見出し画像

大雨警報発令中の墓参り

酷暑の雨模様は恵みの雨だ。熱中症を心配することなく外出できる。
週末には墓参りに行くことに決めた。その準備について考えてみた。
線香を焚いて、手を合わせるのでライターを準備する。大雨と強風の中で線香を灯すことはできるのだろうか?
墓参りのときは桶から杓子でお墓に水でお清めをする。雨で私は傘をさしている、お墓も大雨に洗われている。そこに更にお清めをする。やり過ぎの様に思う。それではそれらを省略して、手を合わせるだけでは味気がない。
墓地の隣の馴らした荒れ地に開店したホームセンターには生花コーナーがあるだろう。
「お墓参りのための生花のセットはどこにありますか?」
「それならば出入り口をの右側です」
「そこありましたか。気づきませんでした」と店員に教えられ場所に行って、並べられたお墓参りの生花セットからひとつを選ぶ。ホームセンターの買い物客たちは誰もこちらを見ていないのに、罰当たりな事をしているような視線を感じる。ご先祖様もどこかで観ているかもしれないと想像する。
年上の真面目な女性から「私は亡くなった父親の幽霊に会った事がある」と聞かされて驚いた事がある。古風な女性で「鉄の女と呼ばれたサッチャー英首相でも、亡くなった後に生前の行いに対する批判は気持ち悪い」と嫌悪感を表す人だ。敬慕する亡き父親にひと目でも会いたい気持ちが奇跡を起こしたと理解している。冗談でそんな事を言うことは絶対にあり得ない。
私が生まれる前に旅立った母方の祖父母、父方の祖父母は7歳の時に旅立った。お葬式の時には情況がよく理解できていなかった。それなのに独りで墓参りに出掛けるようになってから作法やご先祖様の事を欲考えるになった。私はどう見られているのだろうと心配になる。どこかでご先祖様を意識している。
そんなことを考えている内に大雨の影響で線路の路肩が崩れたので電車は運転見合わせになった。私はお墓参りを延期した。ご先祖様にも言い訳できると少しだけ安心した。
#小説
#大雨
#警報
#墓参り

いいなと思ったら応援しよう!