【映画雑記】ハードコア・ポルノで感動した話/『グリーン・ドア』を観たよ。
昨夜、以前書いた記事をTwitter(現X)にシェアしたところ、極めて局地的に好評を得ました。加藤茶の言う「あんたも好きね」である。
するとフォロワーさんよりマリリン・チェンバース主演の1972年のハードコア・ポルノ『グリーン・ドア(Behind The Green Door)』は観ましたか?と聞かれました。確かに上記の記事の頃、観た。そして「そういやあれ…変な映画だったな…」と胃の辺りがモゾモゾする感覚をおぼえたので再度観てみることにした。あまり大きな声では言えないが、この手の映画は海外のエロ動画サイトに違法でアップロードされている。もちろん字幕なんてないしノーモザ…げふんげふん!
じゃ、ちょいとご紹介しましょうかね!
この映画はいかにも独立系で撮られたクズ映画というような趣で始まります。70年代極まりないフォントが最高なタイトルバック。からの、ダイナーでのおっさん二人のダベリに突入する感じはタランティーノの映画あたりが好きならまず気に入るツカミではないでしょうか。わたすはここで「これはただもんではない…」と慄きました。この頃のハードコアポルノってなんだか「営み」の場面以外は企業のイメージフィルムみたいなうっすい感触のものが多い(個人調べ)のですが、これは全く違うことがもうこれでわかるんです。
話の筋はあってないようなもので、上映時間は72分程度。カフェみたいなところで怪しい紳士に目をつけられたマリリン・チェンバースが、怪しげな男達(ここで監督が顔見せしてるらしいがどれだかわからん)突如拉致されます。連れ去られた先は謎のホワイトルーム。現れた謎の女性から身体を刺激されながら胡散臭い謎の講釈を聞かされ、マリリンは謎になびいてしまいます。この拉致絡みのゴタゴタはH.G.ルイスの『血の祝祭日』のようなヌルイテンポで大丈夫かこれ?と不安になってきますが、20分程度でさっさと片づけられ、残る50分で胸糞悪くなるくらいの観音様とシンボルちゃんの狂おしい凶宴が繰り広げられます…。なんとマリリンは謎な紳士淑女の集まる謎に秘密なクラブの謎の緑色の扉が異彩を放つ謎ステージでの前で様々な「おセックス」を謎に披露することになってしまいます。そして謎なことに彼女の放つ淫靡さに興奮した観客たちも互いを貪り合いはじめ、クラブは阿鼻叫喚のエロス地獄と化す…謎に。
謎謎うるせぇなって感じですがしかし、この映画は他のハードコアポルノを凌駕するサムシングが満ち満ちている。謎なんです。何かが異常なんですねぇ。ちょっと予告編観てみましょうか(※海外サイト。ほんの少しポロリあり要注意)…。
謎でしょう…?
だいたいポルノといえば普通、エロい気分にさせてくれるはずが全く違うんですよ。なんか怖いんですよ!
もうやめようかな、という気分になってきましたが、乗りかけた船なので最後まで語ります!この映画は、当時のハードコア・ポルノにしては割とまともな音楽の使い方をしているのですが、謎ステージのエロステージが始まってからは基本的に微妙にリヴァーブのかかった俳優たちの吐息だけになります。昨夜は家族にバレないようにこっそりヘッドホンをつけて観ていたのですが、その女優と男優に挟まれて呼吸を聞いているような独特な音響に、少し具合が悪くなりました。またメインの竿が最初の絶頂を迎える時は安っぽいジャズロックが腰のグラインドのBPMに合わせて盛り上がるヴィンテージ・ポルノのお約束が炸裂。とても微笑ましい気分になりました。
メインの竿がアイム・カミングして間もなく、シルクドソレイユと団鬼六が悪魔合体したようなアクロバティックなプレイ(写真貼れないから絵で説明しようとおもったが描いててバカバカしくなったのでやめた)を経ていよいよ会場の皆さんが欲情し、エロスの渦が巻き起こる。そして一人目のご立派過ぎるそれが絶頂を迎えた瞬間に映画はスローモーションになり、不穏なサイケデリックミュージックが流れ出す。画面は明らかにLSDの幻覚を意識したようなトリップ感を醸し出し始める。
実は、自分はこのあたりで、女性と男性の肉体が絡み合い、お互いの性器がまるで身体から切り離された生物のように獰猛に擦れあう様を見続けることによって不思議な酩酊感を覚えていた。そこへ来てこの別感覚への飛躍。おおげさに言わせてもらうと『2001年宇宙の旅』でスターゲイトが開く瞬間と同じ次元の飛躍が突如始まるんですね。これは驚異としか言いようがないです。この飛躍が『グリーン・ドア』を他のハードコア・ポルノを凌駕する作品にしている理由であろうかと思います。
呆気に取られていると、映画は突然こっちの気持ちを置き去りにしていきなり冒頭のタイトルバックとダイナーのおやじ二人に逆戻り。夜の道路をドライヴするおやじ。連なる街灯の夜景が美しい。その夜景に浮かび上がるのは…。一組の男女の「営み」…。映画は、黒い背景の中で浮かび上がる男女の結合、シンボルちゃんと観音様の永久運動を嫌になるくらいじっくりと観せて、二人の絶頂とともに余韻もクソなく呆気なく刹那的に終わります。
…なんて美しいエピローグなんだろう!
ハードコア・ポルノで感動するとは思わなかったよ…。
くどいようですが、この映画は日本ではまともには観られません。以前出た『ピンク・フラミンゴ』のような極力薄いぼかしをかけるような方法もあるかもしれないが、いかんせんこれは完全なるハードコア・ポルノ。画面上に繰り広げられているのはモノホンのまぐわいだからそれでも「わいせつ物」として扱われるでしょうね。
しかし、この映画の恐ろしい所はその男女営みと、観音様とシンボルちゃんそのものの筆舌に尽くしがたい存在感が、観る者を圧倒する所ただ一点なんです。
「見えなくては意味がない映画」。
そんなものがこの世には存在するんですよ!
全身全霊でおすすめします。
いや、やっぱり…。
※それでは、サントラ聴いてお別れしましょうね…。
神様!
おおきなイチモツを私にくだs(鈍器で殴る音)
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