#3 着せ替え人形
小綺麗で高級感のある広い紳士服フロア。
各店舗ごとにパリッとしたスーツを着た首の無いマネキン達が無感情に立っている。
今日は日曜なのもあってか、ちょっとお洒落な男性客で賑わっていた。
若い人から、白い髭を蓄えた初老の紳士までいて、
その中に混じって恋人らしい女性連れの客もちらほらいた。
僕らはどう見えるんだろう。
父親と息子?
それにしては彼と僕は歳が近すぎる。
叔父と甥っ子?
まぁ、そんな所だろう。
どう見られてるかなんて別に気にはしないけど、
僕達の秘密の関係をここにいる全員が知ったら、どんな顔するんだろう。
頭の中でそんな意地悪な想像をして1人で楽しんでいる間に、僕の一通りの上半身のサイズを小さなメジャーで手際よく測り終えた店員が言った。
「お色はこちらで宜しかったですね」
「うん、それでお願いするよ」
彼はそう店員に返すと、お会計をしてくるからここで待つようにと、僕に言った。
お会計を終えて彼が戻って来ると「さて、次行こうか、俺リーバイスの501好きなんだよね」
好きと言うのは自分が履くのが好きなんじゃなくて、履いている男の子が好きという意味なのは直ぐに分かった。
そして、それを脱がせるのが好きだということも。
丸一日掛けて、
この大きな高級デパートを歩き回り、
ジャケットから下着、デニムから靴まで
全て彼の好みのコーディネートで買い物をした。
もちろん彼の払いだ。
その間僕の希望は一切聞かれなかった。
まぁ、生活の面倒を見てもらってるんだから
それくらい大したことじゃない。
早いとこ仕事を探そう。
辺りが暗くなりだした頃に家へ着いた。
「ただいまー」
続けて僕も「ただいまー」
うん、しっくり来ない。
当たり前か、ここへ来てまだ2週間ほどしか経ってない。
「ちょっと、着てみたら」
休む間もなく彼はそう言うと、今日買ってきた洋服の中から下着とリーバイス501をチョイスして、
タグをハサミで切り、ソファの上に置いた。
僕は今着ている服を脱ぎ、ソファに置かれたいかにもゲイ雑誌の表紙のモデルが着てそうな派手な蛍光色のTバックとデニムを履いた。
上半身は背中が細くなってるタイプのピッタリした白いタンクトップ。
いかにもなコーディネートだ。
「いいね、似合うよ」
部屋にある姿見で自分の姿を観てみた。
そこには間接照明のみの部屋の明かりに照らされて男っぽい”仮装“をした、まだあどけない15歳の弱々しい少年が立っていた。
鏡は嫌いだ。
嫌でも自分の見た目の現実を突き付けられる。
(うん…似合ってるのかな?コレ…?)
少し違和感を感じながらも、デニムのポケットに指をかけてみたり、
両腕を頭の後ろに回して、雑誌のモデルのようなポーズをとってわざとおどけてみせた。
「いいね」
彼は後ろからゆっくり近付き、僕にピッタリと身体を重ねると、両腕でタンクトップをまくし上げながら、顎を後ろに引き寄せキスをする。
そうする事が当たり前のように、僕はキスを返す。
彼は硬くなったものをゆっくり力強く僕のおしりに押し付けて来た。
「紺ブレは明後日仕上がるらしいから、取りにいっといで」
彼は耳元でそう囁くと、僕の耳たぶを舌で弄びながら、後ろから前に手を回したままでリーバイスのボタンを一気に外した。
そして、その中に手を入れると、蛍光色のちょっと悪趣味な下着に包まれた僕のモノをゆっくりといやらしく揉みしだいた。
視線だけじっと鏡の中のその行為を見詰めている彼の顔が不気味に感じたが、
身体は素直に反応していた。
(まるで人形だな…)
彼が僕の硬くなったモノを口で愛撫し始めると
部屋中にいやらしい音が響いた。
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