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住むように呑む~広島編(前編)

「住むように呑む」、広島編です。2024年夏のお話です。広島に仕事以外でゆっくりと来たのは初めてでした。予約をしてお邪魔したのは1軒のみ、あとはノープランに近い自由な5日間です。もちろん、昼間は仕事です。

ちなみに「住むように呑む」とは、新しい酒場巡りのコンセプトです。一定期間、あたかもその街に住んでいるように、昼間は働きながら、夕方からゆるりと近場の酒場巡りをします。私なりの「住むように呑む」の原則を再録します。

① 4日以上、1つの街に居住すること(宿泊地の移動はしない)
② 観光は基本的にしないこと
③ 昼間は普通に働くこと(テレワーク)。ただし、午後半休やフレックスを上手に活用して、なるべく早い時間から呑めるようにすること
④ 現地の事前調査はあまりしないこと。
⑤ 宿の近くの街を歩き、気に入った酒場にふらりと入ること
⑥ 酒場の人やお客様から教えていただいた酒場にも足を運んでみること
⑦ 気に入った酒場は別の日にも再訪してみること
⑧ 地元の個人店でできる限り呑むこと

そもそも広島に来たのは、音楽座ミュージカルSUNDAY」の大千秋楽を観るためてす。「SUNDAY」は初演から観ていますし、経営学習研究所のイベントを稽古場でやらせていただいた演目でもあり、そして本当に素敵な作品で、個人的に強い思い入れがある作品です。日曜日の昼間の公演を観て、「長すぎる後泊」で4泊して見に来る価値のある作品なのです。

昨年も音楽座の越前公演で福井で住むように呑んでいました。音楽座ミュージカルのおかげで世界が拡がっています。

到着即、劇場まで来て近所のお好み焼き屋でビールとお好み焼きからスタートです。外は実に暑いです。「ミカヅキ」(本日1軒目、通算1軒目)。この会場で音楽座ミュージカルの公演がなければ、絶対に来なかっただろう店です。鉄板前のカウンターに座ります。肉そばシングル、イカ天トッピング。赤星の中瓶。

劇場の真ん前にありがたくもよい店があったのです

生地、削り粉、炒めた麺、きゃべつ、揚げ玉、イカ天、バラ肉、生地の順での重ね焼き。一度に8枚焼いてます。で、ひっくり返し。キャベツが蒸されていきます。繁盛店で11時40分には新規客は満席で断られています。駅からすぐ来て良かったと本当に思います。ダブルはでかいなと見ているうちに、プレスが始まります。本当に関西焼きとは別の食べ物です。そして、玉子を割り、生地と同じ大きさに伸ばして、その上にお好み焼きを乗せます。ひっくり返して、どっぷりソースを塗ります。

広島焼き、1食目

私は立場上、関西焼き派なのですが、今回の「住むように呑むin広島」のおかげで、すっかり広島焼きが好きになりました。ただ、広島の方に広島焼きというと怒られます。これが「お好み焼き」なのです。
さて、腹を満たして会場に入ります。そして、観劇後、「SUNDAY」の感動を胸に路面電車に乗ります。福島町というエリアにホルモン天ぷらの酒場が数軒あることは調べています。広島といえば、せんじからが大好きなのですが、ホルモン天ぷらは未食です。曜日と時間の都合か、結局空いていたのは1軒のみで梯子はできませんでした。さて、その貴重な一軒には開店並びです。「あきちゃん」(本日2軒目、通算2軒目)です。

いい感じの入口です

すぐにオープンしましたが、驚くべきことに予約で満席といきなり言われます。ということで、並んでいる順番に予約時間までの約束で席に案内されます。私は90分飲める席、余裕です。そんなに1軒に長くはいない人です。

赤星におでん、素晴らしいビジュアル。このおでんは凄過ぎます

天ぷらは、シロ、ハチノス、センマイ、オオビャクとほぼメインどころを頼みます。出てくる間におでん。ガリ、ヤオギモとなんかもう1つ頼んだような。そして、赤星です。各席にナイフが置いてあって、好きな大きさに切って食べる流儀です。喧嘩がおきたら少し怖い酒場です。帰り際にお土産せんじがらを買いましたが、これが驚くほど美味いのです。駅で売ってる奴とは別物に感じます。

