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「WINTER FESTIVALS CONCERT 冬の祝祭コンサート」ソプラノの金沢貴恵さんにインタビュー!「その1」
JET音楽研究会がお送りする「WINTER FESTIVALS CONCERT 冬の祝祭コンサート」。
演奏会に向け、ソプラノの金沢貴恵さんにインタビューを行いました。(聞き手: 制作部A)
***
*インタビュー 2024年11月下旬
A:
今日は楽しく、金沢さんの今までの素敵なお話が聞けたらと思います。よろしくお願いします。すごく光栄です!
金沢:
ありがとうございます。
A:
よろしくお願いします。
素敵な歌声を前回の稽古でも聞かせていただきましたが、その秘密に迫れればと思います。まず、どのような最初の気持ちや最初の出来事があって歌や音楽を始められたのでしょうか。
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金沢:
それは多分、叔母の影響があります。叔母2人がそれぞれ音楽教室を経営していて、ひとりは声楽家で、ひとりがピアニスト。もともと私は音楽が好きな子供だったらしいです。それで叔母たちに習い始めたのが大元のきっかけだったと思います。
A:
それぞれ何歳頃から始められたんですか?
金沢:
歌自体は14歳だけど、ピアノは3歳です。
A:
ピアノ、早いですね...!声楽はよく声が整ってから始めないといけないので14歳からというのも納得ですが...そこから今までずっと音楽を続けられていたんですね。
金沢:
でも、紆余曲折ありまして...。もともと音楽は小さい頃からすごい好きで、小学校の低学年の時の発表会でも歌を歌ったことがあったりもしました。でも直接声楽に行くのかというとそうではなく。
私は小4からフルートを始めるんです。歌はどちらかというとポップスの方が歌いたかったので、中学3年生の受験の時に、有名なポップスのスクールにも通っていたんです。声楽家になるというイメージは湧いていなくて。当初はフルートで音大に行こうかなと思っていたんです。
そうするうちに中学3年生の高校受験の時、母から「音楽の道に行くのか、勉強の道に行くのか選びなさい」と言われました。フルートは何か...これから一番本気で頑張っていくには違う気もする、と次第に思っていたのと、ピアノは中学3年の時に「受験にはレッスンが間に合わない」と言われたので、その2つの楽器は違うかな、と思いました。でも最後の選択肢で、歌がもともと好きだったということもあって、それで声楽を選んだということです。
A:
例えばご家庭によっては、親御さんが「音楽をするな!」というところもあると思うんですが、お母さまは音楽の選択肢も提案してくれていたんですね。
金沢:.
先ほどの叔母たちの影響があると思います。もともと母の中の選択肢に音楽もあったんでしょうね。
でも、音楽高校は受験したけれど落ちてしまったんですよ。志望校の最終試験の2人の中にはいたんですが、合格者ゼロの年でした...。
でも、その後もずっと歌を先生に習い続けて、大学受験の時は、東京芸大に現役で入ることができました。
A:
東京芸大は日本の音楽会の最高峰ですよね。いま目の前に最高峰に行った人がいる...!と感動しました。
その後、東京芸大の学部を卒業して、大学院からオーストリアに行かれていますね。
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金沢:
母の知り合いが、ウィーン国立音大のフルート科の先生をされていたんです。その方との長い繋がりで、「フルートで留学したかったらいつでもウィーンに来なさいね」と言われていました。それで音楽留学するのはウィーンだな、と小さい頃から思っていました。子供の頃に英語に触れていた時間も長かったので、中学生くらいからかな、漠然といずれ海外に行くんだろうな、という気持ちも持ちつつ...。音大にも入ったので、海外に行ってみたいな、と思って。
もともと大学2年の終わりに、講習費免除のようなものに受かって、声楽のマスタークラスでウィーンに行ってはいました。実際に行ってみたらやっぱり、そこで凄く感化されて...。それで大学を卒業したら、ウィーンに行こう、と思っていました。なので大学生活が3月に終わって、翌月の4月、私は22歳でウィーンに飛びました。
その前にも準備は必要だったので、大学4年の夏休みを1ヶ月使って、ウィーンの声楽の先生を探しに行ったりとか、住む家を探したりとか、そういうのは結構早めにやっていましたね。
A:
海外生活を送る上で、合う国・合わない国が人それぞれあると思うんですが、その中で20歳の時に行ったウィーンがいいなと感じられたのは良かったですね。
ウィーンでの生活について聞かせてください。
金沢:
最初の2年はすぐには大学院に入らず、歌や自分のパーソナリティを立て直すという意味もあり、私立のプライナー音楽院と言うところにいました。歌曲専門の伴奏ピアニストの先生についていて、学校ではみっちり歌曲を学んでいました。ドイツリートやフランス歌曲について、2年で80曲くらいの課題をもらってやっていたと思います。「とにかく学びなさい」という先生だったので。
A:
リートはどのようなものをやられていたんですか?
