バルサ戦前夜-決戦の日「私たちのエスパニョールが”最強”なのよ」‐エスパニョール選手寮生活日記㊼

vol.1
vol.2から続く

マルカにも取り上げられるのね

一夜明けて、決戦の日の朝。

エスパニョール・フベニールAは、その時、バルセロナ・フベニールAに次ぐリーグ2位。先週アウェイで負けてしまったため、このダービーで負けてしまうとさらに勝ち点差が開いてしまう。

絶対に負けられないゲームとなってしまった。
選手寮の子ども達の反応も様々だった。

「勝たなきゃいけないけど難しいな･･･（byエステバ）」とか、
「ハットトリック決めてやる（byミゲル・パランカ）」とか、
親指を下に向けて「殺してやる（byエスコ）」とか。

↑彼はエステバ。イタリア系らしく、その後ミランへ移籍

スペインの有力スポーツ新聞「マルカ」でも、下部組織のダービーはとりあげられる。記事にはミゲル・パランカのコメントが載っていた。そういうのも載るのね。

今回の試合はバルセロナ側のホーム「ミニ・エスタディ」での試合となった。実は、いつもこのカテゴリー（高校生年代）の試合だと、入場料は取られない。
でも、しっかり今日のチケットは５ユーロで販売されている。何にしろ、ダービーであったりクラシコであったり、特別な試合はいつもとは扱いが違うようだ。

バルサを圧倒するエスパニョール

土曜日５時、もはやあたりは暗くなってきている中、ゲームがキックオフ。
エスパニョールは強かった。というよりも集中力・攻撃のバリエーションで、アウェイにもかかわらず完全にバルセロナを凌駕していた。

前半10分過ぎ、コーナーキックからエスパニョール10番のペドラサが力強いヘディングで先制点をGET。その後もエスパニョールがゲームを引っ張る。
レッドカードで４試合出場停止を受けていた、”バカ”ミゲル・パランカが前線でしっかりボールをキープ。中盤MFの質もエスパニョールの方が高く、サイドへのボール回しもスムーズ。バルサは押し込まれる。

前半終了付近になると、右サイドの７番の選手の突破からバルサにも何度か惜しいチャンスが訪れる。この日エスパニョールのゴールマウスを守っていたのは、1stキーパーのチネが負傷したことによりチャンスが巡ってきた2ndキーパーのミッキィ。
バルサが掴んだ２回の決定的チャンスを、そのミッキィが落ち着いた処理で救った。（これは決してひいき目ではなく、完全にエスパニョールのほうが強かった）

前半を0－1（ホームチームの得点が前）で折り返したエスパニョール。後半バルサに一点を返され、一進一退のゲーム展開になるものの、最後までひとつのチームになりきれなかったバルサに対して、最後まで集中を切らさなかったエスパニョール。
最後はマンチェスター・Uから誘われている右サイドMFクリスチャンのゴールで追加点。さらに昨日部屋で一緒にTVゲームをしていた、守備的MFアンヘルのゴールで1－3と突き放した。

エスパニョールの完全勝利だ。

その日の夜、寮で待ってたら選手はあまりいない

（個人的感想）
うおっしゃーーーー！　よくやった！お前ら最強！！！！

ピッチにいる何人かが、私の姿を見つける。ミゲル・パランカもミッキィも私に向けて、手をあげてくれた。
お前ら、かっこエエなぁ～。
なぜか、自分も試合に出たくなる（元々バスケ部なので無理だが）

「お前ら！最強」ってスペイン語でなんていうのかを、知り合いの人に教えてもらい帰って、選手達と一緒に喜ぼうと思ったら、みんな実家に一旦帰ってて、ほとんど誰もいない。悲しみ…。

ただ、今日の試合を見にきていたチェリーおばさんは言いました。

「エスパニョールのトップチームはあんまり強くないかもしれない。でも全てのスペイン人の子ども達の中で、私たちのエスパニョールが”最強”なのよ」

やや誇張、でもいい！そうなの、君たち最強。
いやぁ、最高の一日だった

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