ナイフとまな板とホルモンと赤星

他のホルモンてんぷら屋がやっていないため、梯子ホルモンができないので、街中に戻ります。相当に歩いたので汗びっしょりです。ホテルに戻ってシャワーを浴びることにします。喉も乾いたので通りすがりのレモンサワー屋に吸い込まれます。なかなか素敵な看板でした。

看板に惹かれて入ります

「LEMON STAND HIROSHIMA」(本日3軒目、通算3軒目)。4種類のレモンサワーがあります。1番お薦めのスーパーというのを呑みます。西荻窪を思い出します。ジンベースです。桜尾です。スッキリしたので、酷暑の外に出たくはなくなりますが、着替えないと風邪を引きそうなので、ホテルに向かいます。

外は暑い

シャワー浴びて着替えて少しだけお仕事をして夕暮れの街に出かけます。ホテルが繁華街からちょっと遠く、万歩計が数字を刻みます。飲み屋、立ち飲みが多いなあと思いつつ、「そらや」(本日4軒目、通算4軒目)に来ます。

素敵な外観

燗酒好きなら何となく知ってる酒場でしょうか。燗酒も呑める海鮮立ち飲み酒場でした。とても魅力的なファザードです。外観呑みができます。白バイ貝煮とアジフライを頼みます。どちらも自分的にはオーダー率の高いアテです。レモンサワーを呑んでから、天穏の燗。刺身が豊富にある中で、いつも頼まない自分は何なんだろうなあと思いつつ飲みます。

アジフライvsバイ貝

暑さのせいかあんまり食が進まないので、あとはバーでいいかなと思い、ホテルの方に進みます。日曜だからか、なかなかバーが見つからないうちに街の外れまできます。ありました「バーガルダマリ」(本日5軒目、通算5軒目)。夕方に通りがかって記憶していたバーです。ジントニックをいただきます。

砂漠のオアシスでジントニック

もう少し、近所のバーを回ろうかなと思いますが、徘徊を続けます。で、しばらく歩いて見つかりました。いいバーです。「BAR LECANTIQUE」(本日6軒目、通算6軒目)です。2階に上がるのですが、下のサインが魅力的です。

見つけたときは嬉しかった

なぜか地方都市で泊まるとバーに頻繁に立ち寄ります。こちらのバーは、訪問時には10周年記念期間で休まず営業しているとのことでした。カウンターの1番逆側のお客様がミュージカルの話をし始めます。この日の音楽座ミュージカルの公演を観られた帰りのようです。思わず反応してしまいます。広島は狭いです。街中に音楽座ファンがいます。

たぶん、ネグローニ

気づいたら2日目の朝です。この日は有給を取っています。つまり、朝から呑めるのです。でも、この街で平日の朝から呑める酒場たちが密集するエリアを知りません。そもそもそんなエリアがあるのかも、です。で、目の前の路面電車の電停から横川行がでているのを知って横川に向かいます。朝といっても11時くらいですね。

燦然と輝くVERA PIZZAの看板

目指すは言うまでもなく「ピッツァリーヴァ」(本日1軒目、通算7軒目)。真のナポリピッツァ協会立ち上げの頃からお世話になったピッツェリアです。開店まで周辺を散策しますが、暑くてへとへとになります。

タイルの色もデザインも違いますが窯そのものは前店舗のものを移設しています
いいピッツェリアですねぇ
カフェで〆ます

修平さんともいろいろお話できました。亡くなられたお父様にも本当にお世話になりました。新店舗にお邪魔したのは初めてです。窯は運び込んだそうですか、タイルの色が変わっています。ヴューステルハリッサというピッツァをいただき、ビールを2杯呑みます。本当に旨いピッツァです。広島の酒場でここの話をすると、皆さんご存知なので自分の親戚のごとく嬉しくなります。

さて、灼熱の昼過ぎです。戻りは路面電車ではなくJRにしてみます。あっという間に広島駅に着きます。駅ビルならば間違いなく昼酒できる酒場があるはずだと探します。「ビールスタンド重富ekie」(本日2軒目、通算8軒目)がありました。

みーつけた

あの有名な重富さんですよね、多分。もちろんご本人はおられませんが、本店には行ける余裕がなさそうなので、ありがたくお邪魔します。平日昼でも皆が飲んでます。一度つぎをいただきますが、確かに旨い。きっとこれがまたすべて汗になります。

