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指す将順位戦6th A2-8 vs あさねぼうさん

 指す将順位戦の自戦記です。8回戦について書いていきます。

天竜峡

 長野県に越してきてからというもの、外出は少ないにも関わらず自然を感じることが多いです。最寄りのコンビニやスーパーに行くにしても、道脇の水路には透き通った水が流れているし、高い建物がないのでいつも遠景に山があって、山の色で空気の澄み具合がわかったりします。雲が山を越えて流れてくると、夕立が来るかな、と思ったりします。

 私はときどき冗談で「飯田では足を滑らせるとすぐ天竜川に落っこちるので気を付けないといけない」なんてことを言いますが、先日は天竜峡大橋を歩いて渡れる「そらさんぽ」という道を訪れ、天竜川の雄大さを改めて感じました。天竜峡駅近くのりんご足湯にも浸かりました。

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忙しいスローライフ

 8回戦のお相手、あさねぼうさんのHNはなかなか良いなぁと思います。日本のビジネス習慣においてはスタート時刻の厳守が求められますが、それは日本社会の懐の狭さを示しているようで、窮屈に思います。朝に弱い人は朝寝坊くらいしてもいいじゃないかと、それを自他ともに受け止められるような懐の深さを持ちたいものです。個人はもちろん、組織としても、社会としても。

 私は会社員を辞めて収入をほんの少し落としましたが仕事で拘束される時間を大幅に減らすことができて、とても生活が充実しています。おかげで将棋もできるし、心身の健康を気遣った生活もできるし、ITに関する技術的なチャレンジもできています。やりたいことはたくさんあるので、充実して忙しいスローライフといった趣きです。

指す将順位戦について

 指す将順位戦も2週間ごとのペースで気の引き締まり、私にとって大切なイベントになっています。

 この棋戦は今期6thで初参加の私ですが、あさねぼうさんは第1期からずっと参加されているようです。継続するというのはとても大変なことなので、これは本当に敬服します。

 また、棋戦に関してはこういった場を作り、維持していただいている運営陣の方々にも本当に感謝しています。今まであまり書く機会が無かったのですが、これから棋戦の終盤になって大変さが増すことと思いますし、参加者として感謝の気持ちを持って協力する姿勢を示していきたいです。

棋譜

 棋譜はJavaScript将棋盤で。
 今回はレート差のためフリー対局室での対局でした。

石田流対策

 対局は後手番となり、先手のあさねぼうさんはすぐに▲7五歩と伸ばしてきました。後手が飛車先に手をかけていると早石田として早い仕掛けもあり少々怖さがありますが、飛車先を突かなければすぐにどうということはありません。▲7五歩には△6四歩~△6三銀とがっちり受け止めるのをMy定跡としています。

▲7六歩 △3四歩 ▲7五歩 △7二銀(図1)

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 図1以降の構想は本譜の通りですが、△6三銀の形にした上で飛車を振って相振り飛車で戦います。攻撃の形を組むのが遅れますが、そもそもがっちり受ける方針なので、先手からも早い攻めは無いでしょうという主張です。

▲6六歩 △6四歩 ▲7八飛 △6三銀 ▲5八金左 △3三角
▲4八玉 △2二飛 ▲3八銀 △7二金 ▲6八銀 △2四歩
▲3九玉 △2五歩 ▲6七銀 △4二銀 ▲5六銀 △2六歩
▲同歩 △同飛 ▲2七歩 △2四飛 ▲4六歩 △3五歩(図2)

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 図2の△3五歩で飛車の横利きが通り、後手としては満足な駒組みができています。これは先手が金無双で来た場合も同じ方針になります。
 また、本局においてはお相手のあさねぼうさんがかなり乱打戦を得意としてらっしゃるようだったので、落ち着いた駒組みに持ち込めたのは良かったように思います。

