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“色恋捜査”や”でっち上げ” 冤罪事件を引き起こす法執行機関による違法捜査の実態 前編

日本では、自白の強要など警察による違法捜査の結果、冤罪で逮捕されたり、有罪判決を受けたりした顕著な事例がある。誤認逮捕や冤罪によって、無実の人が自ら命を絶ったり、当人だけでなく家族も甚大な被害を受ける。

これらは重大な人権侵害であり、真剣に受け止められ、徹底的に調査されるべきであるが、捜査に使用されるテクノロジーが発展した現代で、なぜ誤認逮捕や冤罪が起こり得るのか。その発端となるのが警察法に準じない捜査だ。

日本の警察は、逮捕するだけでなく、地域を巡回し職務質問を行うなど、幅広い権限を持っている。

警察の活動について、警察法第二条第二項では、「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない。」とある。

しかし、交番や警察署に連行するかどうかの判断が非常に差別的であり、外国人やホームレスなど特定の集団が不当にターゲットにされているという批判があるのも事実である。

また、警察が正当な理由なく恣意的に個人を拘束することを可能にし、市民の権利を損なっているという批判もある。

しかしながら、その問題の深刻さを本質的に理解して職務を実行しないがゆえ、法執行機関による違法な捜査や法に則らない判決が後を絶たない。

20年以内に起きた冤罪事件の一部

警察の違法捜査や冤罪について、比較的数年以内に判決が出ているケースを中心に以下の4件を例に挙げる。それぞれの事件の内容は異なるが、警察、検察、裁判官による極端な捜査方法が一目瞭然である。

(画像:東洋経済オンライン Frontline Press)

「滋賀・呼吸器事件「冤罪」暴いた記者が問う歪み」
2003年、滋賀県の病院で入院患者が亡くなり、看護助手の女性が殺人容疑で逮捕された。懲役12年の刑に服し、2020年に無罪が確定。捜査官が色目を使い女性を陥れるという異様な取り調べの実態が明らかになった。

「10年前の強盗容疑、大阪府警が誤認逮捕認める 別人を送検、不起訴」
2012年、ある男性がコンビニエンスストアにて1万円を奪ったとして、窃盗罪で逮捕された。男性は一貫して無罪を主張するも、300日間勾留。事件から2年後に無罪を言い渡されたにもかかわらず、事件発生から10年後の2022年に大阪府警から初の謝罪を受けた。

大阪地検特捜部が違法捜査” 賠償求める裁判 国は争う姿勢
2019年、巨額の横領事件に強く関連していたとして上場会社の社長が逮捕された。248日間の勾留。大阪地検特捜部による強硬な捜査に問題があるとし、無罪判決が下された。

警察官が覚醒剤でっち上げ摘発で懲戒免職…「微量なら処罰されない」やらせ依頼か?小川氏解説
2020年、地域課巡査部長が、覚醒剤取締法違反と虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで書類送検された。県警は巡査部長を同日付で懲戒免職。検挙実績をあげるためか。

冤罪事件は人生を破壊する

冤罪が与える影響

冤罪は、本人やその家族に対して、以下のような重大かつ長期的な影響を与える。

評判と信用へのダメージ
たとえその告発が虚偽であると証明されたとしても、他者からの否定的な認識や判断の原因となり、個人の評判や信用を損なう。
精神的苦痛および心的外傷
不安、うつ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など、重大な精神的苦痛やトラウマを引き起こす。
信頼と関係の喪失
他者に対する警戒心を抱いたり、自分の支持者だと思っていた人に裏切られたと感じたりするため、他者に対する信頼の喪失や人間関係の崩壊を招く。
法的および経済的影響
弁護士費用、収入減、キャリアやビジネスチャンスへの損害など、法的および経済的な影響をもたらす。
健康問題
高血圧、心臓病、およびその他のストレス関連疾患など、身体的な健康問題につながる。
家族および社会的影響
本人だけでなく、友人、同僚、恋人など、その家族や社会にも影響を与え、彼らもまた同じような悪影響を受ける。

このように、冤罪は個人とその家族に重大かつ持続的な影響を与え、身体的、精神的、経済的、そして社会的な幸福に影響を及ぼしかねない。


法的手続きを遅らせるマスメディアの報道

マスメディアによる報道は、プラスにもマイナスにも冤罪事件に大きな影響を与えることがあると言える。

場合によっては、報道が真実を明らかにし、冤罪で訴えられた人に正義をもたらすのに役立つことがある。しかし、マスメディアの報道が誤ったシナリオを永続させ、個人をさらに傷つけてしまう場合もある。

マスメディアの報道が冤罪事件に与える影響として以下がある。

• 世論
告発された個人に関する世論を形成し、法的手続きに影響を与え、事件の結果にまで影響を及ぼす可能性がある。
偏見
時として、告発者または被告人に不利または有利な方向に偏ることがあり、有罪または無罪に関する不当な判断や認識を招くことがある。
プライバシー
告発された個人とその家族のプライバシーを侵害し、望まない注目や詮索につながる。
社会的・経済的影響
雇用やビジネスチャンスの喪失、評判の低下など、社会的・経済的な影響を及ぼす。
法的手続きへの圧力
注目度の高い事件では、マスメディアの報道が法的手続きに圧力をかけ、裁判や判決が急がれたり不公平になるなどする。

マスメディアは、自分たちの報道が結果的に被疑者とその家族に影響を及ぼすことに留意し、冤罪事件を公平、正確、かつ繊細に報道することが絶対不可欠である。

後編へ続く


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