日本語なのにフランス語に聞こえる方言の不思議
先日会った親友との会話の中で、
『富山の人がどんなに標準語を話していたって、ちょっとしたイントネーションで富山県民だということは隠しきれない。』
という話題になった。
これは本当。
ちなみに私は県西部の人が東部の人かもだいたいわかる。なんならお隣石川県の人もなんとなくわかる。(同じ北陸でも福井は関西寄りなので方言が全然違う。)
施設で働いていた時のこと。
50年以上関東にお住まいで、標準語を話すご婦人の言葉の端々に富山訛りを感じたので、「えー?どこの人け?」と思わず富山弁で尋ねてしまった。それには相手もびっくりして「なんでわかった?!」となり、富山弁でのトークが止まらなくなったことがある。
私も関東に住んで長いが、友人や親と話し始めると富山弁が止まらない。
春頃に大学時代の友人と渋谷でお茶をしたときのこと。日本一おしゃれな街でぺちゃくちゃと富山弁でおしゃべりするのが本当に楽しかった。おそらく周りの人たちには、さぞかし変な会話に聞こえたことだろう。
しかしストレスなく話せるお国言葉。方言で話すのが私は好きだ。
なぜ方言について今日書こうと思ったかというと、日本テレビの「秘密のケンミンSHOW 極」という番組で青森の津軽弁と宮崎の西諸弁という方言がそっくりだということで、色々検証をしていて、それがすごく面白かったからだ。
この回が非常に興味深かった。
北の青森と南の宮崎(実際は小林市というところ)、一見なんの共通点もなさそうなのに、その方言にはいくつも共通点があるという。
一番顕著だったのが、イントネーション。他の地域の人には絶対にできない不思議な抑揚がある。(アクセントが前になく、後ろの方に置かれるところが面白い。)
また、長い言葉を一文字で表すなどの類似点があるというから不思議だ。
さらにはどちらの方言もフランス語に似ているという。
例えば、宮崎県小林市が作成したPRビデオがわかりやすい。
確かにフランス語に聞こえる。私も頑張って聞いてみたものの、1文字もフランス語の単語が拾えなかった。
実はフランス人が西諸弁で話しているというオチがついていて、よくできたPR動画だなと思う。
なぜ遠く離れた2地域の方言が類似するのだろう。番組では「京都を中心として全国に言葉が広がっていった時、徐々に言葉が短くなっていき、その場所が津軽と宮崎だったのではないか?」と大学の先生が考察していた。
おそらくフランス語に似ているのは、その抑揚のせいではないかなと思う。私はフランス語やイタリア語などラテン語を起源とする言葉を聞いていると、まるで歌を聴いているような感覚になる。津軽弁や西諸弁独特のイントネーションが、遠いヨーロッパの言葉に似ているというのが不思議でもあり、日本語の幅の広さや豊かさを感じるところでもある。
そういえば富山弁もフランス語に似ていると言われているらしい。イントネーションは全然違うものの、富山弁の鼻濁音がフランス語に似ている、というのを聞いたことがある。
また、「なん」という富山県人が日々多用する言葉。(なーん、なも、なんもなどバリエーション多彩)
意味は「いいえ」という否定の意味で使われ、これがフランス語の「non」と全く同じ使い方をする。
こんなことならフランス語を富山県全部の学校の必修科目にしといてくれれば、大人になってあんなに勉強せずに済んだのに…と思う。
とにかく方言は素敵な言葉。故郷の言葉があるっていうのはなかなかいいものだ。大切にしていきたい。