金沢:
これはもう、幅広く。...シューベルト、ブラームス、シュトラウス、そして私はフランス語がすごく好きだったので、フランス歌曲もいっぱいやりました。ドビュッシーとか...。とにかくその時は、いろんな曲を本当に与えてもらったっていう感じです。
先生が思いつく曲全部、しかも1週間で8曲くらい渡してくるんですよ。来週持ってきてね、って。結構譜読みがすごくハードな2年間だったのを覚えています。
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その後、ウィーンから1時間半くらい離れたリンツという街の「アントン・ブルックナー私立大学」というところに入ることができ、そこに3年くらいいましたね。
ここの科目の分け方は面白くて、他のドイツ語圏の学校のように、受験の時から「オペラ科です!」「歌曲科です!」と分かれる、ということがなかったんです。
私はオペラ専攻で、論文もオペラのことを書いて卒業しているんだけれども、学校ではオペラもいっぱい歌ったし、歌曲もやった、という感じです。でもオペラの方が歌ったのは多かったかな。
A:
金沢さんがアントン・ブルックナー私立大学に入ったきっかけは何だったのでしょうか?
金沢:
先ほどのプライナー音楽院の伴奏ピアニストの先生から、「自分のかつての弟子がブルックナーで先生をやっているから、良かったら受けてみたらどうですか」と言われたことです。それで受験を考えました。
A:
そういう経緯だったんですね。受験はいかがでしたか?
金沢:
ドイツ圏の受験事情は結構特殊なんです。受験に行く前に、みんな「フォアジンゲン(声聞き)」というオーディションを受けるんです。
先生の教室のドアをノックして、「受験を考えているんです。歌を聞いてもらっていいですか?」と言ったら、先生が「いいですよ、歌ってください。」と言って入れてくださる。そこで歌うんです。
フォアジンゲンはみんなやります。それをしてから受験をするのが一般的な流れでした。
A:
大学院受験前の研究室見学に似ていますね。その時に受験生が一度歌ってみて、先生から「おお、いいじゃないか」と言われないといけない、というわけですね。
金沢:
そうそう、そしてその時に「おお、いいじゃないか」ではなく、「うーん、ちょっとプラッツが無い...」とか言われてしまうこともあります。「プラッツ」というのは英語のplace、この場合は席や枠のことです。「枠が空いていないので無理です」という意味で、歌ってもらったけど先生が気に入らなかったら、「ごめんなさい教えられません、でも取り敢えず受験はしてみたら?」と言われることもあります。
A:
ああ...!
金沢:
だからものすごくシビアで...。私がプライナー音楽院で習っていたピアニストの先生の場合も一緒で、フォアジンゲンに行かないと取ってもらえなかったです。
ブルックナー大にも受験の前にフォアジンゲンに行きました。ブルックナー音大でのフォアジンゲンは軽い声聞きというよりかは、まるで試験のような形でしたね。受験の年に5月にフォアジンゲンを受けて、9月には本試験を受けました。本試験は一次試験、二次試験、そして面接がありました。
A:
そういう経緯を辿って、合格されたんですね...!
金沢:.
