あの日

紫煙の先にあなたの幻をみた
小さくか細い声で愛を紡いだ
あなたの面影

歩幅が違うのも見える景色が違うのも
仕方ないと割り切れず
あなたはどこか悲しそうで

約束はこわいからしないでおくね
あなたの口癖

深夜にふと目覚めた瞬間
左手に震えと温もりが宿る
好きだと言って啜り泣くあなたを
抱き締めることすら出来ず
眠る振りをして逃げたこと
あなたは気付いていただろうか

歩幅が違うのも見える景色が違うのも
仕方ないと割り切れず
あなたはどこか悲しそうで

その日珍しく手を繋いで
とても楽しそうに笑った

もう終わりにしようねと笑った
大好きだよと笑った

深夜にふと目覚めた瞬間
左手に震えと温もりが宿る
好きだと言って啜り泣くあなたを
抱き締めることすら出来ず
眠る振りをして逃げたこと
あなたは気付いていたんだね
きっと

鍵を残し足跡を消して
涙の跡は枕に刻み込んで
残り香は紫煙に紛れて薄れた
泣くように笑うあなたの面影を
朝焼けの空に想い描く
確かなものはあった
自分も怖かったのだと知ったよ

(2020/12/19)

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