つっこまずにはいられない
ボケるよりも絶対にツッコミを入れるクチだ。
なぜ人は言い間違えるのだろう。長らく書店員として、主に実用書担当としていろんな書店で働いたが、時々思い出すタイトルがいくつかある。その内の一つに
「脳はバカ、腸はかしこい」
というのがあった。
そうだよなぁ。脳は思い違いをする。なんと言っても認知症は脳の病気だ。しかも、認知症は私ぐらいの年齢から始まっているという。おおいに興味がある。1年と1ヶ月、デイサービスとショートステイで働き認知症やその他の高齢者を見てきて感じたこと考えさせられたことは、
「認知症があっても不安なく歩ける」のと「認知症はないが身体が不自由で車椅子」のどちらがいいか、ということである。
その答えはまだ出ないし、自分がどうなるかなんて全く分からない。ひどい認知症の上車椅子または寝たきりになる可能性だってないとは言い切れない。今できることは少しでも認知症になるのを防ぎ遅らせるよう脳のトレーニングに励み、身体も健康に保つために食生活に気をつけ、適度な運動を心がけることだろうか。
さて、言い間違い。どうしてもツッコミを入れざるを得ない、いやその間違いおかしいでしょ‼︎わざとなの⁉︎というのってたくさんありませんか?私だけ???というわけでここで言わせてください。
いきなりグランプリというか、えぇっ⁉︎というのから。私の叔母=母の妹が、コロナ前に病院に入院した時。母が
「お見舞いに行けるのは二頭身までなんだって」
「いやいやお母さんそれを言うなら二親等でしょ、二頭身の人しか行けないって、ドラえもんとか???」
と、つっこんで差し上げたら超絶ウケてくれましたな。母の話を実はいつもちゃんと聞いておらず右から左へ流している私もこの時ばかりはしっかり気づいてツッコミを入れました(笑)。
そして次もまた私の母の言い間違い。
「お友達の◯◯さんのお姉さんがね、家族に勧められて『忘れもの外来』を受診したんだって」
「いやいやお母さんそれを言うならもの忘れ外来でしょ、忘れもの外来だったらうちの子どもたち3人とも小学生から受診させないといけなかったよね」
子どもの忘れものについては、別でまた書こうと思う…。そしてまだあった、母の言い間違い。なぜだか「行きつけの病院」とか言うのだ。「いやいやお母さんそれを言うならかかりつけでしょ。行きつけの言うたらスナックかな?」
これだけやらかしているので、私のいないところでもいろいろ言い間違えているのだろう。お友達などは母のそれに気づいているのか、定かではない…。
他にも、1年と1ヶ月働いた介護施設で、私の教育担当だった年下の介護福祉士の女性が、利用者さんに靴下を履かせる時、
「5本足ソックス、履かせるの難しいですよね」
と言ったので、すかさず
「いやいや××さん、それを言うなら5本指でしょ、5本足言うたらちょっと怪物ですわー」
と芸人ぽく返すと利用者さんがとにかく大笑いしていた。半身麻痺で、言葉も上手く発することができない方だったが、とにかく良い笑顔でウケてくれていた。介護の現場では時にユーモアは必要だ。
かくいう私自身も似たような言い間違いをしたことがあった。映画を精力的に観ていて、Netflixで今日は何を観ようか?と夫と話していた時
「七つのタイヤどう⁉︎」
と言ってしまったのだ…。『七つの会議』も『空飛ぶタイヤ』も甲乙つけがたくおもしろい映画ではあった。いつも私にツッコミを入れられる立場の夫が、鬼の首をとったかのように
「普通タイヤは対になるからね、奇数の七つというのはあり得ないよねぇ」
とニヤニヤしながら言っていた。
そして、あまりおもしろいとは言えないが、先日夫の父が住んでいた京都で亡くなり、姉夫婦と私たちの長男夫婦、姉の娘たちと8人で駆けつけ姑とともに義父を送り、帰りの車で夫が言った言葉。
「義兄さんがあの時微妙なタイミングでお袋に言ってくれたから本当にありがたかったよ」
「え⁉︎いやいやあなた、それを言うなら絶妙なタイミングでしょ⁉︎微妙なってなんだよ」
と、つっこんだら誰も夫の言い間違いに気づいてなかった。やってもうた…。