「(動画)イスラエルが『アイアンビーム』を実戦投入」は誤り【ファクトチェック】
イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突に関連して、「イスラエルが『アイアンビーム』を実戦投入した」との動画が拡散されましたが誤りです。動画はミリタリーゲームの映像です。
検証対象
日本時間の2023年10月16日に「新しいアイアンビーム(Iron beam)のお披露目」というコメントとともにミサイルが破壊されている動画が拡散した。
これらの映像は国内外の様々なアカウントから何度も発信され、拡散している。日本でも「日本のミサイル防衛もこれです‼️」などのポストが投稿されている。
検証過程
アイアンビームは、ドローン攻撃やロケット弾などをレーザーで防衛するシステムで、イスラエルのネタニヤフ首相が2022年4月に「テストに成功した」として、2022年4月にデモ動画をX(旧Twitter)に投稿した。
一方、今回の検証対象の映像は、日本ファクトチェックセンター(JFC)が2023年10月10日に検証した記事「(動画)イスラエル兵がハマスの航空機をミサイル攻撃する映像」は誤り 【ファクトチェック】」にも使われた「ARMA3」というゲームのものだ。10月11日に公開されたYoutube動画の3:27以降の映像と酷似している。
「ARMA3」は、チェコにある「Bohemia Interactive」という会社が開発したミリタリーゲームだ。同社のサイトによると、ARMA3は、過去の紛争などをシミュレートし、ユーザーが20種類超の車両や40種超の武器を使って戦う。
ARMA3の画像を流用した偽動画は、ウクライナ・ロシアの戦争やイスラエル・ハマスの武力衝突など、各地で拡散している。JFCによる「(動画)イスラエル兵がハマスの航空機をミサイル攻撃する映像」は誤り」という検証でもARMA3が活用されていた。
その検証記事でも引用した、ARMA3の開発会社が推奨する偽動画の見分け方は以下の通り。
わざと画質が落とされている
暗闇や夜間の映像になっている
動く人物が使われることはあまりない(人間の動きをゲームはリアルに再現できない)
爆発や火、煙といった粒子を含む画像はリアルに再現できない
判定
「イスラエルが『アイアンビーム』を実戦投入」の映像はミリタリーゲームの動画のため誤り。
検証:本橋瑞紀
編集:宮本聖二、古田大輔、藤森かもめ、野上英文
検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。
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