White and Khaki

2022.9.19


家から出たくなかった。窓がガタガタと音を立てていたし、外からびゅうびゅうと風の音がする。雨戸がわたしを守ってくれているはずなのに、ここを出なきゃいけない。みんな今日は休みみたいな空気を出しているのに、わたしは出なきゃいけない。外に出ても歩いている人はほとんどいないのに、電車に乗った。


強風のせいか潮の匂いがきつく、波は荒れていた。わたしの名前であるjetty、つまり"突堤"も車窓から見えるのだが、波が覆い被さるように乗り越えて、海水が表面を絶え間なく流れていた。


昨日から仕事の時間が短くなるのは分かっていた。電車に乗ると、遊びに出かけるような雰囲気の人はほとんどおらず、座席に一人で座り少し大きめの鞄を抱え、表情が少し神経質そうな人が多く、彼女らも仕事か用事のように見えた。しかし、駅から降りると子連れでワイワイしている家族や友達と待ち合わせをしている学生などもいて、台風がどれだけ接近していようと、今日は祝日であり休日なのだと思った。彼彼女らが知っているかは知らないが、電車は夕方で止まることが朝から決定している。





帰りの電車では波が高く、海の色がわらび餅ようだった。透明でなく、濁っていて少し茶色味を帯びたような。突堤には何度も波が打ち付けて、白い泡だらけになっていた。海には白い線のような波がいくつも表れていて、"白波がたつ"という言葉を知ってはいたが、まさにこれだと思った。一緒に電車に乗っていた仕事仲間に、「わらび餅食べたくなる」と話すと、彼女は笑っていた。


帰宅して犬の散歩に行った。犬は相変わらず元気だった。




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