そうなんです。それで、ブルックナー大のあるリンツへ行きました。
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(インタビューその2へつづく)
https://note.com/je_tokyo/n/n8e458419b8b5?sub_rt=share_b
*+*
〜寒い冬を祝祭によって乗り越えてきた ヨーロッパの人々の願いと祈りの調べ。〜
「WINTER FESTIVALS CONCERT 冬の祝祭コンサート」
「冬至のヨーロッパの祝祭」をテーマにしたコンサート。西欧のみならず、東欧や北欧などの世俗的な音楽、またそれを取り巻く詩について解説しながら、演奏を行います。
長く冷たい冬を越えるためのヨーロッパの人々の思いを分かち合い、遠く近い国々に思いを馳せましょう。
日時: 2024年12月18日(水) 18:00開場/18:30開演
場所: スタジオ ヴィルトゥオージ
(〒169-0073 東京都新宿区百人町2-16-17 B1)
<JR大久保・新大久保駅より徒歩5分>
出演:
金沢貴恵 (ソプラノ)
三好すみれ (ピアノ)
松谷萌江 (ヴァイオリン)
Program:
-マリアの子守歌(M. レーガー)
-朝の歌 / 夜の歌(E. エルガー)
-花のワルツ(P. チャイコフスキー)
-O holy night(A. アダン)
-シオンの娘よ、大いに喜べ(G. ヘンデル)
-荒野の果てに(フランス伝承曲)
-Carol of the Bells “Shchedryk”(ウクライナ伝承曲)
-歌いながら生まれ、歌いながら育った(ラトヴィア伝承曲)
-いまクリスマスは雪の門のそばに立って/
さあクリスマスがやってくる/
外は暗くなり/
私は栄誉を求めない/
積雪はうず高く
(J. シベリウス)
ほか
※内容は予告なく変更の場合がございます。予めご了承ください。
チケット代金: ¥3500 (当日券は+¥500)
ご予約:
https://www.quartet-online.net/ticket/wfc/
または、tktsjae★gmail.comまでお問い合わせください。(送信時は★を@に)
※全席自由
WEBページ:
出演者プロフィール:
金沢貴恵 (ソプラノ)
東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。アントン・ブルックナー音楽大学大学院修士課程声楽専攻修了。
2014年国際声楽コンクール《コンペティツィオーネ・デッロペラ》ファイナリスト。これまでに《セヴィリアの理髪師》ロジーナ役、《フィガロの結婚》スザンナ役、《セルセ》ロミルダ役、《劇場支配人》コロラトゥーラ歌手役、《愛のっw妙薬》アディーナ役、《天国と地獄》ユリディス役で出演。
現在、東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程在籍中。
三好すみれ (ピアノ)
東京音楽大学及び同大学院を経て同ピアノ伴奏研究員を務める
平成29年度文化庁委託事業『次代の文化を創造する新進芸術家育成事業 マリエッラ・ デヴィーアによる新進歌手とコレペティトゥアのためのワークショップ』修了
河原忠之氏主宰『Gruppo Kappa』第3~6期メンバー 本番ピアニストや音楽スタッフ、コレペティトゥアとして数々のオペラ団体や合唱団に携わる
横浜合唱協会および黒澤麻美ロシア声楽曲研究会ピアニスト
松谷萌江 (ヴァイオリン)
東京音楽大学卒業。5歳よりヴァイオリンを始め、これまでに磯部夕佳里、松宮麻希子、松原勝也、景山誠治、齋藤真知亜の各氏に師事。室内楽を齋藤真知亜、百武由紀、山口裕之、横山俊朗の各氏に師事。認定NPO法人 トリトン・アーツ・ネットワーク「2018年度アウトリーチセミナー」に参加。現在、洗足学園音楽大学演奏補助要員や、音楽教室等のヴァイオリン講師を務める他、室内楽やオーケストラを中心に演奏活動を展開している。
主催・お問合せ:
(一社)ジャパンエンターテイメント東京
企画: JET音楽研究会
TEL: 050-5359-1554
MAIL: tktsjae★gmail.com(送信時は★を@に)
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