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香水の街、グラース

これまでフランス各地を旅行したり住んだりしたが、一番好きだったのは南フランスだ。
プロヴァンスをはじめ、マルセイユ、ニース、カンヌは解放感があり、人々もパリジャンとは少し違う。うまく説明できないけど、なーんか違うのだ。

滞在先のマダムは、生まれも育ちも南仏の人で、ものすごくチャーミングな人だった。南仏の太陽のように明るく、おおらかな人。彼女の家にくる人たちは、たちまち彼女からエネルギーをもらって元気になっていった。私もそんな一人。

ニース生まれの女性のことをniçoiseニソワーズ、カンヌ生まれの女性のことをcannoiseカノワーズというが、どちらの女性たちもおしゃれで、気さくで明るい。
もしフランスに永住できるなら絶対にコートダジュールかプロヴァンスに住みたい。


さて南フランスには『香水の街』と言われる場所がある。それがグラースという街だ。グラースにはCHANELのN°5専用の花畑があるそうだ。

この記事、読んでいても見ていても美しい。
そして記事を読んでいて思い出した。
私がグラースを訪れたのも5月ごろだったことを。南仏を訪れるまで実はグラースのことを知らなかったのだが、あまりに暇そうにしている私を見かねて、「グラースにでも行ってきたら?香水も作れるし楽しいよ」とマダムが提案してくれた。

香水作り体験のために予約をして、その時一緒に滞在していた日本人の女の子たちを誘い、グラースに行ってみることにした。

カンヌからバスで30分くらい山を登っただろうか。(いや多分もっとかかった)

突然バスの中にいてもいい香りがするようになってきた。

小高い山の上にいきなり街がひらけてくるので最初はびっくりした。
もうそこはグラースの街の中で、あちらこちらに美しい花が咲き、香水のお店がいくつもあった。

私は最初、香水の香りとクネクネ山道をバスで上がってきたのもあって、酔ってしまった。(それぐらい香水の香りがすごい)

それでも頑張ってまずは香水博物館に。

香水博物館の中。大きな香料の瓶が並んでいる。
蒸留するための昔の機械
これを見ていると、スタジオジブリを思い出す。
後ろの看板からすると、おそらくフラゴナール社の博物館だったと思われる。

そしていよいよ、世界に一本しかない自分だけの香水作り体験のためにガリマール社へ。

こんなにたくさんの香りのボトルが一人一人用意されている。この中から好きな香りを選んでいく。

最初は大きなビーカーを渡され、その中にどの香りをどんな割合でブレンドし、トータル100mlにしていくかを決めていく。

すずらんの香りが良かったのでそれをチョイス(右端)
バニラやムスクの香り、アイリスなども選んだよう。

自分の感性と嗅覚だけを頼りに、試行錯誤しながらブレンドした香水がこちら!

オリジナルの香水には自分で名前をつけることができる

私の香水はL’art de vivreアールドゥヴィーヴルと名付けた。
直訳すると「人生の芸術」とでもいうのか、でもそんな重い意味ではなくて、自分の人生を自分らしく、美しく生きたい!という思いを込めてこの名前をつけた。

調香師のおばさんに最後に香りをチェックしてもらうのだが、

「うん、美味しいそうな香り!」

と言われた笑笑。フルーツやバニラの香りなどを入れたので、少し甘めの香水が出来上がったというわけだ。

自分だけの香りを手に持って私たちはグラースを後にし、家に帰ってマダムにも嗅がせてあげた。

香りもその人の個性。
こうして自分だけの香りを作ることができたことは良い経験だ。

今は一本に絞って香水を使っているが、それもすでに私の個性。

チャンスがあったらもう一度グラースを訪れたい。美しい花が咲き始める5月に。

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