#4 新宿へ
仕事が決まった。
田舎では中卒で、美容院で働きながら都心の美容専門学校に通っていた。
美容院では、下っ端は先ずシャンプーを覚えて毎日シャンプーマンをしながら、閉店後お店で生首の人形を相手にワインディングという、パーマをかける時に「ロット」を頭に巻く練習を毎日やる。
週に一度お店が休みの日に専門学校に通う。
たまにワインディングの速さを競う大会などがありそれに参加した。
1年近くそんな生活を続けてる途中で、
家を出た。
今の僕ができる仕事はこれくらいしかない。
ちょうど今居候している家から3つ先の駅で、
駅ビルの中にあるお洒落な美容室だ。
家庭の事情で叔父の家にお世話になっていると言うことにして、面接をパスした。
これから毎日通う事になる美容室。
やっとお金を稼げるぞ。
面接でその場で採用だったので、
そのまま電車に乗って最終駅の「新宿」まで行ってみようと思い立った。
初めての新宿。
そう、あのゲイタウン「新宿二丁目」がある街。
僕の居場所があるかも知れない。
ワクワクとドキドキが入り交じった不思議な気持ちで流れて行く景色を目で追っていた。
ちょうど、電車がカーブを走り出し少し傾き出すと、遠くの方に高層ビル群が見えた。
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