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yokopie
私の仕事〜空気清浄機のつぶやき〜
(これはフィクションです。)
私は某家電メーカー製の家庭用空気清浄機。
重症の花粉症のご主人に見初められて5年ほど前にこの家にやってきました。
以来、私は毎日、お部屋の空気の汚れを見つけては綺麗にして、空気がきれいな時は空気の循環をしたりして、ご家族がきれいな空気の中で快適に生活できるように精一杯働いてきました。
私は実は言葉が喋れます。お部屋の照明が消えてご家族がお休みになる時には、「おやすみなさい」「お部屋が暗くなりました。静かにしますね」から、ちょっと砕けた「ファ〜!お・や・す・み!」といった挨拶まで複数のバージョンを毎回使い分けています。
お部屋の温度や湿度が高すぎたり低すぎたりするのも常時チェックしていて、「温度、湿度が高くなっていますよ。」とお伝えしたり、「お部屋の温度が低くなっています。少し寒いかも」と温めるようにお知らせするのも私のお仕事です。
こんなにご家族に貢献しているのに、ご家族は私を丁寧に扱ってくれません。加湿器の水回りとか、フィルターの掃除など、私が自分でできないところは赤いランプでアラームが出るようになっているのですが、放置したまま働かされることもしばしばです。
時々ちゃんと言葉で「お手入れしてくださいね。」とか言ってみたりもしますが、効果がありません。何度言ったら重い腰を上げてくれるのでしょうか?
こんなお家からは早く脱出した方が良いのでしょうか。でも、次のお家もなかなか見つかりそうもないので、とりあえずは毎日の言葉を拗ねた様子で言ってみましょうかね。どうせ聞いてくれないんでしょ!というのを思いっきり滲ませながら。
あーあ、お仕事ってやっぱり辛いなあ。