憧れのリトルブラックドレス
12歳から15歳の私にとって、一番の憧れの人は大内順子さんだった。
私は小学6年生の時にパリ・プレタポルテコレクションの舞台裏という番組を見て以来、パリコレの虜になってしまった。とある半島の付け根にあるど田舎の娘が、である。
その時初めてKENZOやDIOR、CHANEL、YSL、ゴルチエといった私が見たこともない煌びやかな世界があることを知った。その時の私のアイドルは光GENJIでもTOKIOでもなく、ランウェイを歩くスーパーモデル達だった。
こうしてパリコレに夢中になっていくうちに「ファッション通信」という番組が田舎でも夜中に放送されているのを発見する。その番組の解説が大内順子さんだった。大きなサングラス、変わらないボブスタイル、大内さんの毎回のコレクション解説はわかりやすく、時には辛口だったり、デザイナーの交代がそのメゾンにもたらす影響などとても勉強になった。そして毎週見ているのだから自然とファッションの勉強をしていたように思う。セブンティーンやオリーブ、ノンノ、JJなどで紹介されている流行りの服は全然わからなくても、大学生になる頃には「あ、これは〇〇のコレクションですね」と言えるようになっていた。
といっても高い洋服なんて持っていないけれど、昔お土産で母がもらったエルメスのスカーフを譲り受け、それを今でもとても大切にしている。プチプラの中にエルメスのスカーフを付けたりするとグッとよく見える。
あと、流行っているからといって買うことはない。大概自分に似合わないからだ。自分に似合うもの、気に入ったものを1つ選び、そこから何をコーディネートしていくかを考えるのが私のファッションの法則である。
そんな私がどうしても欲しかったものがある。
それはリトルブラックドレスだ。
“決して派手すぎず、地味すぎない一着は、リトル・ブラック・ドレスだ”
カール・ラガーフェルド
カールさん…いいこと言うね!
余談だが私の友人がパリの有名な花屋さんで働いていて、どこかの現場でカールとエレベーターで一緒になったと話していた。あまりに緊張して声も出なかったらしい。そして彼女はファッション関係でも花の仕事をしていたので、ある時私に「zoéちゃん、これあげる」とCHANELを代表するモチーフである、白のカメリアの飾りをくれたことがある。ショーで使ったんだとか・・・その時は狂喜乱舞して、大事に部屋に飾っていた。
今回ヘッダーで使っているブラックドレスはCHANELの2019/2020 秋冬オートクチュールコレクションの中のドレスだ。ロングドレスなのにタキシード風というCHANELらしいドレスだと思う(動画はそのドレスのあたりからからご覧になれます)
カール・ラガーフェルド亡き後、メゾンを受け継いだヴェルジニーのコレクション。その一部を2019年「マドモアゼル プリヴェ展」という展覧会で見た。
2018年にフランスの国際会議で日本代表として発表をしたと以前も書いたが、普通の就活スーツみたいなのでは面白くないなと思い、私のブランドコンサルタントをしてくれた方に相談をしてみた。
私は「リトルブラックドレスを着たい。国際会議という場にはどうですか?」と尋ねてみた。フランスというお国柄もあるし、シンプルで上品だからとてもいいと思う、というアドバイスをいただいた。
当時とても気になっていたブランドがあって、早速試着してみることに。
YOKO CHANのリトルブラックドレス。(滝川クリステルさんの結婚発表時着ていたワンピースとして有名になりましたね)シンプルなAラインで私のお気に入りである。これにゴールドのピアスだけを合わせて当日は発表した。
以前新宿の伊勢丹で同じようなリトルブラックドレスを着て、綺麗な白髪のマダムが、ヒールを履いてお買い物をされていた。ものすごく素敵だなぁと思って、私が70歳になったらああなるぞと密かに決意した。
ココ・シャネルの名言、
“ファッションとは、上級者になるほど引き算である”
なるほど本当にそうである。その引き算が難しいから、自分なりに研究してファッションを楽しんでいきたい。
そう!ファッションは楽しいのだ!
これからも自分らしさを表現する手段として、私はファッションを楽しもうと思っている。
そしてYOKO CHANのリトルブラックドレスは年齢を重ねてもずっと着られるといいな、とそんな自分を想像したりしている