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旅行しないツーリズムは成立しえるのか


逆説的だけど、旅行を伴わないツーリズムは成り立つのか。

この問いは、3月31日に同志社大学のプロジェクト科目の先行登録説明会にて
「京都・伏見で酒蔵ツーリズムのしくみをつくる」プロジェクト担当の(有)ウミオニア代表の江口さんよりいただいた。
江口さんによれば、未成年もいる学生とのプロジェクトで「飲まない酒蔵ツーリズム」はきちんと成立したそうだ。

この問いを投げかけられた時に、自分の中では確信めいた答えがあった。
「旅行しないツーリズムは絶対に成立する!」

折しも、コロナ禍で予約がゼロとなり、観光のあり方、ガイドのあり方を自問自答していた時分だった。

「観光」とは英語の「Sight seeing」の和訳で、「光」を「観る」と書いて「観光」である。
では、その「光」とはなんであろうか。

風光明媚な自然であろうか。
人類の歴史を伝える遺跡だろうか。
博物館や美術館にある偉大な芸術作品であろうか。
現地で楽しむ食べ物やお酒であろうか。
旅で出会う現地の人や旅人との交流であろうか。

おそらく、その全てが「光」である。

旅人に、非日常を届け、感動を呼び起こすものは全てが「光」たりえるのだ。
人も食べ物も景色も、全て同列だ。

そうなると、必ずしも「光」を観るために、旅行(移動)を伴わなくても可能だと言うことができると思う。


少なくとも、今からしばらくは旅行ができない。
そして旅行ができるようになっても、その旅行はこれまでのように気軽なものではなくなるはずだ。
「旅行する」ことは、これまで以上に贅沢なことになろだろう。


それを踏まえると、
「旅行しないツーリズム」の可能性を模索することは、一定の価値があることだと思う。


実際に「旅行しないツーリズム」の現象は、既に起きている。

4月10日にAirbnb(エアビー)は、オンライン体験をローンチした。
ZOOMを使って、旅行者とガイド(体験ホスト)を繋ぐ、画期的な取り組みである。
(詳細レポートはこちら「嫁がエアビーのオンライン体験に参加して「未来を見た」と感動した話)

隠岐諸島の海士町では、島旅の魅力を「人との繋がり」と再定義し
「自宅にいながら旅行ができる新しい体験」として、「リモートトリップ」を打ち出している。
現地の人の案内で旅気分を味わいながら、郵送される島の名産を楽しむことができる。
海士町のリモートトリップ

アメリカの旅行エージェントのThe Table Less Traveledは、
テレビ会議と投げ銭システムを使ったのオンラインクッキングを始めている。
大阪のガイド仲間が、日本第1弾としてうどん体験を5月1日に行う。

「旅行しないツーリズム」は成り立つだろうと思ってから1ヶ月足らずで
実際のサービスがどんどん登場してきている。
自分が知らないサービスはいっぱいあるだろうし、発表に向けて準備しているところはもっといっぱいあるだろう。
ものすごい変化とスピードだ。


そして、これはまた逆説的だけど、
「旅行しないツーリズム」、つまり「旅のオンライン化」が進めば進むほど
リアルな旅行への渇望というのは強くなるはずだ。

その時に、大金を払う価値のある「コンテンツ」を用意していなくてはいけない。
「オンラインの旅」と「リアルの旅」は両輪で進めていくべきだろう。

「リアルな旅」の復活まで、
「旅行しないツーリズム」には目が離せない。

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