現場に入ってイシューを自分なりに掴み、それをどう処理するかをいっしょに考えてくれる人にきてほしいなというふうに思います。
「ポジションが空いている」ということが、いかに恵まれているか
――加藤さんから見て、BEの魅力はどんなところにあるでしょう?
やりたいと思ったことをやらせてもらえる環境。あとは、ポジションが空いていることです。ポジションが空いてるということ、これを有難いと思ったほうがいいと思っています。
リーダーやマネージャーがいないことがなんで恵まれているかというと、なろうと思って成果を出せば、なれる環境だからです。
上が詰まっていると、上を吹っ飛ばすしかないんです。
吹っ飛ばすには、圧倒的パワーとか段違いなスキルとか政治力とか、「特別な何か」が必要なんです。
それらがなくても、ただがんばれば、ポジションがとれるチャンスがあるという環境が、いかに恵まれているか!
そうなりたいという人が入ってきたときに、どんどんやっていいよ! やりなよ! という環境がBEにはあります。
そういったキャラクターを代表陣も求めていて、伸びていきたいという人にはフィールドが無限大にあります。
「やりたいって言えばなんでもできる」ってベンチャーだとよく言われるんですけど、それがより現実的にありますね。
「あなたはどうなりたいですか?」
――それでは最後に、ベンチャー・スタートアップに興味がある方々へのメッセージをお願いします。
メンバーにもよく問いかけるんですけど、「あなたはどうなりたいですか?」
自分の目指すキャリアと現在の自分を直線で結んだとき、やらなきゃいけないことが本質的に見えてきます。この自己分析をしたうえで将来を考えてみてください。
その結果、当社とベクトルがあっている人であれば、ぜひ、来てほしいです。
自分にも、培ってきたものがあったので、知人とも出会えて、BEを紹介してもらえて、今ここにいます。
でも、もし努力をせず能力がなかったら、そもそも代表の高原とも知り合えていないし、紹介してもらえていなかったと思うんです。
今までの積み重ねがあって、そこにひとさじの運が加わったから、今がある。
普段からがんばっていればこそ、運が来たときに掴めるんだよ、と言いたいです。
――加藤さん、ありがとうございました!
株式会社Branding Engineer https://b-engineer.co.jp/
経営理念は「Break The Common Sense」。ITエンジニアに寄り添った新サービスを提供する、これまでにない新しいプラットフォーム構築を目指しています。2020年7月7日、東京証券取引所マザーズ上場。DX・開発・組織に関する深刻な企業課題に対しソリューションを提供することでプロジェクトを成功に導くことができる『エンジニアリーチ』を2022年提供開始。
※写真はすべてBranding Engineer渋谷オフィスにて撮影
※写真撮影時のみマスクを外していただきました
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加藤さんのキャリアは、BE社のWantedlyストーリーにも掲載中!
こちらもあわせてご覧ください!
◇緊急告知!ウェビナー開催決定!!
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おかげさまでご好評のうち終了いたしました。
またの機会をお楽しみに。
◇マガジン『デンタツ』バックナンバー
2022年IPO🎉ANYCOLOR社の経理、小松さんへインタビュー✨
◇お問い合わせ
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◇最後に
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企画/JAPAN FAS株式会社
写真・構成・執筆/Yui Osawa
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