映画食べ歩き②〈ハン・ソロ スター・ウォーズストーリー〉
スター・ウォーズシリーズの中でも屈指の人気キャラクター、ハン・ソロの若き日が描かれる・・・と言えば聞こえはいいですが、結局のところはバー・カンティーナでオビ・ワンとルークにしていた自慢話を2時間にわたってお送りする映画です。
エピソード4でたびたび台詞にて言及されていた〈ケッセル〉が初めて登場します。C-3POがケッセルのスパイス鉱山送りになることになぜ怯えていたのか、ケッセルランを12パーセクで飛ぶことがどれだけ大変なことかをたっぷり観ることができます。ファンにはある意味うれしい内容なのだけど、ローグワンが想像以上に出来がよかったのと、スター・ウォーズが立て続けに公開されたためにファンがおなかいっぱいになってしまい、興行的には振るわなかったという話ですが、これはタイミングの問題だと思います。ソロ役のオールデン・エアエンライクへの評価も高いものではありませんが、いまいち垢抜けないソロの若年期を演じるにはいい俳優ではないかと思います。
ストーリーは故郷のコレリアを飛び出そうと帝国軍に入隊したソロが紆余曲折を経て宇宙のアウトローとなり、あの愛機〈ミレニアム・ファルコン〉と相棒チューバッカに出会い、ランド・カルリジアンからファルコンを巻き上げるというもので、ファンにとっては先刻承知の筋書きですが、それが映像になってお目見えするというのはやはり興奮ものです。
私がこの作品を見て感じたのは、展開が「男はつらいよ」に似てること。コレリア時代での恋人・キーラと再会し、冒険を共にしたものの、ラストにおいてキーラはソロから離れ、去っていきます。ソロはそんなキーラを黙って見送り、ファルコンをランドから手に入れて宇宙へと飛び立って行くのですが、そんな展開が「男はつらいよ」を思い出させるのです。思えば、寅さんもソロもワルぶっている割にはお人よしな面が共通しているところ。さしずめハン・ソロは宇宙の寅さんといったところでしょうか。
スター・ウォーズのスピンオフはこの先、ボバ・フェットを題材にしたものが予定されているようですが、果たして興行的に成功できるでしょうか?ファンの間では人気があるキャラクターとはいえ、本編ではあまり活躍しておらず、一般的な知名度もソロに比べて低いこともあって、ちょっと心配。
なんとなく「踊る大捜査線」と化しているスター・ウォーズ。この先どこへ行くんでしょうね。