「(動画)LGBT教育に反対する親が学校でレインボーフラッグを破棄」は寸劇で誤り【ファクトチェック】
「LGBT教育に反対する母親が学校に乗り込んでレインボーフラッグを破棄」との言説が動画と共に拡散しましたが、誤りです。動画は寸劇の一部を切り取ったものです。
検証対象
2023年11月7日、「LGBT性教育に反対する母親が学校に乗り込んでLGBTフラッグを破棄」との言説がX(旧Twitter)上で動画と共に拡散した。動画には、激怒した様子の女性が部屋に乗り込み、前方の壁に掲示しているレインボーフラッグを引き剥がし、ゴミ箱へ捨てる様子が映っている。授業の進行を妨げる母親と教師が口論をする、という内容だ。
レインボーフラッグは、セクシュアリティの多様性を意味し、LGBTQ+を象徴する旗として知られる。
返信欄には「声がデカくて少数派の異常者を尊がる風潮なんなの?」「立派な母ちゃん」などのコメントが相次ぐ一方で、「出典元の確認はお忘れ無く」「元は啓発動画」と指摘する声もある。
検証過程
拡散した動画の一部のスクリーンショットをGoogleの画像検索にかけると、同じ内容の動画が、2023年9月17日にFacebookに投稿されている。Xで拡散した動画の尺は1分22秒だが、Facebookの動画は6分41秒で、Xの動画は一部が切り取られたものだと分かる。
元動画の投稿者はJibrizy Mediaというアカウントで、議論のためにリアルなシナリオの社会的・政治的動画を制作している。検証動画の元となった動画を確認すると、6分27秒ごろに“this is all the skit(全て寸劇だ)”との説明があり「このような状況に陥ったら、あなたならどうするか」と問いかけている。
今回、拡散した動画は、元の動画の冒頭部分のみを切り取っており、「寸劇だ」という説明や投稿者のクレジットは表示されていない。この切り取られた動画は2023年9月にも海外で拡散しており、APがファクトチェック記事を配信して「寸劇であり、現実ではない」と判定している。
判定
動画は一部が切り取られており、元の動画には台本のある劇であると示されている。よって誤りと判定した。
検証:住友千花
編集:藤森かもめ、古田大輔
検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。
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