「パンダの1日のエサ代は100万円」は誤り 【ファクトチェック】
「パンダの餌代が1日100万円」という言説が拡散しましたが、誤りです。公開されている資料や飼育する動物園などへの取材から、パンダのみへの餌代を抽出することは難しいですが、100万円よりもかなり少ない金額になると推定されます。
検証対象
2023年11月24日、「パンダの餌代が1日100万円!年間3億6000万円もかかるなんて。」というポストがX(Twitter)で拡散した。このポストは2024年1月5日現在、約14万回の表示回数と600件以上のリポストを獲得している。
検証過程
パンダにはジャイアントパンダとレッサーパンダの2種が存在するが、一般的にパンダと言えば大型のジャイアントパンダを指す。
2023年2月22日放送のNHK「クローズアップ現代」によると、2023年現在、日本国内でジャイアントパンダを飼育しているのは、東京都立恩賜上野動物園(東京都)で4頭、アドベンチャーワールド(和歌山県)で4頭、神戸市立王子動物園(兵庫県)で1頭の3か所で計9頭。王子動物園が飼育するタンタンは2023年12月に中国に返還される予定だったが2024年末に延期となった(神戸新聞)。
ジャイアントパンダのエサ代についてネット上では、福岡県北九州市建設局公園管理課が作成した表「ジャイアントパンダの誘致・飼育について」がある。この表に書かれているエサ代は動物園によって差があるが、1日あたりに換算すると1頭約1.2万~約3.3万円。9頭分にすると10万〜30万円となる。
日本ファクトチェックセンター(JFC)が北九州市に問い合わせたところ、この資料はネットに公開されている情報や各動物園への聞き取りなどで作成したという。JFCは東京都立恩賜上野動物園にも問い合わせた。
上野動物園の担当者によると、季節や飼育する動物の成長による金額の変動があるという前提の上で「ジャイアントパンダ4頭を含む動物に与えているタケの代金は、全体で1日当たり20万~25万円」だという。ただし、「複数の動物種に同じエサを与えているためジャイアントパンダのみのエサ代を算出することは難しい」とのことだった。
また、ジャイアントパンダには副食として、トウモロコシ粉などで作る団子やリンゴ、ニンジンなども与えているが、タケ代と同様の理由で正確な額はわからないという。ただし、「ジャイアントパンダのエサの大半はタケなので、それほど大きな金額の加算にはならないと思われます」とのことだった。
判定
北九州市が公表する資料によると、日本で飼育している全てのジャイアントパンダの1日のエサ代を足しても1日最大で約30万円。また、実際に飼育する上野動物園もジャイアントパンダ4頭などの1日当たりのエサ代は20万~25万円といい、「パンダの1日の餌代は100万円」は誤り。
検証:高橋篤史
編集:藤森かもめ、古田大輔
検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。
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