WEBデザイナー必見!著作権を侵害しないために注意すべきこと
「知らないうちに著作権を侵害していた……」
WEBデザインをおこなった時に、もしそのような事態になったらWEBデザイナーとしての信用は落ちますよね。
それにより仕事の依頼が減ってしまうことを考えると恐ろしくもあります。
とはいえ、
「そもそも著作権ってどういうもの?」
「WEBデザインをするときに著作権って関係するのかな?」
「著作権を侵害しないためには何に注意したらいいの?」
なんてことを疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、WEBデザイナーが知っておくべき著作権について詳しく解説していきます。
これからWEBデザイナーを目指す方も、ぜひこの記事を読んで著作権の知識を深めていってくださいね。
著作権とは?
著作権は知的所有権の一つであり、法律により「著作物」を創作した「著作者」に与えられる権利です。
ここでいう著作物は思想や感情を表現したものを指します。
著作権の侵害は刑事罰の対象です。
場合によっては、被害者側から損害賠償請求や差止請求を受けることもあるでしょう。
著作権には大きく分けて著作者人格権と著作財産権の2つがあります。
著作者人格権
著作者人格権は、創作した人の人格を守るための権利です。
著作者の気持ちに反することは禁止されており、例えば著作者の同意を得ずに作品を勝手に変更すること(同一性保持権)などが挙げられます。
著作財産権は、著作物から生まれる著作者の経済的利益を守るための権利です。
著作者の名誉を傷つけるような方法で著作物を使用することも認められていません。
著作者人格権は他人に譲渡できないのが特徴です。
保護期間は著作者の生存している間ですが、原則として死後も著作者人格権の侵害にあたる行為をしてはならないとされています。
著作財産権
著作財産権は、著作物から生まれる著作者の経済的利益を守るための権利です。
主に著作物の利用方法について決められていて、著作者の許可なく複製や上映をすることは禁止されています。
著作者人格権と異なるのは、著作財産権は他人に譲渡できるという点です。
保護期間は著作物が作られた時から、著作者の死後70年までとされています。
WEBデザインの著作権について
著作権が著作者や著作物による経済的利益を保護するものだとわかりましたが、WEBデザインにはどのように関わってくるのでしょうか。
ポイントを説明していきます。
WEBデザインの著作権は制作者にある
WEBサイトは写真や文章、イラストといった素材を組み合わせることで構成されています。
それぞれの素材も著作物ですが、組み合わせて表現することが創作活動にあたるので、WEBデザイン自体も著作物となります。
そのためWEBデザインの著作権は著作者であるデザインをおこなった人、または制作会社に自動的に与えられます。
この時、著作権の登録や法的な手続きなどは必要ありません。
レイアウトと配色は著作権に含まれない
著作権の説明で、著作物とは「思想や感情を表現したもの」とお伝えしましたね。
つまり表現にあたらなければ、著作物とは認められません。
WEBデザインのレイアウトや配色は、創作物を表現するための手段やアイデアと考えられています。
そこに著作権は発生しないため、例えレイアウトや配色を真似をしたとしても、著作権侵害にはならないのです。
ただし、すべてそっくり真似をすれば著作権侵害を訴えられる可能性も考えられるでしょう。
著作権が認められない場合もある
クライアントから提供された写真やキャッチフレーズなどの素材を使い、デザイナーがレイアウトや配色をおこないましたが、それは作業の一部であり創作性は認められないとした実際の裁判の判例があります。
(著作権侵害差止等請求事件:大阪地方裁判所 平成24年1月12日判決)
こちらは紙媒体のデザインについての判例になるものの、WEBデザインでも同じことが考えられます。
WEBデザインの著作権の難しいところですが、レイアウトの延長としてみなされる場合には、著作権を主張できないこともあるといえるでしょう。
WEBデザインで著作権侵害にあたることは?
ここまでWEBデザインと著作権の関係を見てきましたが、では一体どのような行為が著作権侵害にあたるのでしょうか。具体的な事例をもとに解説していきます。
他のデザインを丸パクリ
いうまでもなく、他のデザインをそっくりそのまま自分のものとして使うことは著作権侵害にあたります。
ただレイアウトや配色は著作権に含まれないため、真似をしたとしても著作権侵害にはなりません。
例えレイアウトや配色が似ていたとしても、パクリだと決めるのは難しいものです。
しかし明らかにパクっていると思われるWEBデザインは、著作権侵害と判断される場合もあります。
他のデザインを参考にするのはよいですが、丸パクリするのはやめましょう。
画像や文章の著作権を無視
WEBデザインに著作権があるように、使用する画像や文章にも著作権が存在します。
著作者の許可なく利用すれば、当然著作権侵害になるのです。
WEBサイトの構成でよく使われる素材について、著作権上の注意点を説明していきます。
〇著作権フリーの画像素材
フリーだから大丈夫!と何も確認せずに使用するのは危険です。
無料で使えたとしても、著作権が全て放棄されているとは限りません。
素材のなかには加工が禁止されているものや、クレジット表記が必須なものもあります。
さらに個人利用は可能でも商用利用は不可、とされている場合もあるので注意が必要です。
ちなみに個人利用とは、利益が発生せず、あくまで個人の楽しむ範囲で使用することを意味します。
著作権フリーと書かれていても、使用時には利用規約にしっかり目を通すようにしましょう。
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〇インターネットで拾った画像
インターネットにはさまざまな画像がアップされていますよね。