みんな楽しそうに昼から呑んでます

路面電車で一度、ホテルに撤退します。暑いのです、汗びっしょりになるのです。なので、またシャワーを浴びて着替えるのです。そして、少しだけ仕事をして日の明るいうちに再度、蠢き始めます。「はまもと」(本日3軒目、通算9軒目)です。ジャンプさんが何かのコラムで書いていた酒場です。

素敵な路地、もちろん共同トイレです

ほぼ、口開けのタイミングに入ります。なかなか痺れるアクセスにあり、カウンター席が並びます。奥の席にはオーナーらしき方が座っておられます。瓶でサッポロを頼んだつもりが、スーパードライがきます。どうもますます滑舌が悪くなっているみたいですが、スーパードライは好きなので嬉しいです。もしかして、スーパードライを頼んだのかもしれません。何も自信が持てません。豚ホルモン味噌煮込みを頼みます。胸キュンもちには、塩分なかなか強めですが旨いです。そして、天ぷらの盛り合わせに行きます。豪華で旨いです。幸せです。揚げ物が好きなんです。

美しい揚げ物とスーパードライ

あと一品かなと思い、次のオーダーを「すじカレー」と「テールラーメン」で悩み切って「すじカレー」ご飯を少な目で行きます。これ、とても良かったです。そして、写真を見ると燗酒を呑んでますね。「テールラーメン」も食べたいと思って翌日、2度ほど覗きましたが、いずれの時も満席でした。いいときに来たのかもしれません。また来たい酒場です。

すじカレー、ふふふ。カレー飲みが好きです

かなり喰ったので腹ごなしに街を歩きます。なかなか魅力的な本州会館というビルに来ます。ここにもジャンプさんがコラムで紹介していたコの字酒場があります。「い志の」(本日4軒目、通算10軒目)に入ります。しかも燗酒酒場みたいです。

とうもろこしのかき揚げがスイカのカクテルと同じくらい好きです

黒ラベルスタートです。普段は滅多にビールはやらないのですが、それだけ暑かったとご理解下さい。そして、とうもろこしのかき揚げを頼みます。夏はとうもろこしを揚げた奴がやめられません。で、玉櫻が見えるので燗をつけていただきます。

玉櫻が似合う酒場

メニューに「夏野菜とチキンのグリーンカレー」と「イベリコ豚のグリーンカレーそば」があるのに完全にロックオンされてしまい、20分ほど悩んだ末にそばで行きます。さっきカレーで締めたのですが。グリーンカレーは別腹でしょうか。グリーンカレーとなると燗酒を続けないわけにはいきません。玉櫻の「殿」がみえるので、果たしてしんがりになるかわかりませんが頼みます。

グリーンカレーに殿

もう腹いっぱいなので、あとはバーしかいけません。ということで、2日連続で10周年のバー「BAR LECANTIQUE」(本日5軒目、通算11軒目)にまた来ます。それだけ良かったということです。久し振りに市ヶ谷の日本棋院の話をしました。いろいろとありました。

写真が1枚しかないですが、かなり呑んだはずです

まずまず酔ってホテルに戻る最後に面白そうな酒場を発見します。「おうちbarひらひら」(本日6軒目、通算12軒目)です。

このフォントがいい感じ

ホテルの近くの怪しげ=魅力的な酒場です。中に入るとまさにお家なのです。玄関で靴を脱いで上がると正面には座敷があって、皆さんちゃぶ台でテレビを見ながら飲んでいます。1人だったので座敷ではなくカウンターで、ハイボールを飲んでいたようです。ずっとオリンピックを観ていました。

おうちでした

さあ、明けると3日目になりました。今日は朝から普通に仕事です。午前中の仕事を終えて、ホテル近くのお好み焼き屋でランチです。「花子」という店です。「海鮮チーズ国泰寺焼き」というのを頼みます。国泰寺というのはこのあたりの地名のようです。仕事中なので当然ながらビールは自重しています。小さなサラダが付きます。

今回、2回目の広島焼き

だいぶ長くなりましたので、後編に続きます。果たして、後編はいつリリースできますことか…。

「住むように呑む」という生き方に関心を持っていただけた方がもし入れば、過去のもよければご覧ください。
住むように呑む:熊本編(前篇)
住むように呑む:熊本編(中編)
住むように呑む熊本編(後編)
住むように呑む:高知編(前篇)
住むように呑む:高知編(後編)

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