ひろゆき氏「性被害者の22人に1人は挑発的な服装が被害の一因」は誤り【ファクトチェック】
ひろゆき氏による「ユタ州立大学の調査では性被害者の22人に1人は挑発的な服装が被害の一因」というツイートが拡散しましたが、誤りです。
検証対象
ひろゆき氏による「ユタ州立大学の調査では性被害者の22人に1人は挑発的な服装が被害の一因。ちなみに殺人だと22%は服装が原因」「『服装と性犯罪の被害は関係がない』は嘘」というツイートが拡散した。
このツイートは2023年8月25日時点で3934回リツイートされ、2万件以上のいいねを獲得している。リプライには、ひろゆき氏に賛同する声の一方、「この論文には服装は原因じゃないって書いてるように見える」と、疑問視する投稿が複数あり、コミュニティノートも付けられている。
検証過程
ひろゆき氏は、韓国の人気DJ「DJ SODA」さんが大阪での音楽フェスで複数の観客から胸を触られるなどの性被害を受けたと告発したことをめぐって投稿した。
「服装と性被害は関係ない」というDJ SODAさんのツイートに対して、「ユタ州立大学の調査では性被害者の22人に1人は、挑発的な服装が被害の一因だそうです」と引用リツイートをし、「『服装と性犯罪の被害は絶対に関係がない』は嘘です」と結論づけている。
根拠としているユタ州立大の調査に関して、ひろゆき氏は質問サイトGoogle Answersへのリンクを付けている。リンク先のページでは「強姦事件において被害者の服装はどのように非難されるか」という質問に対し、回答者はユタ州立大の調査など複数の資料をリンクで提示している。
ユタ州立大学の調査へのリンクは無効になっていたが、当該サイトのアーカイブが残っていた。アーカイブを確認すると、以下の記述があった。
A Federal Commission on Crime of Violence Study found that only 4.4% of all reported rapes involved provocative behavior on the part of the victim. In murder cases 22% involved such behavior (as simple as a glance).
和訳すると「連邦暴力犯罪調査委員会の調査によると、報告されたレイプ事件のうち、被害者側に挑発的な行動があったのはわずか4.4%。殺人の場合、そのような行為(視線を送るような単純なもの)があったのは22%だ」。
ひろゆき氏はこの調査を根拠としつつ「性被害者の22人に1人(筆者注:約4.5%)は挑発的な服装が被害の一因」と主張していることになるが、原文はprovocative behavior(挑発的、刺激的な行動)であり、「服装」ではない。さらに、ユタ州立大学の調査には「逮捕された性加害者のほとんどは被害者の服装を覚えていない」との記述もあった。
つまり、「『服装と性犯罪の被害は絶対に関係がない』は嘘」というひろゆき氏の主張の根拠となる内容ではない。
判定
ひろゆき氏の引用元の調査は「報告されたレイプ事件のうち、被害者側の挑発的な行動があったのはわずか4.4%」「逮捕された性加害者のほとんどは被害者の服装を覚えていない」とあり、ひろゆき氏のツイートと矛盾する内容となっている。よって誤りと判定した。
検証:住友千花
編集:古田大輔、宮本聖二、藤森かもめ、野上英文
検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。
「ファクトチェックが役に立った」という方は、シェアやいいねなどで拡散にご協力ください。誤った情報よりも検証した情報が広がるには、みなさんの力が必要です。
noteやTwitter、Facebook、YouTube、Instagramなどのフォローもよろしくお願いします!