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バリのキッチンハーブ

バリの台所に必ずあるスパイスといえば、唐辛子、ニンニク、バワン・メラ(小さな赤紫の玉ネギ)だろう。バリ料理にもインドネシア料理にも、これらの材料とショウガなどの根茎、コショウなどは欠かせない材料であるし、すべての素材に薬効がある。

ヨーロッパの人々がアジアを目指した目的が、東南アジアにあるコショウ、ナツメグなどのスパイスであったことは有名な話。肉を長く保存させるために、西洋人はこれらのスパイスがどうしても欲しかった。ナツメグ、クローブは香料諸島とも呼ばれるマルク(モルッカ)諸島が原産である。ナツメグ、クローブ、コショウなどの香辛料の多くはインドネシアで栽培されている。

また、ショウガ、ウコン、ナンキョウなどのショウガ科の植物も東南アジアにはたくさんの種類がある。日本では考えられないほどのショウガ科の植物が料理、飲み物、薬として使われている。またインドネシアの漢方とも言える、薬草を使った伝統的な飲み物である「ジャムゥ」の材料になっている。

バリ料理に欠かせないミックススパイスの材料

ミックス・スパイス(Bumbu Bali)
 
バリの代表的な料理ラワールを作るのに欠かせないのが、香辛料と根茎を使ったミックス・スパイス。バリ語ではバソォ・グデ、バソォ・バリ(インドネシア語ならブンブー・バリ)と呼ばれている。祭礼料理のラワールの他に、豚肉や鶏肉の煮物にもこのミックスを使うので、バリ料理のベースと言ってもいい。

材料になるのはレンクアス、ショウガ、バングレ、ウコンなどの根茎と赤ワケギ、ニンニク、唐辛子など。木のまな板の上でトントンと材料をリズムよく微塵切りにしたものである。祭礼の時、バリの男たちがこのミックスを作り、料理をすることをメバットと呼んでいる。祭礼料理を作るのはバリでは男の仕事なのだ。

ミックスする材料は、地方やその家庭で独特の調合のやり方があるようだ。基本の材料の他にライムの葉、キャンドルナッツ、ギンタンの葉なども隠し味として混ぜたりする。これらの材料は、すべて薬効があるハーブ。作ったミックスは冷蔵庫で2週間くらい保存することができるが、これも材料の持つ効能のおかげかもしれない。

できあいのミックス・スパイスは市場の肉売り場や、肉や野菜を売っている雑貨屋で買うことができる。小さなビニールの袋にミックスとサラムの葉が入っていてる。

肉だけでなくハヤトウリ、若いナンカの実、ゆで卵などの材料に、このスパイスをよく混ぜ込んで、好みで塩、コショウ、ブイヨン、サラムの葉などを加え水を足して煮込む。このミックスがあれば誰でも美味しいバリ料理を作ることができる。簡単にバリの味が楽しめる万能スパイスだ。

バリ料理に欠かせないバソ・グデ

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