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特別管理産業廃棄物の種類
前回は、産業廃棄物の種類について触れ、その種類は、事業活動に伴って生じた産業廃棄物のうち、20の種類に分けられるということをお話しさせていただきました。
今回は、「特別管理産業廃棄物」の種類について紹介していきたいと思います。
廃棄物処理法によれば、特別管理産業廃棄物とは、「産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるもの」と定義されています。
廃棄物処理法 第2条第5項
5 この法律において「特別管理産業廃棄物」とは、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
爆発性や毒性、感染性を持つ廃棄物や、そのほかに人体に影響のある廃棄物の具体的な種類が、政令(=廃棄物処理法施行令)でさらに定義されているようです。政令を確認すると、以下のように規定されています。
廃棄物処理法施行令 第2条の4 ※一部抜粋
第二条の四 法第二条第五項(略)の政令で定める産業廃棄物は、次のとおりとする。
一 廃油(燃焼しにくいものとして環境省令で定めるものを除く。)
二 廃酸(著しい腐食性を有するものとして環境省令で定める基準に適合するものに限る。)
三 廃アルカリ(著しい腐食性を有するものとして環境省令で定める基準に適合するものに限る。)
四 感染性産業廃棄物(略)
五 特定有害産業廃棄物(次に掲げる廃棄物をいう。)
イ 廃ポリ塩化ビフェニル等(略)
ロ ポリ塩化ビフェニル汚染物(略)
(略)
ハ ポリ塩化ビフェニル処理物(略)
ニ 廃水銀等(略)
ホ 指定下水汚泥(略)及び当該指定下水汚泥を処分するために処理したもの(略)
ヘ 鉱さい(略)及び当該鉱さいを処分するために処理したもの(略)
ト 廃石綿等(略)
チ ばいじん(略)及び当該ばいじんを処分するために処理したもの
(略)
リ 次に掲げるばいじん又は燃え殻(略)及びこれらの廃棄物を処分するために処理したもの(略)
ヌ 次に掲げる廃油及び当該廃油を処分するために処理したもの(略)
ル 次に掲げる汚泥、廃酸又は廃アルカリ(略)及びこれらの廃棄物を処分するために処理したもの(略)
六 法第二条第四項第二号に掲げる廃棄物の焼却施設(略)において発生するばいじんであつて集じん施設によつて集められたもの及び当該ばいじんを処分するために処理したもの(略)
七 別表第三の一〇の項に掲げる施設において法第二条第四項第二号に掲げる廃棄物の焼却に伴つて生じたばいじん(略)又は燃え殻(略)及びこれらの廃棄物を処分するために処理したもの(略)
八 別表第三の一〇の項に掲げる施設において法第二条第四項第二号に掲げる廃棄物の焼却に伴つて生じた汚泥(略)であつてダイオキシン類を含むもの(略)及び当該汚泥を処分するために処理したもの(略)
九 ばいじん(集じん施設によつて集められたものであつて、法第二条第四項第二号に掲げる廃棄物であるものに限る。)
十 燃え殻(法第二条第四項第二号に掲げる廃棄物であるものに限る。)であつてダイオキシン類を含むもの(略)
十一 汚泥(法第二条第四項第二号に掲げる廃棄物であるものに限る。)であつてダイオキシン類を含むもの(略)
実際には、政令における別表や環境省令(=廃棄物処理法施行規則)のなかでも、発生する産業廃棄物の処理施設の条件や、産業廃棄物に含まれる有害物質の種類やその割合などがより詳細に定義されています。
上記のことをまとめると、特別管理産業廃棄物の種類は以下のように分けることができます。
燃焼しにくいものとして環境省令で定めるものを除いた廃油とは具体的にどのような廃油を指すのでしょうか。ここでは、「引火性廃油」という名称を用いて説明します。環境省令(第一条の二第一号)の規定内容を見てみると、「廃油(略)のうち、揮発油類、灯油類及び軽油類を除くもの」を記載されています。つまり、「揮発油類、灯油類及び軽油類を除くもの」を除いた廃油ということですから、揮発油類や灯油類、軽油類が引火性廃油に該当します。また、具体的な引火点としては、70℃未満の廃油を指します。
また、著しい腐食性を有する廃酸(強廃酸)とは、環境省令(第一条の二第2項)によれば、酸性の廃棄物のうち水素イオン濃度指数(pH)が2.0以下の廃酸のことです。同様に、著しい腐食性を有する廃アルカリ(強廃アルカリ)とは、アルカリ性の廃棄物のうちpHが12.5以上の廃アルカリのことを指します(環境省令(第一条の二第3項))。反対に、これらの定義に当てはまらない廃酸または廃アルカリは、特別管理産業廃棄物ではなく、通常の産業廃棄物に該当します。
感染性廃棄物とは、病院や診療所、介護老人保健施設などの施設から出た廃棄物のことであり、感染性病原体が含まれていたり、付着したりしている廃棄物のことを指します。たとえば、注射針やメス、輸血セット等の医療器材が該当します。
そのほかに、特定有害産業廃棄物として、廃ポリ塩化ビフェニル等やその汚染物・処理物、廃水銀や廃石綿などの廃棄物があげられます。また、通常の産業廃棄物にも登場した燃え殻や汚泥、鉱さいなどの廃棄物に関しても、有害物質を一定以上含むものは特別管理産業廃棄物に指定されます。
排出する廃棄物が産業廃棄物なのか、それとも特別管理産業廃棄物なのかを事前によく確かめて、それぞれの処理基準に準じて適切に処理することが必要となります。また、特別管理産業廃棄物の処理を委託する際には、産業廃棄物の業許可ではなく、特別管理産業廃棄物の業許可を持つ処理業者へ委託しなければなりませんので、委託先の処理業者が持つ業許可証の種類をよく確認することが重要です。