
新年のご挨拶&「すべて未知の世界へ ー GUTAI 分化と統合」展レビュー寄稿のお知らせ
2023年、明けましておめでとうございます。
浄土複合は今年5年目を迎えます。
このnoteでは引き続き浄土複合ライティング・スクール関連の文章やお知らせを発信していければと思います。今年はより活発に更新したいですね…
--
さて大阪のアートを伝えるウェブサイト「PaparC」に、「すべて未知の世界へ ー GUTAI 分化と統合」展(大阪中之島美術館、国立国際美術館)のレビューを寄稿しました。田中敦子、正延正俊、白髪富士子、村上三郎に注目しながら、アクションや物質性とは異なる具体像にむけた素描をしています。
展覧会は1/9(月・祝)までとなっています。
特に正延正俊の作品はこの展覧会で初めてしっかり見ることができ、なんとも引っ掛かるものを感じ、ぜひ書きたいと思いました。他の比較的マイナーな作家も含め、あらためて具体作品に出会い直すための貴重な機会となっているかと思います。(今回書けなかったものとして、実験的な詩の創作を出発点としながら幾何学的絵画に取り組んだ菅野聖子の作品も気になっており、ぜひまとめて見る機会があればと。)
その一方で、会場では作品を見る上での補足的な情報がほとんど提供されておらず、表面的に楽しむ以上に具体について考えるための足掛かりを見つけるのが、なかなか難しいのではないかとも思います。レビューではいくらか情報を補いながら、いくつかの作品に絞って接近することを試みています。二つの美術館を会場にした大きな展覧会ですが、全体を紹介しようとせず、クローズアップを何箇所かつなぎながら、自分な視点で会場を再構成するようなイメージでしょうか。
作品に接近すると同時に、今回取り組んでいるのが作品に作者の言葉を交差させること。といっても作家による解説的な「内容」を論点の補強に使うのではなく、それぞれの言葉の「使い方」が制作の方法論と呼応するような箇所を、作品と交差させています。僕の場合、論の中で作者の言葉の扱いにはかなり慎重になるのですが、言葉を内容としてのみ読むのではなく、言葉の使い方というレベルで捉えると、作品の方法論と重なるところが見えてくる。この辺の制作と言葉の交差という問題は、今後さらに取り組んでみたいと思っています。
--
大阪中之島美術館の開館記念展についても同じくpaperCで書いています。あわせて読んでもらえれば大阪(阪神間)の美術が多角的に見えてくるのではないかと思います。こちらもぜひ。
https://paperc.info/on-site/review-nakanoshima-kosukeikeda
では、今年もよろしくお願いします。
池田剛介(浄土複合ライティング・スクール主宰)