かごバッグ好き。
丈夫なバッグが好きだ。
雨にも強く、ずっと愛用できるもの。手頃なお値段ならなおいい。
バッグの中はいつもぐちゃぐちゃなので、大きい方がもっと都合がいい。
今使っているのは、ベトナム旅行中にハノイで一目惚れしたビニールバッグ。
たくさん入るし、雨に濡れても拭けば大丈夫だし、何より可愛くて、安かった。
これを持って歩いてると「どこで買ったんですか?」と結構声をかけられる。(そしてベトナムですというと驚かれる)
もう2年使っているが、さほど傷むこともなく現役だ。
大学病院で働いている時、同僚達の多くが高いブランドバッグや財布を持っていた。
私はあまり高いバッグには興味がなくて、いつも安くて丈夫なものを愛用していた。
みんなが競うように最新のブランドバッグを持っていることに、私は全然馴染めなかった。
10年前のある日、偶然「山葡萄のかごバッグ」の存在を知る。それを紹介していたのが桐島かれんさんで、かれんさんのかごバッグは10年の時を経て美しい艶を纏っていた。
経年劣化ではなく、時間が経つにつれさらに美しさが増す。
そんなカゴバッグの魅力にだんだん惹きつけられていった。
「私も欲しい」
すぐに栃木県足利市にある小さな専門店に足を運び、お話を伺った。
かれんさんの影響で注文が殺到し、ほとんど在庫がないという状況。しかも日本でこのかごバッグが編める職人さんは多くなく、注文してからおそらく2〜3年は待たせることになるだろうと言われた。
それでも欲しい。
人生初の高価なバッグは、ブランドロゴもない、素朴なかごバッグだった。
2〜3年待ちを覚悟していたので、そのためにコツコツ貯金をしながら連絡を待つ日々。
2012年の初冬、お店から「バッグが完成しましたよ」とご連絡をいただいた。
1年半という速さで私の手元に届いたのである。
初めてみた時はまだ蔓も白っぽく、所々トゲトゲしていた。たわしで擦ったりしてトゲを取り除きながらようやく使い始めた。
毎日ではないけど、9年使って今はこんな感じ。
まだまだ育っていないが、少しずつ艶が出てきていい感じになっている。若干重ため。
このバッグを持っている時も、結構な割合で声をかけられる。
何より私のために作られたバッグなので、世界に一つしかない。
実はこのバッグを作ってくださった東北地方に住む職人さんは、高齢なのとご病気を理由に職人をお辞めになられたとのこと。最後のバッグを作ってくださったことへの感謝を込めて、お店の方に手紙を託した。
山葡萄のかごバッグは、外国製のものはもっと安く手に入れることができる。でも私は「値段とかではなく、エピソードがいろいろ詰まったかごバッグを買ってよかったなぁ」と思っている。
中に入れる布やタッセルは、湘南にある小さなお店で購入した。布を変えるとイメージも変わるのでとてもいい。(ちなみに今はパイナップル柄を使っている)
きっと私がおばあちゃんになってもこのバッグは手放さないだろう。どんなふうに変化するかが楽しみだ。
私の人生を共に歩む「友人」のような感覚、と言ったらいいだろうか?
これは私自身に語りかけていることとして。
外見の経年劣化と言うことは簡単だ。
ただ歳を重ねることを恐れずに。
このバッグのように艶を増していく人生を。
そんな言葉を自分に贈りたい。
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