日本共産党の政策アップデート 「自衛隊」
SNSを見ていると、共産党は自衛隊を「違憲」というのに「使う」のかという意見をみかけます。
自衛隊に関する政策は、長く政治論戦の場でもたたかわされてきました。
日本共産党の自衛隊についての政策も、論戦を通じてアップデートされてきています。
憲法との矛盾のスタートは警察予備隊(1950年)
自衛隊の議論の前提として確認しておきたいことがあります。
憲法9条をもつ日本が軍備を持てるのか? 憲法と自衛隊の矛盾のそもそもは、1950年の警察予備隊の創設にはじまっています。
警察予備隊の創設にかかわったアメリカの高官自身が、憲法9条2項の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」との矛盾を語っています。
「時代の大うそ」と言われ創設された警察予備隊は、保安隊を経て1954年に自衛隊になりました。
政府は、自衛隊は憲法9条が保持を禁じる「戦力」ではなく、外国による武力攻撃から日本を防衛するための必要最小限度の実力組織であると説明してきました。
日本共産党は憲法9条の完全な実施を目指す
共産党の自衛隊に関する方針はどのように発展してきたのか。
志位委員長は『新・綱領教室』で、2000年の方針ができるまで、テレビ番組などで「もしも日本が攻められた場合にどうするのか。竹やりでたたかうのか」と問われて十分に答えられない場面もあった、と語っています。
そうした指摘もふまえて検討を重ね、日本共産党は2000年の第22回党大会で自衛隊の段階的解消の方針を打ち出しました。
憲法と憲法違反の自衛隊がともに存在しているもと「憲法9条の完全実施に向けて憲法違反の現実を改革していく」というものです。
日本共産党は、憲法9条の完全実施、自衛隊の解消へ向けて、いくつかの段階を想定しています。
超かいつまんでいうと、外交努力などで日本が世界の国々と友好関係をつくり、国民の圧倒的多数が「もう自衛隊がなくても安心だ」という合意が生まれたところで、憲法9条の完全実施へ取り組むというものです。
しかし「自衛隊がなくても安心だ」となるまでには長い過程があります。
自衛隊は「違憲」 だけど「活用」するとは
現実には、憲法9条とともに憲法違反の自衛隊が存在しています。この矛盾を解決するための「自衛隊の段階的解消」では、自衛隊が一定期間存続することになります。
自衛隊が存続している期間に「万が一、日本が攻められたらどうするのか」にたいするこたえが下記。
志位委員長は、「憲法9条の完全実施を国民合意で段階的に進めることと、国民の安全に対して政治の責任を果たすことーーこの両者に対して統一的な答えとして出したのが、この第22回党大会決定です」(『新・綱領教室 下』p67)と話しています。
2017年参院選でもアップデート
2017年の衆院選では、日本共産党が参加する政権ができた場合に、政権が自衛隊に対してどういう立場をとるのかが問われました。
そこで確立された日本共産党の方針は「政府の立場としては合憲という立場を引き継ぐ」というもの。
討論会後、志位委員長に安倍首相が「また理論武装しましたね」と声をかけてきたエピソードが『新・綱領教室』に掲載されています。
自衛隊についての日本共産党の方針は、論戦を通じてアップデートされてきています。
現在の日本共産党の綱領の自衛隊の部分は下記となっています。
2022参院選政策もぜひご覧ください。
2022年参院選 日本共産党の政策 73、安保・基地・自衛隊