「自分のWEBデザインに使いたいな」と思えるような画像を見つけることもあるでしょう。
しかし、写真にも著作権があるのを忘れてはいけません。
著作者の許可を得ず勝手に使えば、著作権侵害になってしまいます。
ときにはクライアントからインターネット上で拾った画像を提供されることもあります。
自分で検索して見つけた画像も、クライアントから提供された画像も、必ず使う際には利用許諾の確認をすることが大切です。
特に写真に人物が写っている場合は、同時に「肖像権侵害」になることもあるので気をつけてください。
〇Googleマップの画像
実は地図も著作物であり、著作権の保護の対象です。
例えばGoogleマップの地図画像は、スクリーンショットしてWEBサイトに貼りつけると著作権侵害になります。
Googleマップの地図情報を使いたい場合は、埋め込み機能を利用するようにしましょう。
どうしてもスクリーンショットした地図画像を使用したければ、OpenStreetMapといったサービスもあります。
※使用時にクレジット表記をすることで商用利用可能となっています。
〇キャラクターのイラストや画像
キャラクターのイラストや画像にも著作権があります。
「みんなが知っているキャラクターを使いたい」と思っても、著作者の許可なく使用すれば著作権侵害です。
またキャラクターがデザインを保護する意匠登録を受けていれば「意匠権侵害」に、特許庁に申請する商標登録がされていれば「商標権侵害」にもなります。
類似したキャラクターを作ることも禁止されているので注意しましょう。
〇外部カメラマン撮影の写真
WEBデザインに使う写真を、外部のカメラマンに撮影依頼することもあります。
この場合、撮影した写真の著作権を持つのは外部のカメラマンです。
依頼したから写真の著作権は自分のもの、といった思い込みは間違いになります。
発注時にきちんと著作権譲渡の取り決めを交わすことが必要です。
口頭で伝えればいいと思っているとトラブルのもとになるので、面倒でも書面を用意して記録を残すようにしましょう。
著作権がある写真は、トレースしてイラストにすることも問題となります。
著作物の複製とみなされ、「複製権侵害」になるからです。
トレースがしたければ、自分で撮影した写真を使用するようにしてくださいね。
〇書籍や他サイトの文章
写真やイラスト同様、書籍や他サイトの文章も著作物であり、著作権が発生します。
コピペはダメ!とよく耳にしますよね。他の人の文章を丸ごとコピーして自分のWEBデザインに使えば、著作権を侵害することになってしまいます。
とはいえ、他の人が書いた文章をそのまま使いたい場合もあるでしょう。
その時は引用といった方法があります。
引用時には引用元を明記したうえで、どこからどこまでが引用なのか自分の文章と区別がつくようにすることが大切です。
〇音楽や動画
音楽や動画にも著作権があるため、著作者の利用許諾が求められます。
インターネット上で営利を目的として音楽を使う場合には、商用配信となります。
JASRACの管理楽曲であれば、JASRACへの利用申請手続きと使用料の支払いが必要です。
一方著作権フリーの画像素材と同様に、著作権フリーの音楽素材や動画素材というものもあります。
こちらも利用するときには、利用規約をきちんと守るようにしましょう。
WEBデザインの著作権を守るために
「WEBデザインの著作権は自動的に制作側に与えられるから守る必要はない」
本当にそうなのでしょうか。
自分が著作権について知っていても、クライアントが同じくらい知っているとは限りません。
そうした場合、思わぬトラブルが起こることもあるのです。
ここではWEBデザインの著作権を守るためにできることを2つお伝えします。
著作権の正しい知識を持つ
WEBデザインをおこなう者として著作権の知識は欠かせません。
知識がない状態だと、自分が著作権侵害の被害者になっている場合だけでなく、加害者になっている場合にも気づけないでしょう。
「これぐらいは平気だろう……」と勝手な思い込みで著作権を侵害すれば、法的に罰せられることだってあります。
まずはWEBデザイナー自身がしっかりと著作権の知識を持ち、自信を持ってデザインをおこなえるようすることが大事だといえます。
クライアントへの説明を大切にする
知識を持ったうえでクライアントに著作権の説明をすることも、権利を守ることにつながります。
相手が著作権についてあまり知らない場合、WEBデザインの納品にはデザインに使った写真やイラストの権利譲渡も全て含まれる、と誤解されてしまうことがあるのです。
WEBデザインと写真やイラストなどの素材の著作権は別になります。
初めから説明しておけばよいのですが、あとからだと「そんなこと言われていない!」と事態が悪化することにもなりかねません。
このような事態を防ぐためには、契約書に著作権の内容を記載することも一つの手です。
WEBデザインの依頼を受ける時には、著作権譲渡やデータの売買について話し合い契約を結ぶようにしましょう。
まとめ
ここまでWEBデザインの著作権についてお話ししてきました。
WEBデザインは著作物であり、著作権は制作者に与えられます。
ただしレイアウトや配色は著作権に含まれず、著作権侵害がどこからという実際の判断は難しいところです。
だからといって他のWEBデザインを丸パクリしたり、利用許諾を得ずにインターネット上の写真やイラストを使えば、著作権侵害で訴えられる可能性も考えられます。
「知らなかった」では済まされないのです。
WEBデザイナーはデザインだけできれば法律は守らなくてよい、なんてことはありません。
他者の著作権を侵害せず、また自分のWEBデザインの著作権を守ってこそプロだといえます。
ぜひあなたも著作権の知識を身につけ、クライアントから信頼されるWEBデザイナーとして活躍していきましょう
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