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「朝鮮学校に通う子どもは将来アメリカに留学できなくなる」は不正確【ファクトチェック】

「朝鮮学校に通う子どもは将来アメリカに留学できなくなる」との言説が拡散されましたが、不正確です。神奈川朝鮮中高級学校によると、過去10年間で少なくとも4名の留学実績があります。ビザがおりない事例もあったとのことですが、朝鮮学校出身を理由に一律に留学できなくなることはありません。

検証対象

「朝鮮学校特集で、在日コリアンの女子生徒がアメリカ大使館からの面接で『北朝鮮の学校に通っているか』『北朝鮮に行ったことはあるか』『北朝鮮に家族や親戚はいるか』と質問され、ビザが拒否された」というツイートが投稿された。なお、この投稿には日本テレビ「news every.」の映像が添付されていたが、現在は「著作権者からの申立てにより無効」というメッセージが表示されている。また、このアカウントは現在非公開となっている。

この投稿について、238万フォロワーがいるひろゆき氏が「現実問題として、朝鮮学校に通おうとしてる子供やその親には『将来、アメリカに留学出来なくなりますよ』というのは、ちゃんと伝えたほうがいいと思う。アメリカ合衆国が決めることで、日本政府や個人の努力でどうこう出来ることではないですし」と引用リツイートし、拡散した。表示回数は4月18日現在で990万件を超え、引用含めたリツイートは3000件、いいね1.3万件に及ぶ。

リプライでは「アメリカの対応は当然で日本が甘すぎるだけ。後はひろゆきさんの仰る意見に同意します」「自分の出自を尊重するか、将来の可能性の幅を広げるか、という選択の結果だからな」などの反応がある一方、「NY留学中、隣のクラスに北朝鮮からの留学生複数居たし、各クラスに4人は在日コリアン居ましたけどなに言ってんだこの人は」「私の教え子には朝鮮学校出身でアメリカに留学した生徒がいますけどね」との反応もあった。

日本ファクトチェックセンター(JFC)は「朝鮮学校に通うとアメリカ留学ができなくなるのか」を検証した。

検証過程

JFCが神奈川朝鮮中高級学校(横浜市)へ問い合わせたところ、2010年以降、少なくとも4人の生徒が朝鮮高級学校(日本における高等学校)卒業後、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)などアメリカの大学に進学したという。

一方で、検証対象の元々のツイートにあった「ビザがおりなかった」という事例も過去にあったという。

学校は朝鮮学校の生徒の中で、留学のビザが出るケースと、そうでないケースがあることについて、「理由の詳細はわからない」と話す。学校には、韓国籍、朝鮮籍(注)、日本国籍の生徒が通っており、国籍によって手続きは異なる。韓国籍の場合は「韓国パスポートが出る」が、「絶対数が少なく、言及することが難しい。国籍の問題なのかもわからない」という。

(注:「朝鮮籍」は北朝鮮国籍とは異なり、植民地期の朝鮮戸籍をもとにしたもので厳密には国籍ではない)

また、アメリカへの短期滞在であればESTA(電子渡航認証システム)が利用できるが、申請はビザ免除プログラム対象国に限られており、日本と韓国は含まれているが北朝鮮は対象外だ。「留学」の場合は、ESTAではなく、ビザを取得する必要がある(米国務省のサイト)。

判定

朝鮮学校に通っているだけで一律にアメリカへの留学ができなくなるわけではないが、ビザが出なかった例もあるため、不正確と判定した。

検証:本橋瑞紀
編集:古田大輔


検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。

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