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「東日本大震災での自粛や批判をきっかけに陸上自衛隊で赤飯が廃止された」は誤り【ファクトチェック】


陸上自衛隊で支給されていた赤飯が東日本大震災の際の自粛や批判から廃止されたという言説が拡散しましたが、誤りです。廃止のきっかけは、缶詰からレトルトへパッケージを変えたことでした。

検証対象

陸上自衛隊で赤飯が支給されなくなったことについて、東日本大震災の際に自粛したり、批判されたりしたことが理由だという言説がツイッターなどで拡散した(例1例2)。毎年3月11日が近づくと拡散しており、2023年も表示回数が100万回を超えたツイートがあった。

リプライ欄を見ても、東日本大震災のときに自衛隊員が赤飯を食べて批判されたことが廃止の原因だと信じている投稿が多数ある。

検証過程

日本ファクトチェックセンター(JFC)は防衛省陸上幕僚監部に問い合わせた。赤飯の支給がなくなったのは事実だが、理由は東日本大震災ではないという。赤飯(缶詰)を支給していたのは1980年頃から2013年まで。廃止の理由は以下の通りだ。

「陸上自衛隊の非常用糧食は、缶詰型から軽包装型(レトルトパウチ)へ変更しております。その検討のなかで新たな献立に変更した結果、赤飯は献立からなくなっています」

東日本大震災で赤飯を食べる自衛隊に批判が寄せられたということは事実かどうかも聞いた。 批判があったかについては「資料が残っていない」という回答だったが、赤飯を自粛したことはあったという。

「当時、被災地での住民への様々な配慮が考えられたなかで、現地での赤飯の喫食を中止したようです」

判定

自衛隊で赤飯を支給しなくなったのは非常用糧食の形態が変わったためであり、東日本大震災がきっかけという言説は誤り。

あとがき

「自衛隊が被災地で食べる赤飯がお祝い事のようだと批判された」という言説と、非常用糧食の形態変更で赤飯が廃止されたことを紐付けて、今回の言説は拡散したようです。しかし、変更は2013年であり、東日本大震災とは関係ないものでした。まったく関係のないことを結びつけて語ることも誤情報や偽情報によくあるパターンです。

陸上自衛隊が赤飯を支給していたのは「赤飯はもち米による腹持ちの良さ、小豆の栄養素があることから主食として採用されていました。祝い事に使うというよりは、一つの献立の種類として、同じ献立が連続しないようにランダムに支給されていました」とのことです。

検証:杉江隼、リサーチチーム
編集:古田大輔、藤森かもめ


検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。

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