5~8筋の押し合い

▲7七角 △5二金 ▲8六歩 △6一玉 ▲8五歩 △5四歩
▲8八飛 △5五歩 ▲4七銀引 △5三銀 ▲8四歩 △同歩
▲同飛 △8三歩 ▲8六飛 △7一玉 ▲9六歩 △7四歩(図3)

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 △6三銀に三間飛車では相性が悪いので、先手も向かい飛車に振り直しました。後手としても8筋は怖いところで、棒銀や歩の手筋で8筋を突破されないように気を付ける必要があります。
 そして左の金銀を寄せてきて、自陣の玉頭から反発していくのが当初からの方針でした。いわば一種の入玉党ですね。
 先手が▲4七銀と引いて浮き飛車に構えていることからも、この反発の筋は警戒されていないように感じました。形勢の良し悪しはないと思いますが、自分のほうが経験豊富な形になっていた気がします。

▲5六歩 △同歩 ▲同銀 △7五歩 ▲5五歩 △8二玉
▲6五歩 △7三桂(図4)

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 このあたりは押し合い圧し合いといったところで、中盤の難所です。
 図4の局面ではあまり形勢を良いとは思っていなくて、▲5四歩から捌かれると後手が難しいという印象でした。

▲4五銀 △5七歩 ▲4八金寄 △6五歩 ▲5六飛 △8四飛
▲8六歩(図5)

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 図5まで来ると後手の飛車の働きが良く、指しやすい印象でした。ここからは後手からプレッシャーを掛けて局面を動かしていきました。

終盤のヒヤリハット

△6六歩 ▲同飛 △6四銀左 ▲5四銀 △5五銀 ▲6三飛成
△同金右 ▲同銀成 △同金 ▲5二銀 △5三金 ▲6三金
△5二金 ▲同金 △6九飛 ▲6八歩(図6)

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 後手からプレッシャーを掛けた結果、先手が飛車を切る猛攻を決行してきました。しかし局面は後手良しと感じており、勝ち切る筋を模索したいところです。
 図6から、先手玉への攻めとして最も早い且つ確実なのが△5六桂の筋であると判断し、△8九飛成としました。しかしこれは少し危ない筋がありました。

△8九飛成 ▲6二金 △6六歩(図7)

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 △8九飛成▲6二金に対し△5六桂と打つ予定でしたが、これをやると▲5五角が詰めろ逃れの詰めろで、窮地に陥ります。うっかりしていましたが、△6六歩でなんとか持ちこたえました。
 本譜▲6二金に替えて▲5五角△同角▲6二金もありますが、△9四歩などがあり後手がなんとか残していたのではないかと思います。

▲7二金打 △9二玉 ▲7三金 △5六桂 ▲5七金 △4八銀
▲2八玉 △4九龍 ▲同銀 △3九銀打 ▲3八玉 △4九銀不成
(図8)

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 最後は△5六桂の筋を実現して勝ちとなりました。

局後

 あさねぼうさんはいつもプロ棋戦の情報をツイートしておられて、よく参考にさせていただくのですが、良い意味で忙しく将棋を楽しんでいる方だと思っています。
 あさねぼうさんがあまり感想戦をされないようなのは承知していました。局後、感想戦にお付き合いいただいた面妖流さんに感謝申し上げます。

 ちなみに、私は指す将順位戦のあとは甘い物を食べるのが習慣になっています。将棋棋士とスイーツの話題はよく上がるので、アマチュアの私たちもちょっとスイーツで気分を作ってもいいかなと思います。
 本局の局後は地元メーカーのアップルパイでした。

次節以降に向けて

 指す将順位戦の星取りはあまり振るわないような気持ちがありましたが、よく見ると第6~7局の黒星が初の連敗でした。本局の勝利で連敗を止めて4勝4敗の5分に持ち直したということで、ほっとしています。
 昇級争いからも残留争いからも少し離れていますが、関係してくる可能性はありそうです。残り3局、しっかり全力で戦いたいと思います。
 指す順、ここから佳境ですね!

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