Hey,Girl.
Hey,Girl.
She is a single eye.
寄り道しなって
Suchmos GIRL feat.呂布
ニキビ跡が消えないので皮膚科に行こうと自転車を漕ぎ出した日だった。20分ほどで到着した目的地には全日予約制の文字が掛軸のようにでかでかと張り出されていた。
なんだか悔しかったのでもっと自転車を漕いで夕陽を見にいくことにした。次なる目的地は船橋三番瀬公園だ。潮干狩りスポットであるため平らな海岸と見晴らしを誇るそこは、東京の摩天楼に沈んでいく夕陽を見るには絶好の場所だからだ。
国道沿いをひたすら西へ。歩道橋を何本も渡った。乗っている時は楽だが乗れない自転車はただのお荷物だった。
小一時間ほど強風に耐え、船橋のららぽーとを超えた後の野良猫のような臭いに耐え、二俣新町に辿り着いた。この左折を終えればひたすら真っ直ぐに工業地帯を進んでいくだけだ。
伸び切った街路樹と対向の自転車を避けながら進んでいると、街灯か何かの操作版の下に彼女がいた。
雨ざらしであるのに美しい着物と、誰かに貢がれたパックの日本酒、透き通った肌に切長の一重瞼。
思わず声をかけた。
“Hey,Girl.”
寄り道のさらに寄り道だった。