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【TV】サンデーモーニングの手作りフリップの細かいネタを語りたい(5/19)

 TBSの日曜あさ8時から放送中のご存知サンデーモーニング。各界から注目を浴びているのが「手作りフリップ」のコーナー。私はこのコーナーが大好きなんです。自分ではきっと作りっこないと思ってしまう工夫で満ちていて、ついつい見てしまいます。
 一緒に見ている嫁が「これ作ってる人たち暇なの?」と言っていることに対して「なんてことを言うんだ!作ってる人たちの気持ちにもなってみろ!」と喧々諤々のやり取り。
 決して私はTBSの回し者ではありません。ただ中学生時分の国語の作問【作者の気持ちになって】が身に染み付いた自分なりに、練りに練られた 工作 美術の力作を1秒たりとも逃さず再観察しています。
 これはその分析を試みるノートです。

 番組HPでも、熱を入れて紹介されています。


 Webメディアからも注目を集め、番組サイドもこだわりをもって制作していることを公表しています。アナログで制作しているゆえの温かさ・伝わりやすさを重視して制作。制作するのは、解説するサブキャスター、ディレクター、AD2~3人、学生アルバイト6~7人と多勢で、美術スタッフを一切介入させず金曜~土曜日の夜まで深夜までかかり制作されているとのことで、非常に力の入った魂の力作も多く見られます。

 そんな力作も、2週間程度保管された後に破棄されて処分されるとのこと。儚く、紹介される時間も短い、しかも大々的に制作背景を番組で説明することもない、花火のようなTVショーの一角を垣間見ることが出来ます。


5月19日 放送分の手作りフリップ


今回紹介されたのは「太陽フレアによる地球への影響」。
過去の太陽フレアの歴史から、今後の社会への影響について解説されていました。サブキャスターは中西悠理アナ。

江戸時代の文献に残されたオーロラの観測。起承転結の基本の「起」として、近代の特殊現象でないことを、導入で伝えることで、突然天体レベルで以上が起きてるわけではないので、視聴者たちに慌てるなよ、と保険をかけてくれています。
宇宙空間に浮かぶ太陽と地球の相関図。右側は地球とわかりますが、左側は後ろの黒い空間にスプレーで白を吹き付けています。「あれ、なんで番組中にミカンを片付けてないの?」とお叱りが来るのを完全に防いでいます。また太陽フレアの紙を後付けし、説明に躍動感をもたせます。
背景の宇宙を表現した黒い色紙に吹き付けたスプレーは、緩急をつけて銀河系を表現。適度にスパッタリングも施し、リアルさを演出。間違いなくラッセンを意識した、美意識の高さを感じさせます。


なんと、宇宙の部分にはその後の解説が隠されていました。思わず驚いた人も多かったのでは?
酸素と窒素の原子も描かれています。オーロラの発生原理が説明されます。


オーロラの写真を右上に貼り付け、ニュース解説はどんどん佳境に入っていきます。酸素・窒素と陽子・電子の説明は実にわかりやすく作られていますが、このあたりは若干専門的でもう少し説明があったほうがやさしいかもしれません。


オーロラを模したグラデーションのきれいな色板が入ってきました。「なんで日本が中心の地球じゃないんだろう?」と思っていませんでしたか?実は、ここで右側に日本があることで、このオーロラの説明につながっていたんです!めちゃくちゃよく考えられてると思いますが、果たして何人に伝わってるんだこのこだわり!



勘の良い人なら、透明のテープで次にめくる部分が作られていることに気づいているはず。そう、解説が隠されているんです。「通信衛星」と「過去の被害」が表れます。もちろん、この細かな部分は中西アナの方から丁寧に説明。


公式見解で出ている通り、上から同じ紙を貼り付けている部分は「誤字・脱字」があった跡。OAまでに間に合わせるため、作り直す範囲を最小限にとどめているようです。校正が繰り返されている証拠であり、報道の責務を表したような絵面の強さを感じます。また、リレハンメルはノルウェー国旗を、これも色紙を切り抜いて作られていますが、スタッフの方は、これがアメリカやイギリスのような複雑な国旗じゃなくて良かったと心をなでおろしていたかもしれません。


なんと、ミカン 太陽は回転する仕掛けになっており、そこには次のシナリオが隠されていました! 手書き文字で「最悪のシナリオ」とありますが、手書きのためか、それほどおどろおどろしさを感じません。これが温かみってやつかもしれません。
専門家の方の意見を紹介する部分が姿を表しました。津川室長の上の肩書部分はかなり字が小さく、高齢者の視聴者にとってはキビシイでしょう。しかし注目に値すべきは、クリーム色の台紙の下にあるフチの部分です。宇宙をイメージした「フチ」がつけられていて、高級感を演出。コメントを寄せてくださった津川室長の風格を高め、権威ある存在であることをアピール。取材対象者への敬意を欠かしません。


最後には、紐で引っ張るとオーロラ上のカーテンが開く最大の見せ場が!オーロラの素材と仕掛けに力を使ったためか、中のイラストのクオリティは省エネ仕様。この熱の入った装置に対しても、スタジオはクールにノーリアクションを貫きました。


今回の感想

 今回の手作りフリップは、登場からスプレー・スパッタリングで表現された宇宙と半立体の地球+太陽にしてやられました。竹や花で彩られたスタジオの中に浮かぶ小宇宙は、SFさながらの壮大さを感じさせ、カモフラージュされたメクリは、思わず「そう来たか!」とモモを叩かずに入られませんでした。そして最後のオーロラのカーテンが開く仕掛けは、まさに今回のニュースだったからこそ、輝く演出でした。

 中西アナが解説しながら、「オーロラのカーテンが開く!」オチに近づくにつれ、徐々に笑みが溢れる様子も、制作者の一員として視聴者に見てほしいという発表の喜びに満ちているようで、とても楽しく鑑賞できました。

 なおスタジオの出演者陣は拍手ひとつなく、淡々とアルカイックスマイルで対応。今日も日曜日が始まります。

スタジオの反応



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