不動産賃貸業を始めたきっかけ vol.3
自己紹介も兼ねて、不動産賃貸業を始めたきっかけを書いてます。最初から読んでいただけると話がつながるので是非。
絵画ではなく本物の山があり、大きな田んぼと呼ばれるものがいくつもある。
そんな場所へ大阪市内から突然連れてこられた。
不思議なものは他にもあり、小屋の隣に決して高くはない赤い鉄塔。少し見上げると鐘がぶら下がっている。
火の見櫓(ひのみやぐら)だと教えてもらった。
とっても不思議なものが沢山ある場所に車で連れてこられ、今にも倒れそうな小屋の中に入り、電気がないのでろうそくを灯す。
何とか見える程度の薄暗い明かりの中、畳の間から草が伸びて出てきている上にブルーシートを敷いて初日はそこで寝た。
さぶっ!!
朝早く寒さで目覚めると、一瞬自分がどこに居るのか分からなかった。
そうだ!昨日ここへ車で連れてこられたんだった。
おばあちゃん、寒いよ。お布団はどこ?
私の祖母は明治生まれの地主の娘。品があり、凛とした女性で私の尊敬する人。毎日着物を着て、髪を結っていた。
毎日私が起きる頃には、玄関前を掃いて水をまき終わり、玄関に飾る花を生けていた。
しかし、今日はいつもと違う・・・
着物の下に着る肌襦袢の姿で手には着物の紐を持ち、何とも言えない表情で天井を見上げていた。
6歳だった私は、何だか分からないけれど良くないことが起きる・・・そんな気がした。
病弱だった私は、よく咳き込んでいたこともあり
ゴホゴホゴホ・・・おばあちゃん、しんどいよ〜
何故か分からないけれど、病気のふりをした。
すると祖母は飛んできて、背中をさすりながらボロボロと涙を流して泣き出したのだ。
いつもと違う祖母の姿に6歳だった私はどうしていいか分からず、ただただゼーゼーと息苦しいふりをし続けるしか出来なかった。
つづく・・・