逞しい生物
週末に通う道路の途中に空き家があります。それは2階建てです。1階は店舗で、2階は住居です。窓の横に「○○○寿司」の看板がありました。しかし、今ではそれは撤去されています。
店舗の玄関はお寿司屋さんなのに木製の扉です。まるでスナックみたいです。玄関の横には格子状の飾り窓が正面の壁一面に並んでいます。そして、その下には煉瓦造りの花壇があります。
誰も手入れをしないので雑草が伸び放題てす。そこには紅い花を咲かせる灌木が植えられています。もちろん誰も手入れはしません。それでも逞しい植物は根をしっかりと張って、花壇を破壊します。秋の季節になると綺麗な花を煉瓦の破れ目から伸ばします。まるで隙間から赤い舌を伸ばしてるそんな感じです。
建物の側面にはシダ植物が壁一面を覆っています。2階の住居部分の窓ガラスは割れています。おそらくは台風か強風で壊されたのでしょう。正面玄関と裏口に下ろされたシャッターは破壊された形跡はありません。言い忘れていました。裏口はシャッターになっていて、扉の形状は分かりません。そのシャッターも今では錆だらけです。
礎石に置かれて、庇を支える木製の柱も根元が朽ちていて、庇が少し斜めに傾いています。
その空き家の目の前を通る度に寂しい気持ちになります。
それでも先週末はその場所を通った時に少しだけ前向きになれました。玄関前の煉瓦の割れ目から雑草が伸びていました。それは大人の膝上ぐらいの高さまで茎を伸ばしています。やがて時季が来れば花を咲かせるでしょう。崩れ落ちそうな廃屋なのにその部分にユーモアを感じました。
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